22 / 35
第22話
本当なら、俊介と同じものを食べて、その美味しさを共有したい忍だ。
だが、憧れの俊介先輩の前でみっともない自分を曝け出すのはごめんだ。
「伊吹、金魚すくいやろう」
「いいですね、やりましょう!」
何でもできる伊吹のことだから、金魚も100匹くらいすくうかもしれない、と思った俊介だったが、意外に忍は金魚すくいが苦手だった。
「あ~あ」
一匹も捕れずに、ポイが破れてしまった忍に、俊介は自分がすくった二匹の金魚を差し出した。
「いるか?」
「いいんですか!?」
子どものようにはしゃぐ忍が、やけに可愛い。
屋台が灯りをともし始めた頃、突然大きな音が響いてきた。
ともだちにシェアしよう!