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7-4
「はぁ……ッ」
涙で滲む吊り目をぎゅっと閉じ、また開いて、岬は胎底をゾクリとさせる。
「……志摩センセェ……」
一切の躊躇いもなしに注がれる視線にすら感じるような。
「いつもそんな過激なオナニーしてるのか」
片膝に頬杖を突いた志摩は生徒の自慰を真っ向から繁々と観察していた。
制服ズボンとボクサーパンツは指示を出して脱がせておいた。
奔放的に開かれた股の間に差し込まれた両手。
片手の五指はペニスに絡みつき、湿り渡る先端から竿にかけてスローテンポでしごいている。
もう片方の手は双球の下へと潜り込み、コリコリと膨れてきた肉芽を撫でたり、蜜孔の入り口をゆっくりなぞったりと、快感を追うのに夢中になっていた。
「なぁ、スケべちゃん」
肘掛けに背中を預け、片足の先だけ床に着地させた、誠にけしからん姿勢で自慰に励んでいた岬はぼんやり志摩を見つめた。
実際は。
抗えない興奮の奴隷と化して、時々、岬はもっとハズカシイ真似にこっそり及ぶこともあった。
自分の指を志摩のペニスに見立ててしゃぶったりなんかしていた……。
「もっとよく見せて」
命じられた岬は。
御主人様に平伏すみたいに。
さらに大胆にご開帳してみせた。
「ペニス、どこが一番感じる? 先端か、裏筋か、カリ首か」
「んっ……ぜん、ぶ……感じる……」
「今、左の中指でなぞってる、びしょ濡れになってるところは。どこをいじるのが一番好きなの」
「あ、ぅ……っ……入り口も、奥ンとこも、ぜんぶ……っ」
「結局、どこもかしこも性感帯ってわけだ、スケべちゃん」
「すっ……すけべちゃん言うなぁ……っ」
文句を言う間も両手を休めようとしない岬に志摩は唇を歪めた。
「もう、いきそう?」
汗ばむ掌の内側で脈動し、色鮮やかに膨張した熱源。
淫らに突き動く中指の先を呑み込んでさめざめと泣く蜜孔。
「いき、そ……」
「このままいきたい?」
「んっ、いきたぃ……っ」
「俺の目の前で、俺に見られながら?」
「っ……センセェに見られながら……いきた……っ」
ムズムズとした射精感がすぐそこまで込み上げてきた瞬間。
「ステイ」
一言、それだけ口にすると志摩はいきなりソファから立ち上がった。
暖房の温風が鬱陶しくなるくらい発熱した、急な一時停止命令に呆気にとられている岬を残し、壁際のダイニングテーブルへ向かう。
急がない足取りで戻ってきた彼の手には紙袋が握られていた。
「せっかくだし、冷え切る前に食べなきゃな」
先程と同じような姿勢でソファに落ち着いた志摩はチーズバーガーを食べ出した。
……は?
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