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9-2
すっかり暗くなった浴室。
岬は苦しげに眉根を寄せ、歯軋りし、いつの間に眼鏡をかけていた志摩を肩越しに睨んだ。
蜜にぬるつく指先が後孔に浅く捻じ込まれ、嫌だといった行為を半ば強引に進めてきた淫魔教師に精一杯の批判の眼差しを浴びせた。
「ぬ、抜け、早く抜け……ッ」
「うん」
「ちがッ……さらに捻じ込んでくんじゃねッ……」
「うん」
「ッ……このクソエロ教師ッ……嫌だっつってんだろ……!」
鳩尾に肘鉄を何発か喰らったものの、怯む気配ゼロ、窮屈なボクサーパンツ内で際立って嗜虐的な志摩の中指が意地悪に蠢いた。
「ここも立派な性感帯なんだから放置なんてもったいない」
そんなことをのたまって、志摩は、手負いの動物みたいに息を荒くする岬をさらに貫いていく。
「あああ……ッ」
第二関節まで捻じ込まれて岬は壁に額を押しつけた。
「や、やだ……い、や、だ……」
ヒクつく肉孔を拡げられて。
狭苦しい尻膣を拡げられて。
ヴァギナとは違う、気を抜けば膝から崩れ落ちそうな危うい刺激に胎底と理性が蝕まれていく。
「せんせぇ……やだってば……」
涙をポロポロ流してイヤイヤする岬の、濡れた髪が伝う瑞々しいうなじに口づけ、志摩はもう片方の手でボクサーパンツを押し上げる頂きを揉みしだいた。
「ん……っ」
「大丈夫だって。痛くないだろ」
「痛くねぇけど……変なんだって……」
「コッチはヤル気満々みたいだけどな」
黒地の下着にくっきり浮かび上がったペニスの輪郭。
掌で押し包み、伸びやかにしごきながら、後孔に捻じ込んだ指の先で男体Gスポットを小突いた。
「ひっ……!」
悶々としたむず痒さに尻奥を犯されて岬は悲鳴を上げる。
岬が感じれば感じるほど志摩の興奮は増していく。
「熱いだろ。シャツも脱がせてやる」
壁にもたれて今にも脱力しそうな褐色の体から素早くシャツを脱がせると、水を弾く背に再び過度に寄り添い、首筋に滴る雫をキスがてら吸い上げた。
「ん……お前の背中、しっとりしてて、熱くて気持ちいい」
皮膚の薄いところをしつこく啄まれる。
くすぐったくて、胎の底からゾクゾクして、岬は項垂れた。
愛撫を中断されて切なくてペニスの天辺が新たに泣き濡れる。
空洞になった後孔が意地悪な指に満たされたがる。
「ふ。下着、突き破りそうだな」
痕がつかない程度に首筋を甘噛みされて岬は喉を反らした。
「っ、あ、ぅ」
肉付きのいい尻丘が半分覗いた、脱げかけているボクサーパンツの内側に戻ってきた志摩の利き手。
次は二本の指で徐々に貫かれていった。
狭まり合う尻膣内で擦れ合う指同士。
摩擦感が強まり、コリコリしたシコリを押し上げられると、今は触られていないペニスが物欲しげに身悶えた。
「どう?」
「あ、ぁぅ……ふ、ぅ、ぅ……っ」
「マトモに喋れなくなるくらい、不快か?」
「ぃ……ッ……ッ」
「そうだな、俺の指、食い千切る勢いで拒んでる……ココをいぢられるの、そんなに嫌なんだ……?」
後孔奥を小刻みに巧みに擦り立て、志摩は、会話もできずに未完成な色気を振り撒いて悶絶する岬に見惚れた。
「ッ、ッ、ッ!!」
限界まで盛り上がったフロントの天辺を短い爪の先で軽やかに刺激した。
裏筋や先端を爪弾く程度の微弱な愛撫は却って痛烈な拷問じみていて、岬は、仰け反った。
尻奥をやんわり突く志摩の指をギチギチと締めつけ、抗う術もなしに絶頂へ。
またしてもボクサーパンツを卑猥に濡らした……。
「は……ッ……ッ、ッ……はぁッ……は……」
「あーあ。こんなビチョビチョにして、お漏らししたみたい」
「ッ……ッ……ッ……」
「そんな殺人鬼みたいな目つきで睨んでくるな」
ーーこれ以上俺をそそるな。
ボロボロと涙しながら睨んでくる岬と向かい合っていた志摩は、笑んだ口元のまま、上下とも唾液塗れの唇にキスをした。
白アッシュの髪に五指を突っ込んで、好きなように弄り回して、好物を平らげる勢いで貪った。
岬は負け惜しみの爪を奮うことくらいしかできなかった。
その爪先による他愛ない痛みが志摩をさらなる興奮へ駆り立てているとも知らないで。
「俺と本番したらどうなるんだろうな、岬」
俺が知るかよ。
早く教えてくれりゃあいいのに、志摩センセェのドケチ。
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