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「セフレにはしないよ」
外で騒々しく奏でられる雨音と雷鳴。
厚手のカーテンを開け放した薄暗い部屋ではクーラーの冷気と二人の熱がせめぎ合っていた。
「……役不足ってことかよ……」
そんなことを強気に吐き捨てながらも岬の吊り目は釘づけになっていた。
腕捲りした長袖シャツをはだけさせ、他には何も身に着けていない志摩のソレに。
……無駄にでけぇ。
……無駄に勃ってる。
「そ、そんななってるくせ、役不足って、テメェは何様だ」
満遍なく火照る体に半袖シャツとくるぶし丈のアンクルソックスを引っ掛けた岬は、ベッドで上下に向かい合った志摩に文句をブン投げる。
「俺がインサバスで珍しい体してっから……一回お試しみたいなノリかよ……」
「岬って見かけによらずネガティブ思考だよな」
セフレ申請を却下され、内心、逃げ道に迷って途方に暮れていた岬は仏頂面と化した。
が、不意に腰を落としてきた志摩にギクリとした。
経験値豊かなインキュバス筋のペニス。
くっきりと段差のついたカリ首、力強く熟れ育った頂きに淫唇をヤラシクなぞられた。
「な、なんだよ、セフレでもねぇのにヤんのかよ……セフレ以下の奴隷にでもするつもりか、テメェは……」
……セフレ以下の奴隷、か。
……目も当てられねぇよな、そんなモン。
……でも、それでも、志摩に必要とされるのなら。
「インサバスじゃなくても、同じ淫魔筋じゃなくても、好きになるよ」
岬は耳を疑った。
聞き間違いかと思い、聞き返そうとしたが、出かかった言葉はヒュッと引っ込んだ。
蜜孔に押しつけられたペニス。
ぐ、と力が込められたかと思えば膣口を拡げて内側へ。
熱く息づく肉杭が岬のナカへ挿入 ってきた。
「ッ……ッ……!!」
ヤンキー淫魔はぎゅっと目を閉じた。
否応なしに抉じ開けられる感覚。
胎底を侵略されていく倒錯的な悦びに心臓が軋んだ。
「は、ぁ、ぅ……っ」
「痛い……?」
先端を沈めたところで一端動きを止め、おもむろに問いかけてきた志摩に首を左右に振ってみせる。
「痛くねぇ……」
「そう、よかった」
涙の滲む目尻にキスをして志摩は上体を起こした。
岬の両膝を掴むと左右に開く。
我が身を咥え込んだばかりの蜜孔と切なそうに歪むヤンキー淫魔の顔、交互に視線を行き来させ、さらにナカへ。
狭まり合う膣壁を押し上げ、先に進めば進むほど、狂おしいほどに締めつけが増していく。
ふんだんに絡みついてくる愛液。
蜜壺全体に熱心にペニスを揉みしだかれて志摩の口からは無意識にため息が零れた。
「……はぁ……」
岬は……耐えられずに仰け反った。
「ん~~~……っ……っ……!!」
「ッ……岬、お前……」
「っ……っ……は……っ……はぁっ……はぁ……」
「いったんだ……?」
まだ軽く達しながら全身を引き攣らせている岬に志摩は素直に見惚れる。
「なぁ、岬、セフレじゃなくて恋人がいい」
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