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132 長瀬香 <SIDE> 煩悩
このクソガキがぁ!!!!
挫けそうになる心をもう一度構築し直して、『俺は教師だから』と自分自身に言い聞かせながら、取り合えず葵をバスルームへ運ぶと床に座らせ、バスタブに湯を張った。
俺は自分のゲロ塗れの服を脱ぎ、葵の服も脱がせた。
こいつ色白いな……、背中には無数のキスマークが散らばり、肩の噛まれた後が痛々しくも妙にエロい、もしかしてこれをつけた相手は静月か?
これが死にそうな顔をしてた原因なのだろうか?
想像はつく、あの保健室での出来事は少し俺を驚かせた。
あの静月が人目も憚らず葵にキスしてたのを見て、ピンときたよ、こいつら付き合ってるなってね。
二人とも当代きっての人気者でやんちゃだし、まあ、放課後女子を侍らせて帰る葵がこっち側へ来るとは思わなかったが、そもそも静月はバイだと言うし、そういう関係になってもおかしくはない。
いいね、青春て。
若者よガンバレ。
浴室で無理矢理口を開いて漱いでも、眠くてしょうがないのか葵は目を閉じなすがままで、序に頭も身体も洗ってやった。
しなやかに伸びた腕や足は長くて、少年と青年の狭間で微妙な成長期を思わせ、滑らかな皮膚は透き通るように白かった……、そういやこいつクォーターだっけ、顔は勿論、身体もとても綺麗だよな。
洗ってる手を止め思わず見惚れてしまった。
役得……なんてオヤジみたいなことは思わないぞ?
もし静月と付き合ってたのならぶっ殺されかねないな……。
俺は煩悩を払うように頭を振って思考のクリアに務めた。
「ほら、立てるか?湯の中に入れ温まるぞ」
「う……ん……」
返事は辛うじてするが、夢現の葵は立ち上がろうとするも覚束ず、しょうがないので抱えて湯船に浸けてやり、溺れないように後ろからがしりと腕でホールドした。
しかし俺のペニスがコイツの腰に当たってるけどヤバイよなこの位置、俺が常識ある大人だから我慢してるけど、これタチのゲイにはたまらない状況だよな、こんな綺麗な子を後ろから抱きしめて悪戯しちゃダメだと言う方が酷だろ。
その時、葵の頭が揺れて俺の胸元に唇が掛かる……、それは暖かく長くカールした睫毛が誘うように妖艶だ。
ヤバイ……、無防備過ぎるだろコイツ。
前髪を上げると本当に女子のように綺麗な顔をしている。
顔に張り付いた濡れた髪の毛が艶めかしくて、神様はどうしてこんな試練を与えてくるのだろうか。
教師と言う職業柄、酔った生徒をどうのこうのするとか、人の道を外れてはいけないと自分を諫める。
いや、しませんけど……、少しの妄想は許して下さるでしょ?
そしてタッチも……いや、だめだろ……。
しかしこいつ呑気過ぎないか?
ここにこんな狼が居るとも知らずにまっ裸で浴槽に浸かり、後ろからこんな煩悩だらけの男に抱きしめられているとか……、俺だから無傷で済んでるだぞ、感謝しろよ。
「さあ、出るぞ、十分温まったからな」
俺は再び葵を抱え上げると湯船から出て洗面所に行き、子供のように従順な葵の身体をバスタオルで拭いて、まだフラフラで酔いが覚めてそうになかったので、お互いまっ裸ではあったがお姫様抱っこをして浴室を出て来た。
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