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静月の舌が俺の口内に侵入しようとしてくるが、俺は今パニックでそれどころじゃない。 やだ、やだ、やだ、長瀬とか……嫌過ぎる……、しかも記憶が無い、全く無い! それマジだったら……、最低だろ俺! そして、やけに静月が優しすぎることにも戸惑ってるし、何時もの激怒パターンで無いのが、返って事実なんじゃないかと思えて辛いんだけど……。 俺、まじで静月以外の奴とヤッたのか……? どうしよ……、あり得ないだろうそれって……、将生との事だってあれ程後悔したばかりなのに……。 心臓がバクバクする……、血の気が失せるとはこういう場合を言うんだな、シーツを握る手が冷たく感じる。 だけど静月は俺の唇を奪い、舌を中へ挿入しようとしている。 今の俺は静月のキスでさえ心ここにあらずで、あまりのシッョックに呆然となる。 お仕置きの為に嵌められただろうコックリングはもう必要ない、ショックのあまり俺の息子は萎えてる。 「泣きそうな顔してる」 静月はフッと笑って、俺の頬に手を添えながら頬に軽いキスをした。 「やめ……」 俺はそれを拒否するように横を向いても、無理矢理真正面に向かされ、静月の舌が唇の中へ再度挿入を繰り返す。 ショックでそれどころじゃないのに……やめろよキスをするのは。 俺が静月以外の奴とセックスをした……? 嫌過ぎて泣けてくる……。 静月の舌はまるでセックスのように俺の口内を弄り、半身の塊を突き込むように俺の舌を探り当てる。 俺はなんてことを仕出かしたんだろう、後にも先にも男の相手は静月だけだと思っていた筈なのに、こんなにもあっさり他の奴と寝るなんて、ビッチにも程があるだろう。 「反省してる?」 「うん……」 静月の凛とした目を見るのが辛い。 静月にフラれてから男は勿論、誰とも付き合う気は無かったし、静月との誘惑的でエッチな関係は切るつもりだったけど、自分の愚行が恥ずかしいしまた悲しい……、今まで女子とエッチしても平気だったのに、長瀬とヤッたと思うと凄く汚れた気がして、どこか卑屈になってしまう事も悔しい……、相手が男だからか……? よくわからない……今は何も考えられない。 なので非常に心が折れている俺です……。 そんな隙を見てか、さっきから静月のキスは唇から首へと移り、指先が俺の乳首を弄り始めた。 「しづ……き……」 俺は止めさせようとその手をどかそうと触れたら、反対に手を頭上に持って行かれた。 「ダメだよ、その淫らな身体を俺が上書きするまでは」 「や……でも……」 「例え記憶に残ってなくても、葵の身体も心も、もう一度俺でいっぱいになるようリセットだ」 何だか泣けて来た……、あんなに静月に忠告されていたのに、例え酒を飲んで意識が無かったとしても、自分の愚かな行為で取り返しのつかない事をしてしまい、谷底に落ちた気分だったのを、涙腺を崩壊するほどの優しさで静月が接してくれてそれが心に染みた。 静月の唇は、昨日あったであろう俺の愚行の後を拭い去るように、身体全体にキスの雨を降らし続け、じっとしていられないほど羽のように柔らかく皮膚の上を辿り、そして嘗め尽くされて俺はトロトロに甘やかされる。 ん……ふ……っ……。 そして、何時しか俺は甘い声を出してしまうのだ……。 「う……っ……んっ……ぁ……はっ……ん、やめ……」 「俺を見て葵……」 頭の中の記憶の無い行動について後悔が掠めるが、やがてそれも目の前の美しい男の事でいっぱいになる。

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