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バイブはいつの間にか抜かれていた。
静かな部屋で二人きりの濃厚な時間が嬉しい……、そう思っていたのに、そのまま抱えあげられてバスルームへと連れてこられた。
ふらつかないようにか、静月の腕が腰に回されていて、降り出したシャワーの下で俺らは我慢しきれなかったように、貪り合うようなキスをした。
もっと……もっと……滅茶苦茶にして欲しい……、昨日、長瀬とどうしてそんなことしたのか考えてみても、記憶が飛んでいるので整理しようがない……、ただこうやって激しいキスをする度に、愚かな行動をしてしまったという思いが頭にチラついて苦しい、だけど今はこれを消せるのは俺が焦がれる静月しかいない……、やはり静月じゃないとダメなのだ……。
消して欲しい……、俺の後悔と静月を怒らす過ちの全てを……、そして何より……お前が欲しい……。
「そんなにしがみつくと洗えないよ、何時もこんなに可愛ければね」
静月は笑いながら俺の肩を持って少し遠ざけ、シャンプーで俺の頭をゴシゴシ洗い始めた。
凭れる物がなくなりしょうがなく後ろの壁に寄っかかるが、なすが儘の俺の身体を洗いながらも時々キスをしてくるので応じる。
静月の何もかも好きだ……、優しく触れる唇も蠢く舌も……、俺は夢中でそれを受け止める。
「こんな風に洗れたんだよ……長瀬に……」
静月の言葉に俺はハッとした。
そうだった……、無防備にも程があるよな。
そして、きっとそのままベッドへ直行して……。
ああ……、しでかした事を思い出すと吐きそうだ。
許してくれるだろうか……。
「じゃあ……もっと上書きしろよ、昨日のことなど思い出せないくらいに」
「泣きそうな顔してよく言うね、さっきのじゃ足りないんだ?」
「ぜんぜん足りない……、玩具じゃ嫌だ……」
「うん……?」
静月は艶やかな視線で俺を見つめながら言葉の先を探っている。
「どうして欲しいかちゃんと言わないと」
「おまえが……欲しい……」
ほんと静月は俺の心の声を引き出すのが上手い、真っ直ぐに見つめられると言いたくない言葉まで、つい口から滑り出してしまう。
静月は俺の後頭部を掴んで顔を引き寄せると、激しくキスをしてきた。
クチュ……チュ……クチュリと、やらしい水音が室内を跳ね返って俺らに降り注ぐ。
お互いの唾液が混ざり合い、それは蜜となって口内を潤し、我が物顔で荒れ狂う舌を受け止める。
腰に手を回された時には、半身が疼いてしまい自ら身体を預けてしまった。
もう隠し立てできないほどに、俺は静月が欲しい……、堪らなく欲っしている。
「おまえじゃなくて、俺の名前は凌駕……、呼んでみて?」
これ以上静月に溺れたくなくて、絶対に呼ばないと自分に誓った名前……。
でも、呼ばずには居られなかった……。
「凌……駕……」
俺はもう完全にお前に溺れている。
「いい子だ」
そして静月はシャワーを止め、広いバスタブの中へと俺を誘導した。
「だけど、またお仕置きしないとね」
静月はそう言って、俺を壁向きにして四つん這いにさせると、少し強引に脚を広げさせた。
少し前なら想像を絶する格好だったが、今や腰を捕まれ秘部にペニスをあてがわれると、俺のソコが快楽を求めてきゅうっと収縮するほど興奮を煽られている。
そして、流れ出たカウパー液が水面にポタリと落ちて王冠を作った。
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