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身動きできないよう腰をがしりと掴んだ手から、温もりと欲がじわじわと湧いてきて、下半身に興奮の火を点けた。
羞恥心とか、あっさり捨ててしまって、俺の口から洩れる息は熱く甘い……。
ぐいっと腰を持ち上げられると、ローションでとろとろに溶けてバイブで拡張されていたアナルに、静月は硬質なペニスをズプッと挿入してきた。
「ん……ぐぐ……っ」
「葵は俺のモノだよ、誰かに奪われるなんて許せない」
そう言いながら、静月は奥まで一気にねじ込んできた。
あああぁ……、んんんっ……。
バイブよりやっぱこっちがいい、みっちりと生暖かいモノが食い込む感じや、俺の腰に添えられた手の暖かさとか、何より俺の心臓がドクンドクンと跳ね上がり、静月の全てが俺を支配してる感じにゾクゾクする。
そして完全降伏的やらしいこんな体勢で、腰が立たなくなるまで無茶苦茶犯されたいと思える、マゾ気質が全開になるのも静月だけだ……。
将生と抱き合った夜、静月達のキスシーンを見せられて、あまりの動揺に将生に縋ってしまい、服を脱ぎ捨てその好意を受け入れようとしたが、長い間親友をやってきた相手だと言うことで、当惑しつつも恥ずかしさにドキドキはしたが、好きとか心臓がコトリと動くような感覚で胸は高鳴らなかったし、自らこんなにも欲しいという欲求は湧き起らず、ただ義務的に行為をするような気持ちで、俺は苦しさを紛らわす為に将生を利用しようとしていた。
ほんと、最低……。
静月の言う通り、将生の理性に感謝しなければ……、でないと今頃死ぬほど後悔してただろう……。
そして記憶には無いけど昨夜のこととか……、俺はいったい何をやってるんだろう、自分が情けなくなるが、それでも静月は俺を抱く。
「葵の所有者が誰だが忘れるな」
「ん……あああぁ……っ……はぁっ……」
静月が腰を激しく打ち付けてくる度、あっと言う間に俺の身体の奥から痺れるような熱が渦巻いた。
「返事は?」
パンパンパンッ……、ぐちゅ……ぐちゅ……ぐちゅ……、こんなにやらしい音をたて、激しく腰を振りながらも、静月は冷静な声で問いかけてくる。
俺の意識はあまりの気持ち良さに、吹っ飛んでしまいそうなのに……。
「葵?」
「う……うん……、わかっ……た……、あっぁぁぁ……んん……」
俺のことを所有物だと思っていて、それを他人に取られたく無い為なのだろうけど、それでもいいんだ……、俺は静月の動作ひとつひとつにドキドキし惹きつけられる。
それほど俺は静月を好きらしい……。
この獣のような体勢に興奮を高められ、突き込まれる肉棒に身体を震わせる。
そして静月の激しい動きに、浴槽の水がピチャピチャ跳ねる。
「あ……ん……あぁ……っ、はぁ……はっ……は」
バスルームに俺の喘ぎ声が反響して、外に漏れやしないかと思わず自分の腕を噛むと、それを阻まれた。
「大丈夫、外には漏れないから声出していいよ」
「あん……そこ……はっ……や……め、はぁぁ……や……」
「ここ気持ちいいよね?」
「やっ……め……」
「葵は嘘つきだね、嫌じゃないくせに、でも嫌だとしても止めないけどね」
意地悪に静月はそう言うと、ピンポイントで前立腺を突き続け、俺はその強烈な快楽に気が狂いそうになる。
「あぁぁぁぁぁ……んんん……あん……あぁ……ん……っ」
「気持ちいいよね?葵の感じるところは分かってる、もっと啼きな」
後ろから伸びて来た指が俺の乳首を摘まむと、身体がガクガクと崩れ落ちそうになったので、腰をぐいっと掴まれ元の体制に戻された。
「あっ、ひゃっ……っ」
「乳首でもイケるようになっちゃって、ほんとエロい身体だよね……」
後ろから覆い被さるようにして、そう耳元で囁かれて身体の震えが止まらなかった。
あまりにも静月は、俺よりも俺の事を知り尽くしている……、そしてこの身体を好きに扱えるのは、何時も俺を惑わし続ける静月だけなのだ……。
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