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ガチャーンッ! 何かが割れる音がして、ふと薄っすら目が覚めた。 俺はどうやら広いベッドで横になっているらしい……? 目を開けようとしても、脳みそ掻き混ぜられているかのような酷い頭痛と、そしてなんか胸がもやもやと気持ち悪い……。 再びガチャガチャーンと甲高い何かが割れる音がして、何事かと改めて重い瞼を開けて見ると、薄暗い部屋に人の気配がした。 「僕が来ること知ってて、そんなことするのってあんまりじゃない!」 「だから誤解だって!」 何揉めてるんだよ……、煩くて目が覚めてしまった……。 何か飲み物が欲しい……。 そもそもここはどこだ……、見慣れない家具を見つめながら身体をゆっくり起こすと、声のする方に向き直った。 見ると、部屋の真ん中で頭を抱えた長瀬がまっ裸で立っていて、もうひとりがこちらに背中を向けて怒鳴り散らしていた。 長瀬なんで裸なんだ? アホだな……、思わず笑いが込み上げてきた。 でも……ここは……どこだ? 長瀬ん家? どうして俺こんなとこに? でも今は喉が渇いてしょうがない……、どうしようもなく水が飲みたい。 「なーがーせー……、喉乾いた……」 リビングで言い争いをしてた二人が、驚いたように一斉にこちらを向いた。 あれ……、あき……と? 俺がシーツを接ぐって起き上がろうとしたら、長瀬が焦ったように手で俺を制止した。 「ああ……ちょっと待て、そこで待ってて、今持っていくから!」 「……酷い……、僕にこんな場面見せるなんて……先生ってほんと最低!」 「瑛斗、落ち着け!誤解だから、なんもやってないし!」 「現場目撃させといて、何言ってるの?マジで信じられない!!!」 「だから、違うって!!」 なんかぎゃぁぎゃあ煩っせぇなぁ……。 「ねー、ここ……どこぉ……?」 「俺んちー!葵、誤解を解いてくれよ、なんもなかっただろ俺たち?お前が酔っ払っただけだよな?勝手に俺のビール飲んでさ」 「……そうだっけ?」 そういや何も記憶が無い……。 「おい!」 「……ほんと、最低ーーーっ!」 瑛斗が泣いてる……。 俺なんかしたのかな……、でも頭がぼうっとして回らない、とりま冷蔵庫を物色して何か飲み物を取って来るか……、そう思うとベッドからノロノロ立ち上がり、人んちの冷蔵庫へと歩いて行く。 「服着ろよ!!!」 瑛斗に怒鳴られた。 見ると俺は解放感満載のまっ裸で、思わず椅子に掛けてあったシャツを羽織ると、また瑛斗に怒鳴られた。 「それ先生のだから!!!脱げよ!!!」 着ろとか脱げとかうっせーな……、どっちなんだよ。 「いいから葵は寝てろ……、水でいいか?持っていくから」 長瀬に肩を捕まれ回れ右した俺は、その勢いに眩暈がして倒れそうになったところを長瀬に抱きしめられた。 「キーーーッ!!もう何やってんの!」 瑛斗が泣き叫ぶ……うっせぇなぁ……。 「離れてよ!先生に触らないで!」 瑛斗が俺の肩を掴んで長瀬から引き剥がした。 「さっさと向こうへ行って!」 俺は犬っころのように指で指図されたが、ベッドの誘惑には勝てず、よろよろと言われるがまま素直に向かい、そして横になった。 ふぅ~、ベッド最高! でも喉乾いた……。 「ねー、水まだぁ?」 頭を持ち上げて長瀬を探そうとしたら、いきなりクッションが飛んできた。 「ほんとに……、ほんとにクソ忌々しい……!」 瑛斗は仁王立ちしながら俺を睨みつけ、念仏のように何かぶつぶつ唱えていた。 泣き顔が可愛らしいなと思いつつ、俺は再び眠りの国へと旅立った……。

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