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154 長瀬香 <SIDE> 小悪魔の微笑み
「返事は?」
「……本気……なの?」
「冗談でこんなことするほど、悪趣味じゃないよ、で、返事は?」
「せんせー……、ほんとに本気?……僕だけのセンセーになってくれるの?」
「お前だけの先生だよ、そして俺も瑛斗を俺だけのものにしたい」
「せんせ……」
「瑛斗に本気なのに、葵に手出すわけないじゃないか、本当に何もなかったんだ、信じてくれるね?」
「うん……ごめんなさい……」
瑛斗は顔を真っ赤にして、大きな瞳から涙をポロポロ零していた。
「僕は初めて会った時からずっと、先生のものだよ……、先生が好きで……好きで仕方なかった」
「うん、知ってたよ……ごめんな瑛斗、全部俺が悪いんだ、時間を無駄にしてしまった……」
「ううん……そんなことないよ……」
瑛斗の言葉に俺は苦笑する……、そして大いに後悔している。
そうなのだ……、すべてこうなったのも俺のせいなのだ。
無駄にした3年間を取り返すように、これから瑛斗と濃く関わりたいと思った結論なのだ。
「でも、僕セックス上手になったでしょ?」
瑛斗は真顔でそう言った。
「バカ!そんなこと言うな!」
おい……、先生は何だかちっとも嬉しくないぞ?
「他の人に抱かれるたび先生の顔を思い出していたよ、この指は先生の指……抱きしめる逞しい腕は先生の腕……、僕にファックを繰り返すペニスは先生のだって妄想してた」
「もう黙れ瑛斗……」
やめてくれ……、瑛斗が誰かに抱かれるなんて想像しただけで気分が悪い。
なのでそんな妄想を腐食するために俺は瑛斗を抱きしめ、そして、涙の後がついたほんのり色づく頬に手を添えて、優しくキスをし心の距離を確認する。
腕の中に居るのは俺の心を惑わし続ける、しなやかな女豹のような少年だ。
誘惑するかのように、微かに開いた淡い色の唇は唾液で光っており、まるで蜜を携えた女陰のようにエロティックに男を誘う。
俺はそこに舌を差し込みクチュクチュと音をたてて中を掻き混ぜる。
抜き差しを繰り返す俺の舌に、瑛斗の舌がまるで交尾しているかのようにぬるりと絡まった。
唇から零れる混ざり合った唾液が、欲を煽る愛液のように溢れ顎下へと流れる。
「ん……ふぁ……ん……あ……ん……っ」
瑛斗の膝がガクガクと震え、崩れ落ちそうになるのを受け止める。
「せんせ……好き……」
俺に身体を預けながら、欲が宿る瞳で俺を見上げてそう呟いた。
「俺も大好きだよ瑛斗」
「ぼ……く、イッちゃいそう……」
虚ろな瑛斗の瞳は、魔性の少年のように俺を虜にする。
俺は瑛斗の腰を両手で掴むと身体を密着させた。
言葉通り勃起した瑛斗のペニスから液が垂れて二人の腹を濡らした。
アナスに指を伸ばすと、そこからはさっき俺が射精した精液が流れ出していて、その酷く淫らな姿は俺を興奮させた。
「せんせい……、早く僕にちょうだい……せんせーのおっきいの……」
「そうなんだが……、ベッドにはあいつが寝てるしな……」
瑛斗はそこで思い出したように、ベッドですやすや眠っている葵を嫌そうに見やった。
「せんせー、もう一度聞くけど、ほんとにあいつとは何もなかったんだよね?」
「当り前じゃないか!俺には瑛斗がいるんだよ?今更他の奴に手出すと思う?だから信じて欲しい!俺と葵には何も無かったんだ。ゲロ塗れのあいつを風呂に入れただけなんだからな、じゃないと臭くてかなわん……」
瑛斗はコクリと素直に頷いた。
「ごめんなさい……」
「そう言う素直なところも好きだよ」
俺は瑛斗の女の子みたいに柔らかく可愛い唇にキスをした。
「僕も先生大好き」
「可愛いよ瑛斗は」
「エッチしよ?」
「ベッド使いたいが、あいつ居るしなぁ……」
俺がそう言ってベッドの方を見やると、瑛斗がズンズンとそこへ歩いて行った。
「ちょっとー、起きてよ!ここは僕たちのベットなんだよ、もう帰って!」
葵の身体を揺らしている。
だが葵は一向に起きる気配が無く、さっきと同じ体制のままピクリとも動かない。
「やめろ瑛斗、寝かせてやれ」
「だめー、こいつの居るとこでエッチすんの?せんせーそんな趣味?」
そういう趣味かと聞かれたら嫌でもないけど、今そう言ったら火に油を注ぎそうで言えなかった。
愛しい瑛斗が誰の物かみんなの前で見せびらかしたい、でも綺麗な瑛斗が欲に打ち震えてる姿を、誰にも見せたく無いという葛藤もある。
「起きろってば!」
瑛斗が押すからか、葵は苦しそうな表情をしながら薄っすら瞳を開けたと思ったら、その唇から意外な人物の名前が告げられた。
「ん……、まさ……き……?」
「え?」
二人してベッドでスヤスヤ眠る葵を見降ろしていた。
口に出た名前は静月ではなく、まさかの幼馴染の名前で……、一体こいつらどうなってんだ?
静月と付き合ってるんじゃないのか?
そして、小悪魔が降臨したような少し意地悪そうな顔をして瑛斗は微笑むと、『任せて』と言ってスマホを手にしてどこかへ電話を掛けたのだった……。
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