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第4話

次の日の放課後、みんなが教室を出た後、項垂れつつも教科書を広げようとしていた俺を見ていた静月が言った。 「行くぞ」 「へ?どこへ?」 「俺ん家」 な、な、なんだって?? 「えええええええ」 「なに?不満?」 「…いや…そんな事は…」 「じゃあ、ついて来て」 そう言うなり、鞄を肩に掛けて静月は歩き出した。 ま、待て待て待て! どういう事? 静月ん家で勉強だって? えーーーーっ? 静月ん家? うん、ちょっと興味あるけど…ぐはっ。 この小奇麗なやりちんの私生活見えるんだよ? ちょっとワクワクしね? でもさ、俺ん家ならともかく教えてくれる静月の家でいいのか? 「なぁ、いいのか?…家に行って…迷惑なら…」 「俺ん家すぐそこだし、昨日みたいに女子が来たら鬱陶しいからな」 そうだよな静月ずっと不機嫌だったもんな、どうせ教えてくれるのなら俺にももうちょっと優しく接してくれて良くね? と、言うわけで教室から出るなり女子どもに囲まれた二人だったが、ぞろぞろと民族大移動の如く歩道を行進すると、歩いて10分程度の距離にあった静月家に、あっと言う間に着いた。 それがさ、重厚な扉の門構えの一軒家でさ、歩道からは中の全貌は全く分からず、静月は指紋承認で入り口のドアを開けると、俺を中に押しやった…と言うより、女の子たちと別れを惜しんでいるのを首根っこをひっ捕まえられて中へと突き飛ばされた…、意外と乱暴だな静月…。 しかもさ、中に入ってびっくり! 建物は5階建てで、ただっ拾い玄関には車寄せがあって、今まさに外車が止まっていた。 ひぇぇぇぇ、ここは公邸ですか? 「さっさと来いよ」 静月が振り向いて、俺を確認しながらぶっきらぼうに言った。 「お…おう」 場違い感半端ない俺は目の前の豪奢な建物にビビっていた、こんな城みたいな家に住んでいたのか静月は…。 本物の王子だったのかよ。 俺はこんな奴と張り合おうとしてたのか? 勝手にライバル視してすみません……。 静月がドアを開けて入って行くと『お帰りなさいませ坊ちゃま』と、初老の執事らしき人がやって来てお辞儀をした。 ええええええええっ、なんか…映画でも観てるのか俺…、こんな世界あったのか…、次にキョトンとしてる俺の前に現れたのが栗色の長い髪の毛をした静月そっくりなすっげぇ美人…! 「お帰り~凌駕、あれ?お友達?」 と、美人さんがニコニコして話しかけてるのにも関わらず、静月は無視してエレベーターのボタンを押す…って、家の中にエレベーターかよ!!!!!!!!!!! 「ちょっとー、すごいイケメンじゃないのぉ!ねぇー、紹介してよ凌駕!」 美人さんも取り巻き連中と同じように俺を見て目を輝かせて言った。 そうだよな、俺イケメンだもんそれ普通の反応。 静月、早よ! 俺にもこの美人さんを紹介してくれよ! どうやらエレベーターは5階に止まっていたらしく中々降りてこないので、静月は舌打ちすると後ろを振り向いた。 「俺の同級生の河野葵、こっちは俺の一つ上の姉貴万里香、以上」 ぶっきらぼうかつ端的な紹介だ…まあ、いい、目の前の姉ちゃんは超絶美人だ、お近づきになりてぇと俺の息子が言ってます…はい…ぐはっ。 「よろしくね葵くん!今度遊びましょ!」 「も、もちろんです!よろしくお願いします」 微笑む姉ちゃん、ほんと綺麗すぎ! そんな姉ちゃんに見惚れていたらエレベーターが降りて来てベルを鳴らした。 そしたらまたもや後ろの首根っこを静月に掴まれた俺は、乱暴にエレベーターへと放り込まれ、ドアが閉まる隙間で姉ちゃんに手を振って別れた。 「お前の姉貴、超絶美人じゃん!」 ワクワク、きゃんきゃん!! 期待に静月にすり寄る俺。 「おまえ、姉貴に手だしたら殺すぞ?」 うぉうぉぉぉぉぉぉ、こいつの本気の目だ、気をつけよう殺されるのだけは勘弁だ…。

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