5 / 213

第5話

と言う事で、静月の後を追って部屋に入ったら何コレ…、俺の部屋4個分ほどありそうなスペースに家具がロフト風に配置してあってカッコいい、勉強机らしきものは無かったが、白い革張りのリクライニングの椅子の前には、ガラスのでかいテーブルがあり、PCが何故か幾つか乗っていた。 きっとここで勉強してるんだろう、どこかのお洒落な会社のデスクみたいだな。 奥の方にはキングサイズのベッドがどどーーーんと、主張するように配置してあって、そこであんなことやこんなことをしてるんだと思うと思わず俺の顔が綻んだ。 静月もやることはやってるからなぁ、エッチは上手そうだなこいつ。 俺は運動神経の良い奴はエッチが上手いと思っている、根拠はと聞かれたら困るのだが、手先の器用な奴は大体エッチが上手いと言う俺なりの統計があるのだよ。 そして此奴は抜群の運動神経の持ち主だ、俺の統計に狂いが無ければ此奴はきっととびきりエッチが上手いはず…、なんて、むひひとほくそ笑んでいたら静月に頭を小突かれた。 「痛ってー」 「何ひとりで笑ってんだよ、さっきから聞いてるだろ?コーラとオレンジジュースどっちがいい?」 「あ、じゃあオレンジジュースおねがいします…て、ジュース飲んでいいのかよ!」 「はぁ?」 「だって昨日俺がコーヒー飲もうとしたら怒ったじゃん」 静月が目を細めた…、え、嫌な予感…。 「お前はアホか?家に呼んどいて俺が何も出さないと思ってるのか?」 静月は思いっきりバカにしたような顔をして、冷蔵庫からコーラの瓶を取り出すと蓋を開けて渡してくれた。 …え、冷蔵庫? 部屋に? それも俺ん家の家と変わらないようなデカサイズの冷蔵庫があった。 もしかして風呂とかトイレとかあったりして? きょろきょろ見渡していたら頭を再び小突かれた。 「な、なんだよーー」 「何きょろきょろ珍しそうに見てんだよ」 「だってお前の部屋なんでもあるからトイレも風呂もあるのかなと思って」 「あるよ?」 さも当然だと言わんばかりに言い放つ。 「すんげぇーーーっ」 「出て行くの面倒じゃん?」 いや…まあ、そうなんだけど…、クソ金持ちめ! 「そこ座って」 と言われて、リビングの豪華な革張りの椅子に腰かけるが、庶民には大きくて落ち着かないのでその下のラグの上に座るも、手を着くと指が埋まるほどの毛足の長さでそりゃぁもう滑らかに纏わりついてくる…高そうだなこれも…、ジュースなんか零したらド突かれそうだ…ひっ…。 そんな事をしてる間に着替えて来た静月が側にやって来て椅子に腰かけた。 黒いパーカーと揃いのスウェットが似合っている…、いや…静月が着ると何でも似合いそうだ。 男が男を好きになるのも分からないでも無いと感心するほどに、くやしいけど静月の容姿は俺の中で完璧で、なぜだかついつい目で追ってしまう…チクショウ…イケメン過ぎるぞこいつ…。 「あのね?やる気あるの?教科書広げろよ?」 でも、こんな調子なので俺は一気に目が覚める…。 「機嫌悪いなぁ…もう」 「誰のせいで自宅解放までして、俺がお前に勉強を教えないといけないんだよ?」 そうですね…、ごもっともでして…。 そして間の悪い事に俺のスマホが鳴る…。 「うるさい!切れよ」 はいはい…、いろいろとすみませんねぇ…、今頃は…ああ、考えてもしょうがない事を考えるのは止めよう…でも、昨日から一緒に居て思ったんだけど静月のスマホは一切鳴らないんだけど…どうしてなのだろうか…、俺はその疑問を聞いてみた。 「マナーにしてるからに決まってるだろ?」 「えー?だってそれじゃ大事な用事あっても分かんないじゃん?」 「大事な話ならまた掛け直してくるだろうし、後で見ればいいことだ」 ……はい…、俺様ですねあなた…俺が小市民でした…。 俺なんか環ちゃんや、みなちゃんのラインをうはうは待ってるんだけどぉ? げ、妄想もいい加減にしておかないと静月の眉間が険しくなって来た…。 お勉強します…はい…。 まあ、そんなワケでそれから2時間、俺は静月に小突かれながらみっちり復習をさせられたのだった。

ともだちにシェアしよう!