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第6話

「もうだめ…これ以上数字が頭に入んない…」 「だろうな、お前なりに今日は頑張ったな」 真面目にやんないとお前が小突くからだろよ? でも無表情だが静月が褒めてくれて、ちょっぴり俺は嬉しかった。 「スマホ電源入れていいでしょうか?」 なぜか敬語が口から出た…。 「どうぞ?」 何時もの冷たい返答が返って来た。 電源入れるとジャンジャン音が鳴り始める…、煩いですよ…ね? チラリと様子を伺うも、まあ、それについては流石に静月も何も言わなかった。 「お前ってさ、勉強もできるじゃん?女の子とよく遊ぶ時間あるよな? あ、反対か…勉強する時間あるよな?だ…」 「勉強はしない、授業中しっかり聞いとけば頭に入るから帰って来て復習とかしないし」 確かに静月は授業はしっかり受けていた…だから教師には評判がいい。 「じゃあ、夜な夜な遊び歩いてるってのはホントか?」 「何…、気になるの? 俺の事?」 静月は意味ありげに始めてニヤリと笑った、その微笑みが妖艶で俺は思わずどきりとする。 待て待て待て…毒されるな俺…何意識しちゃってんの? こいつ、男だし…。 静月がバイセクシャルだとしても、俺までドギマギするのはどうかと思うぞ? 「ちげーし、遊び呆けてるのにどうして学年10位以内が取れるのか不思議だったんだよ」 「フン、おまえと一緒にするなよ、出来が違うからね」 と、小馬鹿にしたようにニヤリと笑う。 全くこの俺様、ムカツクんだけど…。 はいはい…。 「帰るわそろそろ…」 俺は教科書を鞄に入れて立ち上がった。 と、同時に静月も一緒に立ち上がる。 「お前は調子乗って遊びすぎだろ、自分のお頭加減知らなさすぎ」 そう言って、更に追い打ちを掛ける。 「静月~、おまえなームカツクんだけど?」 「女子と遊ぶのもいいけどさ、要領よくやるのも頭の出来にかかってんの、両立できないなんて不器用すぎて笑える」 そ……それは、俺の理屈となんとなく符合するんじゃね……。 だけどこいつに同調したくねぇ! 「ちげーわ、別に俺は両立とか考えてないし、女子と毎日楽しく過ごせたらそれでいいんだよ」 だけどこいつに同調したくねぇ! 「頭悪すぎて話にならないな」 「なんだとぉ」 「その様子じゃきっと女子もろくに満足させられないんだろうな」 「はぁ~~~?経験値マックスな俺に向かって良く言うな?おまえこそ、ぶってんじゃねーよ」 「お前だろ葵? 自分だけ満足していい気になってんじゃ?」 静月は馬鹿にしたように笑った。 「ばぁっかーーーっ、みんな俺とのえっちは良かったって言うわ」 「どうかな?」 静月はくくくっ…と、含み笑いをした。 「おま…」 すると、いつの間にか近くに来てた静月の指が伸びて、俺の顎を掴んだ。 「じゃあ、俺にキスしてみろよ?」 は、はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ???? 「な、なんでお前とキスしなきゃならないんだよ!」 「キスが上手い奴はセックスも上手いんだよ、俺が確かめてやるよお前が嘘ついてるかどうか」 それは静月の持論か? 俺と同じこと考えてやがる! 「アホか…、男とキスする気ないわ! お前と違って俺はその趣味無いんでね」 そう言い放って、背を向けて歩き出した俺の腕を引っ張って静月は自分の前に俺を連れ戻した。 が、勢い余って俺は静月の胸に思いっきりぶつかってしまった。 なので顔を上げると黄金比率の顔が目の前に…、睫毛長いなこいつ…間近で見るとほんとイケメン…、つか綺麗な顔をしている…。 なんて…、美麗な顔に見惚れていたら、いきなり静月の唇が重なった。 ええーーーーーーーーーーーーっ!!! 頭を手で固定されて逃げようにも逃げられない。 文句を言おうとして口を開きかけたタイミングを見計らうように、静月の舌が俺の唇を割って入って来た。 抵抗しようと静月の胸に伸ばした手首を掴み上げられて身動きすらできない非力の俺…、こいつ思った以上に力がある…。 うわぉ…なにぃ…、静月の舌が…俺の口内を弄っている、そして唇を甘噛みしながら舌先でなぞったり吸い上げたりと、それは巧みに動き回り俺の舌に絡みつく…。 何だか…、上手くないか? て、関心してる場合じゃな無いが…、確かに何だか抵抗する気力が失せる程に気持ち良い…。 ジュル…どっちのかわからない唾液が音を立てた。 クチュ…、何だか食べられそうにディープなキスに俺の頭はぼうっとして来た…。

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