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第9話
「なぁ、昨日クラブ来なかったんだな」
夜遊び大好き真鍋大河が昼食のトレイを持って現れた。
生粋の女好きの上に俺と大差ないくらいチャラ男で、まあ俺と大河でクラブに行くと100%女の子を落とせる。
まあ俺はみなちゃんや環ちゃんがいるから、女の子には困ってないんだけど大河に劣らず夜遊び大好きなんだよね。
賑やかな街に繰り出すのはテンションが上がる。
「詰めて」
そう言いながら食堂の狭いテーブルに割って入って来た。
「だってほら昨日葵は静月とお勉強だったじゃない」
あずみが説明してくれた。
「笑えるな、葵が勉強とか」
「うるせー」
「ねぇ、葵」
何のコンセプトがあるのか分からないが、ぱっつん前髪をした工藤あずみが、食道のテーブルでラーメンを食べていた俺の前に陣取り、自分はパンを頬張りながら尋ねてきた。
昼時の食堂は生徒でごった返していて、大河が来たことで席はさらにぎゅうぎゅう詰めだった。
「昨日、静月の家行ったんでしょ?」
「うん」
「豪邸だって噂あるけどほんと?」
「ああ、まじで凄かったぞ、家なんて五階建てで、中にはエレベーターまであったわ」
「まじなの?」
「でさ、静月の部屋の広さったら…、俺の部屋が軽く4室ほど入りそうだったぞ」
「すご…、やっぱねぇ、静月家は名士多いしそれにお父さんは大病院の院長だしね、みんなが王子って呼んでるだけあるのねぇ」
あずみはうっとりとため息を吐いた。
悔しいけど、女子の欲しいスペックを全て持っているような男だな…。
彼奴に死角はないのか…。
「で?ちゃんと教えて貰ったのか?」
俺の右隣でうどんを啜っていた、来栖将生が顔を上げて問う。
大河にあずみ、それに将生も中学からの友達だ。
「結構スパルタだけどさ、やっぱ頭良いんだろうなぁ分りやすかったよ」
何度かデコピン飛ばされたけどな…。
あれ、マジで痛いんだからな。
「ほうほう、あいつ結構真面目に授業聞いてるからなー」
「うんうん」
あずみは納得したように頷いている。
「で?」
将生がニヤニヤ顔で俺を見ながら返答を待っている。
ん?
「何がだよ?」
「あいつ男もイケルって言うじゃないか、おまえ口説かれなかった?」
「はぁぁぁぁぁ? そんなん、あるわけ…」
と、言いかけてハタと気が付いた…、俺あいつとキスしたっけか…?
でもあれは口説くとかじゃ無かったよな?
成り行き?
いやいやいや…あれは成り行きと言うか、プライドの張り合い?
で、どっちが勝ったんだっけ?
俺の下半身が騒ぎ始めたのは認めるが、静月だって満更でも無い顔してたぞ?
「…おい葵! 誰が逝っていいっつったよ! 戻ってこ~い」
その声に、我に返る俺だったが…時既に遅かったらしい…。
「お…ま、顔赤いぞ? え? もしかして何かあっちゃったりすんの?」
将生が嬉しそうに、身を乗り出して俺の顔を両手で挟んで聞いて来た。
「なぁなぁ!?」
「え! あ、あるわけ、ねぇだろ!」
俺は即座に将生の手を払ったが、自分が顔が赤いって事は充分自覚があり、フイッと顔を反らした先にいた静月と偶然目が合った。
うぎゃ!
こっち見てたのか、何かいろいろ恥かし過ぎる!
「いやいやいや、怪しいだろ? その慌てっぷりといい、キョドってる様子は何かあった証拠だろ?」
「ねぇわ!」
俺は赤くなった顔を隠すのと、あらゆる雑念を払うように俯いて、ガツガツと残りの食事を摂り始める。
「これはやっちゃった顔よね?」
「はははは、だよな、きっと何かあったなコイツ」
これ以上何か言うと墓穴を掘りかねないので、笑いを含んだ外野の声は無視する事にした。
しかし、遠くからナイフのように鋭い視線をヒシと感じて、なんでそんな不機嫌そうな顔をしてるのか意味わかんねーしとか思いながら、ラーメンを食べたのだった…。
放課後になると、嬉しそうな顔してやってきた瑛斗と連れ立って、静月はあっさり教室を後にした。
一言くらい何か言ってくれればいいのにと思いながら、ダラダラと鞄に教科書を詰め、校門であずみと将生に別れを告げ、急いでもしょうがないのでノロノロと静月邸へと向かう。
途中女子に囲まれたが俺が静月ん家へ勉強に向かって居るのを知っているので、『頑張ってね!』と、焼き菓子をくれた。
いつもならテンションアゲアゲの俺なのに、何だか今日は静月も居ない家に向かう足取りは重く、家が見えて来た時点で立ち止まってしまった。
静月は部屋で待ってろと言うけど、主も居ないのに待ちにくいだろ…。
そんなわけで静月ん家の長い塀に凭れてスマホをいじっていたらいきなり声を掛けられて驚いた。
「あ~~~~、昨日のイケメン君だぁ~~」
おおお!
静月の綺麗な姉ちゃんじゃないか!
「なにしてるの?こんなとこで」
「静月がちょっと用があるからって、先に家に行っててと言われたんだけど、入りにくいから…」
「な~~んだ、心配ないわ私と一緒に来て」
姉ちゃんは俺の腕に自分の腕を絡めながら俺を中へと引っ張って行く。
あれ?
姉ちゃん今日は居ないって聞いてたけど?
ラッキー!!!
ほんのり香る甘い香水が俺の鼻先を擽り、興味を掻き立てる。
「ねぇ、イケメン君は彼女いる?」
「いや、いないけど?」
「そう、良かった」
姉ちゃんが俺を見てニコリと微笑むと、何だか胸が騒めいた。
ほんと綺麗だな…、グロスを塗ってぷっくりした唇が色っぽい。
「私さぁ、さっき彼氏振ってきちゃった」
「え?」
別れてきたにしては元気な様子に戸惑う俺。
「彼氏ってさ同級生なんだけど子供なのよねー、いちいちしつこくてね、おまけに束縛激しくて嫌になっちゃった」
「そうなんだ……」
「だからね、今フリーなのよ」
そしてうっとりするような上目使いで俺を見ちゃうなんて…あぅ…。
姉ちゃんそれって、誘ってんのか?
ぐはっ!!!
こんな美人を拒否れる男がいたら教えてくれ……。
俺は無理だ!!!
身長は165cmくらいだろうか、でかいおっぱいが時折俺の腕を掠めるが、ウエストは細く足だってきゅっと締まってグラビアアイドルのようにキュートだ。
なのに長い睫毛や整った鼻筋とかは静月とそっくりで、きっと静月が女だったらこういう顔をしてたに違いないっと思わせる容姿だ。
そんな事をぼんやりと考えている内に、いつの間にか静月邸に入っていた俺は、昨日の執事にぺこりと頭を下げて挨拶をした。
「田中さん、お茶はいいわ。私が部屋で入れるから大丈夫よ」
「かしこまりました」
田中って言うのかこの執事さんは…、にこやかに笑って迎えてはくれるが、白髪交じり眼鏡の奥から覗く瞳は威厳を感じられて貫禄がある。
田中執事の横をすり抜けエレベーターに向かった俺等は、ドアが閉まるなりどちらともなく性急にキスをした…。
エレベーターの中で俺らの指は絡まった。
まるでそれが合図のように微笑み合うと、エレベーターを降りて姉ちゃんの部屋に入るなり俺らは抱き合った。
クチュ…、チュ…。
俺等はキスをしながら、服の脱がし合いっこする……。
姉ちゃんのカッターシャツを脱がすと、レースのブラに窮屈そうに治まっていた、でかいおっぱいが現れた。
その大きさに期待が膨らむエッチな俺。
腰に手を回し形の良いヒップを撫でると、姉ちゃんは少しばかり身体を震わせた。
「う…ん…、イケメン君キス上手ね…」
「姉ちゃんもな…」
「万里香って呼んで…」
姉ちゃんはうっとりとした顔で俺を見てそう言った…。
その顔がこの前キスの途中で見せた静月の顔と重なったが、姉ちゃんが俺の首に腕を絡ませてくると理性は吹っ飛び、静月とそっくりな形の良い唇に舌を這わせた。
姉ちゃんも慣れているのか静月に負けないくらいキスが上手かった。
ただ違うのは身体の柔らかさや、ナイスバディの肉体だろうか…、静月は男だからもちろん筋肉質で柔らかくは無く、がしりと掴まれると俺なんかあっさり身動きできなくなる…。
…て、何を俺は妄想してるんだ!!!
ここは姉ちゃんに集中するところだろ!
静月のベッドよりは狭いが、それでも見た事のないようなサイズのベッドの上へと、俺は姉ちゃんに押し倒された。
姉ちゃんが俺の上に跨ると、俺の目の前でブラを外したら豊満でピンク色の乳頭が露わになった。
おぉぉ!
なんて綺麗なんだろう…、顔も然ることながら身体も本当に綺麗だった。
俺は姉ちゃんのヒップを撫でながらゆっくりとショーツを脱がし、反対に俺は姉ちゃんにズボンを脱がされボクサーパンツを降ろされると、姉ちゃんは可愛くにニコリと笑うと俺の息子を口に含んだ。
まじ?
姉ちゃん慣れてんな?!!
睫毛を伏せて俯いた顔がまた静月に見えて何だか複雑だったが、姉ちゃんの絶品テクで俺の息子ちゃんはあっと言う間にフル勃起!!!
…っ!
そこで姉ちゃんは顔を上げると、俺の胸に身体ごと圧し掛かって来た。
「お口ではイカせてあげない、もうすぐ凌駕帰って来るんでしょ?」
そうだった!
こんなこと見られたらただじゃ済まないな。
「だから早く挿れて?運動しましょうよ」
俺の唇を指でなどりながら、姉ちゃんはおねだりするように微笑んだ。
スポーツか!
でも超絶可愛いな。
いいよ、お望み通り何でもするよぉぉ。
俺はくるりと回転して姉ちゃんを押し倒し、その綺麗なおっぱいを掌に受けながら乳首を口に含んだ。
「…あ…ん…」
姉ちゃんが吐息とも取れるような甘い声を零した…。
「早く…」
姉ちゃんが俺の頭を引き寄せながらキスをせがみ、足を俺の腰に絡ませて来た。
そして、その足を更に持ち上げて、いざ挿入しようとした時…。
バターーーーーン!!!
え?!
俺等はベッドの上で固まってしまった…。
何故なら…。
何故なら…。
ご察しのように…。
ドアを勢いよく開けて入って来た人物は、見た事のないような怒りまくった顔をした静月だった…。
ひぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!
俺…、死んじゃう?
死んじゃいそうだよね?
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