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第10話
俺は咄嗟に姉ちゃんにシーツを掛けたが、静月は俺が脱ぎ散らかした服を拾うと、あっと言う間に側までやって来て、まっ裸で恐れ慄いてる俺を羽交い絞めにしながらズルズルと部屋から引っ張り出した。
勿論、俺の息子ちゃんまで静月の剣幕に震え上がり、まっ裸というあられもない格好で廊下を歩く様は間抜け過ぎて笑えるが、今は静月に何をされるか分からないという恐怖が勝っていた…。
ガクガク…ブルブル…。
まだ、何もして無かったんだからな?
神様、俺生きて帰れますように…。
バターーーーーーーン!!!
静月はドアを思いっきり閉めて、ガチャリと鍵を掛けた…。
ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!
これで誰も俺を助けに来ることはできない、どうすればいいんだ?
ここはただひたすら謝ろう…。
「し…、静月!」
俺の声を完全に無視して静月はベッドまで俺を連れて行くと、その上に俺を突き飛ばした。
その拍子に仰向けに倒れた俺は、次の瞬間、素早くネクタイでぐるぐる両手を縛られた。
うわっ、逃げられねーぞ…これじゃ…。
静月の顔は怒りを顕わに眉間を寄せて俺を睨んでいる…、怖いんだけど…俺生きて帰れるだろうか…。
「わ…、悪かったよ…、ごめん…」
静月は顔色ひとつ変えず、起き上がろうとした俺の肩を押して再びベッドへ倒した。
「し…静月、ごめんてば…」
「言ったよね?姉貴に手を出したら殺すって」
俺の上に跨った静月が目を細めて、俺を見下ろしながらゆっくりと口を開いた。
うん……、言った……かも知れない……。
こえ~~~よ、静月…。
当然だけど目が笑ってないよね?
俺は静月の静かな威嚇に、頭を振ってコクコクと頷くことしかできなかった。
だけど…、だけど…、怒ってる静月ってさ…、何だか壮絶にかっこいいよな…。
え?
俺、今何思った?
俺……、何考えてんだ?
「葵」
いきなり名前を呼ばれて、ドキリとする…。
「は…、はい…」
「こんなにいきり立っちゃってさ、どんだけやる気だったの?」
そう言いながら、さっきは萎えたと思われた俺の息子ちゃんは再び元気を取り戻していたのに驚きつつ、次の瞬間静月がその裏側をそっと撫でたものだから俺は思わず身震いした。
うはっ!
ダメだろそこ触っちゃ!
もう俺はいっぱいいっぱいなんだからさ!
「や……やめろ……」
「葵…」
「は、はい…」
息も絶え絶えな俺の顎を掴んで自分の方へ向かせる静月の美しいこと…、女子だったらもうこの時点で何されてもいいなんて観念しちゃうんだろうな…。
その気持ちもわからないでもない……。
「俺に殺されたかったわけ?」
「ま……、まさか!あれは…成り行きで…その…」
「まあ、知ってる。あいつがビッチなのも、葵がビッチなのもな」
姉ちゃんはともかく、俺がビッチなのは否めない…うん、認めるよ…。
「悪気は…無いんだよ?…うぁ!!!」
静月が俺の息子ちゃんを握って軽く扱いた。
気持ち良さに思わず声が上がり、仰け反ってしまう…。
「な…に、すんだよ!」
これ以上触られると、静月の綺麗な手の中に白濁を吐き出しそうになるので、更に静月を怒らせることは避けたいと思い、止めて欲しくて身を捩り抗議するもやめてくれず、我慢の限界に達して俺は泣きそうだった。
「泣きそうだな…」
そん時、静月がフッと笑った。
そうだよ!
静月が俺の身体に触れる度に俺はフルフル震えてるんだぜ?
イカセてくれよ…。
でもどの角度から見ても静月はイケメンだよな…、こんな時ですら俺は自分の立場を忘れてその美貌に見惚れる…。
が、今はそんな場合じゃ無かった!
「し…、静月…」
「凌駕って飛べと言ったろ?」
そんな場合じゃねぇ…。
「凌駕…、もう二度と…姉ちゃんには手出さないからさ…たのむ…許してくれ…」
「葵、俺は殺すと言ったら殺すよ?」
えええ…。
それから静月はどこからかコンドームを取り出すと、俺の上に乗っかったままこれ見よがしに口で袋を破って見せた。
ん?
コンドーム?
何すんのーーーーーーーーーっ?
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