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結局、俺らは大泣きして目を腫らしてしまい、教室に戻ることを諦めてうだうだくだらない話を体育館の裏でしながら時間を潰して、放課後のホームルームに戻ろうとしたが、今日に限ってHRは早めに終わっていたので、二人で教室に戻った時にはもう誰も居なかった。 将生は死ぬほど練習をすると言って、やたら張り切った振りをして部室へ向かい、俺には早めに静月との誤解を解くよう背中を押された。 どうしよう……今から行くか……やめようか……。 俺が将生にキスをしたのを見られた。 ”俺から”したのだ……、怒ってるよな……? 俺が本当の気持ちを告ったとしたても信じてもらえるだろうか……。 そしてあいつこそ、俺に対して身体だけの関係を『好き』だと言うのなら、俺は耐えられるだろうか……、今までと違うこの感情をあいつの前で抑えきれるのだろうか自信が無い。 でも、あの時は本当に将生と居たいと思ったんだ。 それも正直な気持ちだ。 俺だけを見てくれる、穏やかな将生と一緒に居た方が心地いい……。 だけど、どうしようもなく静月に惹かれるのも事実で、傷つくことがわかっていても傍に居たいと思えるし、激しいセックスを思い出したら下半身がざわつく。 これ十分な理由だろ! いや……下半身は違うか……、一緒に居たいと思うのはホントだ。 あの人を見下したような冷たい視線で俺を睨んでも、横暴な態度で俺をベッドに張り付けても、あいつに会いたいと思う。 行こう! あいつに会って、俺の気持ちを伝えよう! そう思ったら足は静月家に向いて動いていた。 今会って本当の気持ちを伝えなければ、俺たちは終わりそうな予感がしていたかだ。 校門を抜けて石畳走って角を曲がれば城のような家が見えて来る。 ハァハァハァ……息を切らす程走って辿り着いた静月家の入り口で、誰かと一緒に居る静月を見つけた。 その横顔を見ただけで心臓が爆音を立てる。 どうしても話をしたくて、相手を無視して静月の側へ走り出そうとしたその時、静月が横に居た人物の肩に手を回したのを見て俺はギョッとした。 あれは……、潤だ。 相手の横顔が潤だと分かった瞬間、俺の足はコンクリで固められたように、その場から前に進めなくなってしまった。 そして、間の悪いことに俺に気が付いた静月が、こちらをふっと見たので目が合ってしまった。 俺を見るそのヒヤリと冷たい視線が心臓に突き刺さる。 しかし、まるで俺の事など目に入らなかったように無視して、潤の肩を抱いたまま屋敷の門の中へと入って行こうとする。 なんだと? そのみごとな無視っぷりに俺は戸惑ってしまい、身体はその場で硬直したまま動けない。 俺はどうしても将生とのことを謝って、今の気持ちを伝えたいのに……。 なんで潤と……? 付き合って無いって言ったよな? だとしたらそんなに馴れ馴れしく肩を抱くか? それとも、潤も俺と同じで遊びなのか? 静月……、お前が何考えてるのか俺にはさっぱりだ……。

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