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「あ……っ、あぁぁぁぁ……はっ……ハァ……ハァ……ぁ……い……イクッ……い……くっ!」
パン、パンパンパン……、身体がぶつかりあうリズミカルな音が静かな室内に響いていた。
背後から腰を両手で固定された俺の身体が揺さぶられ、これでもかという程に激しく突き上げられている……。
「あ……っ、も……だめ……いくっ……い……ぁ……」
あぁぁぁ……、激しい快楽が熱となって俺の全身を駆け巡り、だらしない蛇口のようにさっきからカウパーが流れ落ちてシーツを汚す……。
どうしてこうなった……。
俺は一言、文句が言いたかっただけなのに。
なんで……、こんなことになってんだよーっ?!
いつも通り冷静な執事に案内されて部屋に入った時、静月はひとりでソファに座っていた。
どうやら潤はいないようでホッとはしたが、相変わらず偉そうに顔も上げずスマホを視ながら側に来るよう命令されて、俺はむっとしたのでドアを背に立っていた。
俺が近寄らない気配を感じて静月は顔を上げると、これまた機嫌悪そうに眉間を寄せて俺を見た。
「葵、外に誰かいなかった?」
意外な質問に戸惑う俺。
「え?誰が?」
「いや、居なかったのならいい……」
どういう意味だよ。
やはり誰かを呼ぶ気だったのか?
3Pとか想像するだけで吐きそうになる……。
静月は少し考え事をしているようだったが、もう一度自分の側へ来るよう再び俺を呼んだ。
「こっち来いよ、ヤリに来たんだろう?」
おっま……、そんな不機嫌な顔してお前こそやる気なんてねーだろよ!
ほんと、最悪こいつ……、俺も怒りがふつふつ湧いて来た。
「ちっ……げ……」
『ちっげーわ!』と言いかけて、自分から『エッチ』したいって送ったのを思い出した。
今更なんて言い訳しようか、考えていたら立ち上がってこっちへやって来た静月に腕を引っ張られてソファに倒された。
風呂上りなのか、いつも静月が使っている高級なボディソープの懐かしい匂いがした。
この匂いだ……、俺らが朝まで激しくエッチを繰り返し、意識を飛ばす程の快楽に溺れた夜を思い出させる香りだ。
静月は俺の上に乗っかると、頬に添えた親指で唇を撫でた。
「葵は小悪魔だね、それもかなり魅力的な……、そうやって俺の心を乱すんだ……」
そう言う静月の顔は意外にも真剣で、なんとも複雑な表情をしているのが気になったが、でもそんなことを言って心を乱すのはお前の方じゃないか、何が言いたいんだよわけわかんねーと、俺は心の中で叫んでいた。
「やめろったら……」
静月の甘い手口に乗ってはいけない、そう思い直して手を振り払った。
「どうして?」
前にもそんなこと言われたっけ、いつもそんなことを平気で聞く、のこのこやって来た俺も俺だけど、こいつもゲスくてホント腹立つ……。
「散々悪態ついて帰って行ったのに、まさか来るとは思わなかったよ」
そしてあっと言う間に何時もの静月に変わり、嫌みたっぷりな笑顔でニヤリと笑った……クソっ。
「それは……」
嫌がらせだよ!
と、言いたかったが嫉妬してるのがバレたら悔しいので心に留めておいた。
「俺が潤とヤッてるとは思わなかったの?それとも嫉妬したのかな?」
「ちげーわ!」
「わかりやすいな葵は」
言い当てられて、恥ずかしくなった俺の顔はきっと耳まで真っ赤に違いない、声に出して笑ってやがる。
「違うと言ってんだろ!」
「でも、会いに来てくれたんだよね?凄く嬉しいよ」
そう言って、嬉しそうにキスをしようと顔を近付けて来たので、逃げるように横を向いたら頬にちゅっとキスをして、そこから首筋へと音をたててキスしながら唇が移動する。
「まじ、やめろってば!そんなつもりで来たんじゃねーから!」
「じゃあ、どんなつもりだろう?」
「ん……と……」
うーむ……、なんて言い訳しようかと考える。
激しい嫉妬に襲われてやって来たものの、本人目の前にしてどうすればいいんだこれ……?
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