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「どういうこと……だよ……?」 「今日で終わりってこと」 静月は恐ろしく淡々とそう言った。 なんか眩暈がするぞ……、急にそんなこと言われても頭がグラグラして言葉を理解できない。 「俺が傍に置きたいのは浮気しない相手だ。葵は俺が求めてる相手じゃない」 「え……」 まるで、暗く深い落とし穴に突き落とされたような感覚で、ナイフが皮膚を切り裂くようなヒヤリとした痛みが襲って来た……。 何で急にそんなこと言うんだ。 おまえが一番似合わないセリフだろ? 俺の告白なんて結局はどうでも良かったのかよ……。 あんなにも一生懸命考えた結論だってーのに、静月の心に届くことなくあっさり流されたのか。 なんだよ……、自分だって誰とでもヤッてるくせに、俺だけに忠誠を求めるのかよ! でも……。 もしかしたら今言ったことが本当なら……、俺と遊んでいた間は誰とも遊んで無かったのか? マジで……? いやそれは無いだろう……、相手を取っ替え引っ替え、一夜限りの関係しか持たないと噂のある静月だぞ? 「俺は隣の部屋でシャワー浴びるから、ここのシャワー使っていいよ」 静月は服を着ると、そう言い残してさっさと部屋を出て行った。 俺たち終わり……? 本当にこれで終わりなのか? 俺の気持ちが揺らいでる間にとった行動が、静月を幻滅させたのか……? 俺は軽くパニックに陥りながらも、ベッドから起きてまだ力の入らない足でのろのろバスルームへ向かった。 どっちにしろ今日は最後のつもりだったんだ……、そう思うと中出ししなかった理由もわかる。 もう決めていたんだな……。 シャワーから落ちて来る水に紛れて、俺の目から溢れた涙が流れて行った。 確かに静月は将生との仲を疑ってはいたけど、実際はキスしただけだし……いやフェラもされたけど……、許せないほどそんなに嫌なことだったのか? 自分だって潤とキスしてたじゃないか、自分は良くて俺はダメってことか? そんなのフェアじゃないだろ……。 どのくらい時間がかかっただろうか、ショックでぼんやりしながら着替えて出て来た部屋に静月の姿は無かった。 そして更に俺を落ち込ませたのは、テーブルの上に俺のスマホと並べられて置いてあった、ブレスレットを外す鍵があったことだ。 「はっ……マジで?ウケル……」 思わず笑えた。 外して行けと言うことか……、本当に終わりなんだな。 今までこんなにも静月がきっぱり別れを告げたことは無かったから、本気なんだと実感した。 やっぱ、ここに来るべきじゃなかった、こんなことになるのなら……。 いや、来て良かったのかな、結局こうなるんだったら先延ばしにするよりいいのかも。 俺ってめでたいわ、何時までも静月が俺に感心があると思ってたなんて。 俺は涙で霞む鍵穴に鍵を差し込んでブレスレットを外すと、それをテーブルの上に置いて部屋を出た。 終わった……、今度こそ本当に終わった。 ……そう思った。 玄関に出ると黒塗りの車が用意してあって、運転手がドアを開けてくれた。 身体も心もクタクタな俺は今日ばかりは素直に乗って後部座席に落ち着いた。

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