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時間が早いのか、土曜の夜はほぼここに居るはずの大河が、意外にも今日はまだ来ていないようだった。
電話にも出なかったので、もしかしたら今頃は……、まあいいや、羨ましいとか……ねーし!
なので俺はとりまカウンターでドリンクを注文し、知り合いが俺を見つけて手を振っていたので振り返していた。
椅子に腰かけドリンクを飲みながら辺りを見渡していたら、光がキラキラ輝き降ってくる大勢が躍るフロアの中で、楽しそうに踊り狂ってる二人連れの女の子達がいて、その娘がふと顔を上げた時、俺と目が合った。
あ、二人とも可愛いかも。
ひとりは茶髪の長い髪の毛で、ウエストがきゅっと引き締まったナイスバディの持ち主で、もうひとりも長いウェーブが掛かった黒髪の、目がくりっと大きくてどこかのアイドルグループにいるような綺麗な顔した娘だった。
そのキラキラお目眼でこっちを見ている、その熱い視線はイケるんでないの?
多分俺より年上で、面倒なく気楽に付き合えそうな雰囲気バッチリ、そんなゲス心が湧いてくる。
ちょっくら声掛けてみるか。
と、思って俺がカウンター席を降りようとしたら、向こうから二人がやって来た。
「ねぇ、一緒に踊らない?」
黒髪のお目めぱっちりのかわい子ちゃんがそう言った。
近くで見るとエクステの長い睫毛がバサバサ音を立てそうに長かった。
「いいよ」
断る理由はどこにも無くて、俺の即答に可愛い子ちゃん二人の顔もパッと輝いた。
昔に戻ったようで、女子に囲まれながら降り注ぐ音楽を聴いていると、そんなに昔のことでもないのに凄く懐かしかった。
前ほどのイケイケ感は薄れたものの、まだ酔っていないせいか全てを冷静に判断できている。
でもそれじゃダメなのだ、俺の頭の片隅にはいつもあいつがいる……、忘れようとしても忘れられないのは、強烈にあいつが俺の中に入ってきたからだ。
でもあいつが自由に遊び呆けているのなら、俺もそれでいいじゃないかといつも思う、でもすぐに絡んでくるからほんとこの頃は憎しみさえ覚える。
「ねぇ、あなた幾つなの?」
「俺?いくつに見える?」
「そうねぇ……、18か19歳くらいかなー」
「ざんねーん、惜しーな!」
「じゃあ、いくつなの?」
「歳関係ある?少なくともえっちの回数は君らと変わんないと思うよ?」
「やだぁーっ」
と言いながらも、彼女らは嬉しそうに笑っている。
猫毛で柔らかそうな長い髪の毛がゆらゆら揺れていて、唇のグロスが艶々と輝く様子はかなりエロい。
俺は今夜この子たちを抱くのかな……、3Pとか昔の俺だったらゾクゾクしたわ。
クネクネと腰を振って踊る様子は、彼女らもその気なんだろうと思った。
しばらく踊ってからボックス席で飲み物を飲んだり、挨拶に来た友達と会話を楽しんだり、俺のテンションも上がってきて、再び女の子達とフロアで踊りまくっていたら……、なぜだか……、ちょっと気分が悪くなってきた。
なんだろう……、頭が痛い。
「やべぇ……俺……ちょっと気分が……」
これはマジで、久しぶりにここに来てテンション上げ過ぎて酸欠状態になってしまったようだ。
酒は飲んだらヤバい事になるので一滴も飲んでないはずなのに、薄暗かったからもしかしてグラスを間違ってひと口飲んだかな……?
「じゃあさ、どこかホテルで休もうよ」
黒髪の子が俺の身体を支えるように側に寄って来た。
顔は微笑んでいる。
「ホテル……いいね!」
「行こ行こ!」
もうひとりの茶髪のお姉ちゃんも横に来ると胸を摺り寄せて来た。
うはっ、おっぱいでかいなこの娘、両手に花かこれ!
てか勃つかな俺……、眩暈がするほど頭が痛いが……、ホテルに着くまでに治るといいな。
「じゃあ、行こうぜ……!」
俺はほぼ強引に腕を取られてフロアを後にした。
部屋で少し休めばきっと気分も良くなるだろう、少し休めば……。
そう思いながらフラつく足取りで階段を上がり、外へ出た辺りで不覚にもいきなり意識が途切れた……。
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