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第43話
俺は隣の席で、前を向いて教師の話に耳を傾けている静月の横顔をチラ見した。
ホントにこいつは軟派なのか硬派なのか分からない奴だ。
こうやって授業中は真面目に聞いているが、一旦教室を出ると外で何をしてるのか知れたものじゃない。
経験値は俺より断然上だろうな……、悔しいけど……。
「なに?」
気が付くと静月が俺の方を向いて小声でそう言った。
どうやら、ぼーっとしてたらしい。
「え……なんでも……」
「分からないでも無いけど、俺に見惚れてた?」
クソ腹立つ!!!
真面目な顔して言うな、冗談にも聞こえねーわ。
あ、冗談じゃないのか?
「……ア、アホか!んなことあるわけねぇだろ!」
胸の内を見透かされて焦った俺の声が、思いの他デカかったらしい。
「河野、煩いぞ!」
なんで俺だけ……、先生に注意された……。
静月は口角を上げて馬鹿にしたようにクスリと笑う。
くそぉ……。
なんかこいつと席が隣になってから俺調子悪い気がする。
と言うか、こいつにテンポを狂わされてる感ハンパない。
プイッと反対側を向けば、窓の外の青空を緩やかに雲が流れていた。
昨日、あれから瑛斗と静月は……、その……ヤッたのかな……?
精力旺盛な静月のことだからきっとヤッてるよな……。
静月の肌から匂い立つ何時もつけている香水と同じ匂いのする広いベッドで……、瑛斗を啼かせたんだろうか……。
ハッ!
俺何考えてんだよ!
そんなことどうでもいいじゃないか、もう俺は静月とは関わらないつもりだし、お仕置きも終わったから、後は静月の誘惑を断ち切ることだけに専念しよう。
幸い昨日の様子なら、断固拒否すれば意外とアッサリ手を引いてくれそうだ。
ということは、誘惑も一種の遊びで、相手にその気がなければ無理強いはしないのかも知れない。
まあ、静月の相手になりたい奴は大勢いるしな……。
このまま、まともに数日は補習を続けてれば、もう二人っきりになることは無いだろう。
そして元に戻るのだ……。
後数日間我慢すれば、忘れられる……きっと。
そう思うことにしたら急に眠気が襲ってきた。
こんなうららかな午後は昼寝に限るな、フケるとしよう……。
保健室に長瀬ちゃん居るかな……、鍵開いてるといいけど……。
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