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俺はムカつきながら部屋の中にドカドカ入って行くと、静月の目の前にあるガラスのテーブルの上に、鍵をガチャリと乱暴に置いた。
それでもこいつは反応せずに顔も上げやしない。
「なんで起こしてくれなかったんだよ、こんなとこまで持ってくる羽目になったじゃねーか!ラインで呼びつけやがって、一体何様だってんだボケッ!」
俺が余りにもぎゃあぎゃあ喚いたからか、漸く顔を上げた静月はこっちを向いて冷静に言った。
「起こしたけど起きなかったくせに」
「え……」
……う……。
「何度も起こしたけど?」
不快そうな表情をして静月が俺を見た。
む……ぁ……、俺は確かに一旦眠りにつくと寝起きが悪い……。
一応、起こしてはくれたのか……、でも……、それでもそのまま放置は無いだろ!
と、脳内で怒りが再び沸々湧いて来た。
「と……、とにかく……、返したからな!」
そう言い放って、すぐドアへ向かったが、後ろからゲスい言葉を投げてきた。
「あれ?ヤリに来たんじゃないの?」
はぁぁぁぁぁ?
思わず振り向いてしまった。
今、何て言った?
聞き間違いか?
「あぁ?アホか?惚けたこと言ってんじゃねーよ!」
憎たらしいことに、静月は馬鹿にしたように微笑んでいた。
「てめぇが持って来いって言ったんだろうが!」
「にしても、のこのこ来るとはね」
静月はスマホを傍らに投げると、腕組みをして偉そうに俺を見ていた。
ムカツクー!!
なんかそんな気もないのに、そういう風に思われてたかと思うとめちゃくちゃ腹が立った。
「死ね!」
俺は捨て台詞を残して、再び静月に背を向けドアに向かう。
そして、ドアノブに手を出した途端、後ろからヘッドロックされた。
ぐはっ!
……く……苦しい……!
そしてそのままズルズル部屋の中へ連れ戻されると、身体ごと抱えられてベッドへ放り投げられた。
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