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うぉぉぉい! 「何すんだよ!クソ野郎!」 そして、俺が逃げられないよう馬乗りになって来た。 「葵って、ほんと言葉使い悪いよね」 「今、それ関係あるかよ?どきやがれ」 俺の身体にのしかかる静月を跳ね退けようとしても、手首を掴まれる始末で……、俺が非力なのかこいつの力が強いのか分からなかったが、ジムで鍛えてると噂の身体は、確かに腹筋が綺麗に割れていて、男の俺が見ても美しかったよな……。 いやいや、今それどころじゃ無いだろ俺! 「急いで帰ること無いだろう?」 「何言ってやがるこのゲス野郎!」 「そのゲス野郎にイカせられて、あんあん喘いでいたのは誰だっけ?」 ぐはぁ、それ言うなし! 顔が赤くなるのが分かった。 「あんな事されて……、感じない奴がいたら不思議だわ」 「うん、感じてたよね?」 ごふっ! そういう事言うな! 静月はにっこり微笑んで顔を近づけて来ると、咄嗟に横を向いた俺の耳たぶを甘噛みした。 「う……ぁ……っ」 思わず声が出て、身体がぷるると身震いした。 やめろや、そこ! 俺の敏感なところ! 殺すぞこらぁ! 「この……どアホが……!」 「葵って全身性感帯だよな、どこ舐めても感じるよね?」 反論のしようがない……、確かに特に首筋とか弱くて、美容院で触られると身体がふるふるするから、めちゃ恥ずかしい。 なのにさっきから首の辺りを静月が舐める度に、身体が素直にピクリと反応して、歯痒さに泣きたいほど悔しい……。 「ざけんな、てめぇ!」 俺は静月の制服を掴んで重い身体をどかそうとしたが、その手をあっさり躱されて、この頃よくあるシチュエーションの、両手を頭上に張り付けられた……。 そんな非力な自分が情けなく、腹が立ってさらに抵抗を試みるが、揉み合ううちに静月の唇が俺の頬を掠め、鼻先が擦れた……。 「暴れないで葵」 その強硬な態度とは裏腹な、優しい声して耳元で囁くから、俺の動きが止まり、一瞬目が合った。 さっきまでのどこか嘲りを含んだ瞳では無く、熱を秘めたような目で至近距離から俺を見下していた。 でも、今日の俺は怒ってんだ。 もうお前とは二度と絡まない。 瑛斗とのこともあるし、後々、面倒なことになりかねないからだ。 俺は力を振り絞り、静月を突き飛ばして起き上がろうとしたが、物凄い勢いで腕を掴まれベッドへ連れ戻されると、どこから出してきたのか手錠がいきなり嵌められた。 ガチャッ!!! え……。

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