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放課後になって、ラインをチェックしていたら、すずいから『今日はクラブで遅くなるからお弁当買ってくるけど、食べないとママに気づかれちゃうからね』と、要するに外泊するんじゃないよ?的な脅かしがきていた。 以前、外泊したために食べていない弁当がテーブルに置いてあったことがあって、食べてない→外泊、という方式で激怒されたことがあるからだ。 なのでこの頃の俺は行動には酷く気を遣う……。 こいつのせいで……。 「葵、お待たせ」 静月は放課後少しばかり職員室に用があって、今教室に戻って来た。 ちゃんと言いつけを守って待ってる俺は、勝手に帰ると激怒するこいつが怖いから、スマホをいじりながら忠犬ハチ公の如く従順に帰りを待っていた。 俺の他は誰もおらず、ホームルームが終わるとみんなさっさと帰ってしまっていた。 勿論、女子たちは静月の機嫌が悪くなるので先に帰した。 あれ? じゃあ、補習は別にここでもいいんじゃね? と思って、提案すると、以外にもあっさり静月は承諾した。 俺ら以外誰もいない教室は、ガランとしていたが、夕日が差し込み明るかった。 教科書を開くと真面目な顔をした静月が、数学の公式を淡々と説いてくれていて、あらぬ方向に行かぬ気配に俺は少しばかり安堵していた。 そんな普通に補習して過ごし、かれこれ小一時間ほど集中した頃だろうか、何度も解いては間違えてでこピンくらって額を赤くした頃、ノートを消す俺の手から消しゴムが床に転がった。 それを拾おうとしてお互いが伸ばした手がぶつかってしまうという、まるで漫画さながらのシチュエーションに俺は笑おうとしたら、静月がおもむろに俺の手を掴んだ。 え? そして指を絡ませてくる……。 おい……。 「もう今日は終わりにしよう」 「いいけど……」 だからその手を放せよ。 「俺ん家行こう……、そして昨日の続きをしようよ」 「嫌だ」 俺は即答した。 冗談じゃねー、二度と行くか! 「じゃあ、あの動画拡散されてもいいの?」 ハッ! 意地悪そうに口角を上げて微笑んでいる。 やっぱそこで脅迫ですか! こいつならやりかねないのが恐ろしい……。 「おまえやっぱ最低じゃねーか……」 「今更?甘いな葵は」 静月はケラケラと笑って俺の手首を掴むと、教室から引きずり出すようにその場を後にした。 今まで一点の曇もなく呑気に生きてきた俺だけど、急転直下世界に暗雲が立ち込めて来たようだ。 俺は酷いやつに捕まったのかも知れない……。 どうか神様助けて……。

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