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確かにあの動画をネタに脅迫されたらどうしようもなかった……。
静月のモノを下で咥えて、火照った顔して啼く姿は悍ましすぎて、ぐぅの音も出ない……。
拡散されたとしたらと思うと、気分が悪く眩暈がしそうだった。
「葵……?」
俺は静月に連れられて再びこの部屋に来たが、どうしようもなく気分が落ちていた。
座るよう命じられたベッドの上で静月を待っていると、俺の好きな炭酸水にミントを浮かべたグラス持ってきてくれたが、飲みたくなかったので頭を振ると、それをサイドボードの上に置いて隣に腰掛けた。
「まさか本気で俺があの動画を拡散するとでも思ってるんじゃないよね?」
「おまえならやりかねないだろう……」
「やるわけないだろう?他の奴らに葵の喘いでる姿とか見せるわけないよ、俺と葵の秘密だからね……」
そう言うと、静月は妖艶ににこりと微笑んだ。
一瞬……俺の心臓がドクりと騒いだ。
もとい、騒ぐとか無いわー。
ないない……、いつも思いもよらぬ事を言うから驚かされるのだ。
なんせ、普段からほんと嘘くせぇ……、今の俺は静月を疑うことしか知らない。
成す術もなくぼうっとただ静月を見ていたら、俺のネクタイを緩め始めて、シャツのボタンをひとつひとつ外しながら、開けた首筋にキスを落とした。
だけど今の俺は冷めていて、そこから熱は立ち上らない……。
「じゃあ、消せよ、その言葉が本当なら」
「やだ、あれは俺の宝物だからね」
キスは首筋から耳たぶに移り優しく食まれたが、欲を煽られるというよりくすぐったさに俺の肩が跳ねた。
「ふざけんな」
俺は静月の肩を押して距離を取る。
「それに葵の前であの動画を消したとしても、他に録画してるとも限らないでしょ?意味ないよ」
確かにそれはそうだけども……。
「俺を信じて葵……」
わからない……、こいつのことはまじでわからない……、何が本当で何が嘘なのか……。
「葵……、じゃあ消すよ。だから機嫌直して」
そう言うと、静月は意外にもあっさりスマホの動画を目の前で削除して見せた。
「これでいい?他には無いから安心して」
だけどもう静月の事を信用していない俺は、会話するのも嫌で背を向けた。
もうマジで嫌……、こいつと居ると疲れる……。
そんな事をぼんやり考えていたら、後ろから静月が抱きついて来た。
……!
「ごめん葵……、俺ってほんと嫌な奴だよね……」
うん……、知ってる。
「今日はもう何もしないから……」
と言いつつ、俺をベッドへ倒した。
「なっ……!」
俺が抵抗して起き上がろうとしたら肩に手を回して押さえ込まれた。
「だから何もしないから……少しだけこうさせて……」
そう言うと、俺の首筋の辺りに顔を埋めた。
どういうことだよ。
新手の攻略方法か?
悶々と考え事をしていて、黙ったまま動かなくなった俺の顔を静月が覗き込んできた。
「葵がして欲しいのなら別だけど?」
「ねーわ!静かに寝やがれ」
静月はクスクス笑うと再び横になり、更に身を寄せて来たものだから顔が俺の首に触れて、仄かに体温が伝わって来る。
添い寝かよ……。
まあいいか……、これ以上静月を刺激して話がぶり返されても困るし、第一本当に疲れていて少しだけなら横になりたいのも本音で、静月の言う通り休むだけなら俺も歓迎する。
防音が効いているのか部屋はほぼ無音で、静寂が俺らを包んでいた。
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