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次の日、静月は何事も無かったように隣に座っていて、まあ昨日は何も無かったわけだけど……何も……。
普通に授業を受けていた……。
あれからの事は何も聞かれなかったし、俺も問いもしなかった。
どこに行ったのかは気にならなくも無いが、触らぬ神に祟りなしってことで特に会話も無く、休み時間になれば将生やあずみと話をしたりして、いつものようにうだうだ過ごした。
まあ、見事な無関心ぷりは返って清々しいほどで、俺を寄せ付けまいとしてるかのようだった。
いいさ、そっちがその気なら俺は別にお前なんかに関心はねーんだし、と思ったけど、補習が終わるまでは嫌でも付き合わないといけないかと思うと、やっぱ気分が沈んだ。
さっさと終わらせたいものだ……。
午後になって、昼食を済ませば眠気を催すのは常で、俺は保健室へと向かった。
「たのも~」
と、勢いよく保健室のドアを開けたら……。
ベッドに座っていた瑛斗と立ったままの長瀬がキスをしていた。
うぉい!!!
二人はゆっくり唇を離すと、同時に俺の方を見た。
ちっとも悪びれた風もない二人は、寧ろあたふた驚いている俺を見て可笑しそうに笑ってる。
「あ~あ、見られちゃったよ」
瑛斗が笑いながら肩を竦めた。
「こら、ノックをして入って来るだろ普通、良かったよキスだけで」
この教師も、全くもってふざけている。
しかし……、なんで瑛斗と長瀬が……?
そういう関係だったの?
どーゆー事だよ……。
「お、お前らなぁ……ここで盛ってんじゃねーよ」
幾ばくかの、動揺を押し殺しつつ俺は抗議した。
「勉強だし、性教育の」
瑛斗がツンと澄まして言い放つ。
ぶっはーーーっ、さっき飲んだコーヒーが胃から逆流しそうだわ。
「ふざけんな、ここは寝る所だっつの!」
俺は怒りながら、何時ものように二つあるベッドの、空いてる方へ直行するとそのままダイブした。
あー、これこれ、怠い午後は寝るに限る。
「だよね?だから僕たちイチャイチャしてるんだけど?」
そう言いながら、瑛斗は甘えるように長瀬の首に腕を回した。
お前ら……。
……て、こいつ等どういう関係だ?
瑛斗、お前には静月がいるだろ!
このビッチめ!
「他所でしろや!」
「えー、保健室でヤルから余計に燃えるじゃん」
「あほか……」
瑛斗って意外とアホだなと思いつつ、俺はこいつ等に背中を向けて布団を掛け、寝る振りをした。
ここは休む所だろが、どっか行けよ。
「こらー!勝手に寝るんじゃない!」
「いいじゃん、観客増えて燃えるよ、続きやろうよ先生」
……え?
「それもそうだな」
おい?
そう言うと、再びキスが始まったのかチュ……、クチュ……と、怪しげな水音がしてきた。
……。
そして瑛斗のものと思われる、甘い息が漏れ始める。
「ん……あ……ふっ……ぁん……」
なので俺の目がギンギンに冴える。
背後でそういう声出すのはやめろよ……。
「…はぁ……、せ……んせ……」
ベッドのきしむ音は、二人が横になったのだろう。
服を脱がすような布が擦れる音がする。
まじか!
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