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一緒に帰宅した静月の部屋に入るなり、俺を壁に押し付けてキスをしてきた。 鞄をその場に落としたのが合図のように、静月の指が俺のネクタイを緩め取り、濡れたシャツのボタンをもどかしそうに幾つか外して湿った肌にキスをした。 顕わになった胸元を優しく唇が移動する度、そこに熱が籠る。 そして、静月の舌が耳を舐めると、俺の身体が快楽の予感にピクリと震えた。 「いい反応」 勿論、悔しいけど静月は嬉しそうな顔して笑っている。 でもしょうがない……俺は静月から煽られる欲を待ち望んでいる……。 今更隠しようがない事実だ。 それでも静月の余裕顔をどうにか崩したくて、俺は静月の首に腕を回すと自ら唇を重ねた。 今まで伊達に何人もの女子と付き合ってきたわけじゃない、キスが深くなるにつれ俺は勿論だったが静月の息が上がり、お互いの下半身が欲望を誇示し始めた。 手が腰に回され引き寄せられると、俺は静月の濡れたシャツの間からその均整の取れた背中に手を忍ばせた。 すると今度は強く抱きしめられた。 そして俺たちは抱き合いながらベッドへと雪崩れ込む。 クチュリ……チュル……、やらしい音が室内に響いている。 そんな貪るようなキスの合間で、意外にも冷静に静月が問いかけてきた。 「……葵ってハーフなの?」 そう問いかけながら、静月の指は俺の胸の辺りを彷徨っている……。 「……クォーター」 「なるほどね……、綺麗だと思った。シミひとつ無いし、透けるように肌が白いね」 肌の上をなぞるように優しく触れる。 「そして滑らかで俺の唇に吸い付く……」 そう言いながら、静月は俺の胸を舌で舐めあげてからキスを落す。 はうぅぅ……、俺の身体がピクリと震えた。 俺ってこんなに敏感だったっけ……、静月とエッチする度に自分を発見してゆくのも又癪な 話だ。 だけど何時もあっさり落とされる……。 なので完全攻略の悔しさからか、出る言葉は高飛車になってしまう。 「感謝しろよ、ただで抱かせてやるから」 「ほんと面白いね葵は。言ってろ、そんな強気も今の内だ」 静月は可笑しそうにクスリと笑った。 俺はここに付いて来た時点で、エチ友を了解していたので、静月に対してもう怖いものは無かった。 迷いが無くなると、寧ろ強気でいられた。 それでもベッドに倒され静月に見つめられると、僅かに気恥ずかしかったが、何よりもその魅惑的な瞳から目を逸らすこともできずに、近づく唇を受け止めた……。 くちゅり……、俺に違わず静月もキスが好きだ、俺たちは何度もフレンチキスを繰り返す。 相手が男だとか女とか関係なく、熱を煽られる蕩けるような甘いキスは、頭の中をかき乱す。 そして……。 欲情する。 「葵の全ては俺が貰う」 悔しいけど本当に俺は静月の言うがままに、あっさり唇を……そしてきっと脚さえも簡単に開いてしまうだろう。 だって……、気持ちいいんだよ……、それに静月はエッチに慣れてるから扱いが上手い。 噂じゃ、街を歩く時はいつも違う女や男を連れてるとか……、どっちにしろ結構なタラシに違いないだろう。 前はこんなゲス野郎のいいなりになるものかと拒否ってみたりしたが、結局は静月の舌や指に翻弄されて何も考えられなくなる。 静月は毒を持って俺を征服する……。 静月に触れられると俺は痺れて、成すがまま奴隷と化する。 思えば最初から予感はあった……、あんなにも欲望を掻き立てられたのは始めての経験だったからで、静月の前ではあっさり降伏しそうな自分が怖かったのだ。 なので、ちっぽけなプライドでもって静月を拒否し続けていたんだ。 それと明らかに普通の間柄ではないだろう瑛斗との親しそうな関係に、少しばかりの嫉妬と罪悪感を感じながら、面倒はごめんだけど……と思いつつも、思考と身体が相反していて自分でも困惑していたし、後で情けなさとやっちまった感に落ち込むことを繰り返すだろうが、それでも静月への欲情を否定できなかった。 でも今日……、俺は静月に完全に屈服する……。

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