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「あ、そうだ……」
そう言うと、静月は枕元に手を伸ばした。
ぎょっ、又手錠じゃないよな?
そんなこと思っていたら、小さな小箱を開けて中身を取り出し指に引っ掛けて見せた。
「これ、葵にあげる」
それはプラチナのブレスレットで、小さなクロスのチャームが揺れていた。
雑誌で見たことある、確か今人気のハイブランド品だ。
当然値段はバカ高く、高校生が持つ代物ではない。
「なんで?」
貰う謂れが無いから聞くと。
「葵が俺のモノだと言う印?」
「俺は誰のモノでもねーし!いらねーよ!」
「怒らないで、本当は喘ぐ葵の傍らでこれが揺れるのを見たいのさ」
静月が俺の手を掴もうとしたので、回転して背中を向けたら後ろから身体に覆いかぶさって来て、腕を取られそうになったので、頭上高く上げて拒否した。
「葵……」
「いらねーってば!」
「俺のモノになるんじゃなかったの?」
「それとこれとは別だ、犬みたいに首輪つけられるみたいで嫌だ」
「ああ、その手もあったな今度首輪買うよ、この白い首筋で揺れる宝石とか……、ゾクゾクするな」
そうじゃねーだろ!
静月は後ろから首筋に掛かった髪の毛を払ってそこにキスをした。
「首にキスマーク着けんじゃねー!」
「だったらブレスレットして?」
「嫌だー!」
「駄々こねるんじゃないよ。じゃあ、しょうがないね……」
静月は俺の首にキスマークをしようと唇を落とす。
そんな所につけたらからかわれるのは必須で、後々面倒だから、後で外せばいいしまあここはとりま言うことを聞くか……めんどくせぇ奴だ……。
「わかったから……」
「じゃあ、こっち向いて?」
俺が渋々仰向けになると、静月が唇に軽くキスをしてきた。
「最初から素直につけとけばいいのに」
そう言いながら、俺の腕を取るとブレスレットをつけ、そこにキスを落とした。
その仕草が酷くセクシーでつい見惚れてしまった。
「似合ってる。これで葵は俺のものだからね」
「だから……」
誰の物でもないって言いかけた途端、伸びてきた指先が俺の乳首を摘まんだので、ヒクりと腰が動いた。
あぁぁ……、淫乱な身体が恨めしい……。
「俺以外にはこんなに発情しないでしょ?」
そして身体中を撫でながら乳首を口に含んで舐め回す。
「はっ……ん……や……め……」
「葵の唇は嘘つきだね、止めてなんか欲しくないくせに」
静月の熱い掌が胸から腰へと移動する度に、全身の細胞がアワアワと活性化してゆき、身体の中心に火が灯るようだ。
勿論、止めて欲しくはないけど、自分を見失うのが怖くて立ち止まりたくなる。
「俺に任せて、狂おうしいくらい啼かせてあげるから」
そんな綺麗な顔で優雅に微笑まれると胸が騒き、静月から目が離せなくなる。
きっと天性のたらしだろうな、自分の魅力を知りつくしてるし、また自信もある、何より高慢だけれど有言実行でやることはきっちり決めてくる、それは俺を酷く惹き付けた……。
癪だけど……。
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