78 / 213

78

「あ、そうだ……」 そう言うと、静月は枕元に手を伸ばした。 ぎょっ、又手錠じゃないよな? そんなこと思っていたら、小さな小箱を開けて中身を取り出し指に引っ掛けて見せた。 「これ、葵にあげる」 それはプラチナのブレスレットで、小さなクロスのチャームが揺れていた。 雑誌で見たことある、確か今人気のハイブランド品だ。 当然値段はバカ高く、高校生が持つ代物ではない。 「なんで?」 貰う謂れが無いから聞くと。 「葵が俺のモノだと言う印?」 「俺は誰のモノでもねーし!いらねーよ!」 「怒らないで、本当は喘ぐ葵の傍らでこれが揺れるのを見たいのさ」 静月が俺の手を掴もうとしたので、回転して背中を向けたら後ろから身体に覆いかぶさって来て、腕を取られそうになったので、頭上高く上げて拒否した。 「葵……」 「いらねーってば!」 「俺のモノになるんじゃなかったの?」 「それとこれとは別だ、犬みたいに首輪つけられるみたいで嫌だ」 「ああ、その手もあったな今度首輪買うよ、この白い首筋で揺れる宝石とか……、ゾクゾクするな」 そうじゃねーだろ! 静月は後ろから首筋に掛かった髪の毛を払ってそこにキスをした。 「首にキスマーク着けんじゃねー!」 「だったらブレスレットして?」 「嫌だー!」 「駄々こねるんじゃないよ。じゃあ、しょうがないね……」 静月は俺の首にキスマークをしようと唇を落とす。 そんな所につけたらからかわれるのは必須で、後々面倒だから、後で外せばいいしまあここはとりま言うことを聞くか……めんどくせぇ奴だ……。 「わかったから……」 「じゃあ、こっち向いて?」 俺が渋々仰向けになると、静月が唇に軽くキスをしてきた。 「最初から素直につけとけばいいのに」 そう言いながら、俺の腕を取るとブレスレットをつけ、そこにキスを落とした。 その仕草が酷くセクシーでつい見惚れてしまった。 「似合ってる。これで葵は俺のものだからね」 「だから……」 誰の物でもないって言いかけた途端、伸びてきた指先が俺の乳首を摘まんだので、ヒクりと腰が動いた。 あぁぁ……、淫乱な身体が恨めしい……。 「俺以外にはこんなに発情しないでしょ?」 そして身体中を撫でながら乳首を口に含んで舐め回す。 「はっ……ん……や……め……」 「葵の唇は嘘つきだね、止めてなんか欲しくないくせに」 静月の熱い掌が胸から腰へと移動する度に、全身の細胞がアワアワと活性化してゆき、身体の中心に火が灯るようだ。 勿論、止めて欲しくはないけど、自分を見失うのが怖くて立ち止まりたくなる。 「俺に任せて、狂おうしいくらい啼かせてあげるから」 そんな綺麗な顔で優雅に微笑まれると胸が騒き、静月から目が離せなくなる。 きっと天性のたらしだろうな、自分の魅力を知りつくしてるし、また自信もある、何より高慢だけれど有言実行でやることはきっちり決めてくる、それは俺を酷く惹き付けた……。 癪だけど……。

ともだちにシェアしよう!