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「困った子だ」 可笑しそうに静月はそう言うと、俺の頬を両手で掴んでキスをしてきた。 キスで絆そうとしてるのは見え見えで、それはうっとりするくらい甘いキスをしてくる。 手は何時しか俺の腰の辺りを優しく誘うように撫でていた。 「……ぁん……ん……っ……」 悔しいけど、思わず声が出て静月の首筋に手を当てながら身体を摺り寄せた……。 「ほら、我慢しないで乗っかって、俺もギリだから」 余裕に見えた静月の目にも熱が籠っていて、潤んだ瞳で見つめられると胸がザワザワ騒いだ。 心底俺が欲しいと熱望するような瞳は、嘘だとしたらアカデミー賞ものだろう……。 「葵……、俺が欲しくないの?」 「分かってる……だろ……」 「じゃあ、来て……」 静月は俺の手を取ってゆっくり自分へと誘った。 何がいいのか静月の俺への執着は激しい。 行為が始まると止まる事を知らないように、延々と俺の身体を求めて来る。 俺とて止めどない快楽に飲み込まれると、我を忘れて静月を受け入れた。 これが静月の言うところの相性と言うのだろうか。 そして今も言われるがままに静月の前に身体を差し出す。 ゆっくりと腰を落とすと、凶悪な程に質量を増した質感のペニスが俺の中に入って来た。 それは爬虫類のように生々しく、蠢きながらスルリと深く奥へと突き進む。 ああぁ……、これだ……俺の欲を満たすモノ……。 静月を見ると満足そうな顔をしていて、微笑みながら俺の頬に手を添え、そして褒美のように濃厚なキスをしてきた。 「ん……ふっ……」 それは蜜のように甘く、夢中になって貪り合う口の端から、零れた露が喉元を伝って身体を這う。 もう身体の芯が痺れて何も考えられない。 「葵……動いて」 そうなると俺は静月の言葉に従順で、我を忘れて自ら激しく腰を振った。 それにより激しい快楽が沸き起こり、静月は眉間に皺を寄せて俺の腰を掴みながら、まるで俺を崇めてるかのように熱の籠った瞳で見ていた。 静月のモノを咥え込んで上下してるうちに、それこそ余裕が無くなり快楽に身体が仰け反ってゆく。 なのに静月が乳首を攻めてくるのだから、身体に力が入らなくなってしまう。 「や…め……っ」 「ほら、もっと動いて……激しく……」 「う……ぁぁ……ん……」 俺の中でローションと混ぜ合った精液が、くちゃくちゃと嫌らしい音を立てながら、青くなってドロリと流れ出していた。 静月の肩を掴んだ指に力が籠る。 「う……ぁ……、もう……だ……め……、イク……」 限界が近づいていた……、いやもうとっくに限界なのだが……。 「うん、いいよ……イッて、俺もイクから……」 耳元で優しく囁かれたその言葉に、俺の内壁がより収縮すると共に俺は果ててしまい、身体から力が抜けてしまった。 やがて俺の身体がガクガクと崩れ落ちたのを見計らって、静月はズルリと自分のモノを抜き取ると、俺を仰向けににして、欲に浮かされて赤くなったであろう俺の顔に、静月の熱い精液が飛んできた。 俺で欲情してイク静月を見るのも悪くない……。

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