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久しぶりの静月の暖かな皮膚感が心地良かった。
「んぁ……っ……んっ……あん……ぁぁん……はっ……ぁん」
ダメだと分かってはいても声を止めることもができないくらい、身体の中を欲が駆け巡り熱を持って仄いていた。
静月は全身で俺を制圧していて、やはりここでもなすがままの俺になってしまう……、これ以上続けると自らおねだりをしそうで怖かった。
そして、それだけは絶対に避けたいのだ。
「あぁ……ん、や……め……もう……」
「まだだよ、俺がイッてないからね」
静月のテクニックによるエロエロなエッチに、あっさり絶頂に達する自分がマジで恥ずかしい、こんなにも簡単に落とされて、やっぱ静月とのセックスは最高だなと思うと泣けてくる……、なんで俺こんな奴を好きになってしまったのだろう……、そう……いろいろと胸が苦しい。
「淫乱な葵はどうしてそんなに虐めたいほど可愛いの?」
そう言いながら、目にかかる髪の毛を払ってくれる。
そのきっと欲望に満ちた瞳で静月を見上げると、言葉ほどに嘲った様子はない真面目な顔した静月と目が合った。
そんな目で見るなよ……、お前を誰かと共有してると思うと切なくなる……。
「葵は誰にも渡さない……」
そい言いながら、静月の指が俺の唇をそっと撫でた。
それは愛おしそうに優しく撫でてくる、そして何故だか少しばかり傷ついたような瞳で俺を見ている。
何だよ……泣きそうなのは俺だ……、いや泣いたんだ、おまえの事を思って泣いたんだよ……。
生涯、誰かにフラれて泣いたのは初めてのことだったのに……、強い言葉ほど自信が無いのかそんな傷ついたような顔をするなよ……、そしてそれが本気だったらどんなに嬉しいことだろうかと考えてしまう女々しい俺……。
そしてその時、俺は……キスを……、キスを静月にして欲しい……、不覚にもそう思ったんだ。
その気持ちが伝わったのか、次の瞬間、ゆっくりと唇が降りてきた。
俺は素直に唇を開いて静月の暖かな舌を受け入れた。
クチュリ……チュ……、くちゅ……ちゅ……。
お互いの舌が対を見つけたように、喜びに浮かれて口内で激しく踊る。
ああ……、静月のこの温もりは、その言葉通り俺の身体を芯から蕩けさす。
その首に腕を回して抱き着かないと、中から溢れだした唾液が蜜となり身体が溶けそうだ……。
キスが激しくなるにつれ水音が大きくなる。
クチュ……ちゅ……ぐちゅり……。
「はぅ……あ……ん……ぁん……」
クソ……腰を振っても無いのに、キスだけで声が漏れた。
「上書きしてやる、俺のことでいっぱいになるように」
無理矢理唇を離した静月は、熱い瞳で俺を見つめながらそう言い、腰を振り始めた。
パンパンパンッ……、狭い室内に音が木霊して、テーブルの上に置かれたガラス器具が、振動に揺れて微かにカチャカチャと甲高い音を立てている。
「う……ぁん……あん……、はっ……ん……あぁぁん……」
分かっていた……、俺は恋しかったのだ……、静月が恋しかった……、その静月だからこそ突かれるたびに感度が上がり、頭の中が真っ白になると同時に何も考えられなくなる。
この圧迫感や温もりが俺を貫いて身体を支配していると思うと、堪らなく興奮させられる。
獣のように繋がり、ファックを繰り返しながら喘ぎ声をあげる……。
「葵……、これが欲しかったんだろ?」
そう言いながら、静月が強くファックを繰り返す度に、俺はハァハァと熱い息を漏らしていた。
そんな事実を認めたくない意固地な俺は、大きく喘ぎながらも否定の言葉を頭の中から絞り出す。
「……んな……こと……ねー……わ……」
その時、静月は見慣れた魅惑的な微笑みをフッと零して、俺の脚を持ち上げたと思ったらその膝頭にキスを落とした。
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