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第12話
「皆んな、元気だったか?誰も休まずに登校したな。
3年生なんだから、5月病とか言ってられないからな。GW前に進路の件を親と相談するように言ったが、大丈夫だろうな。特に、地方から来てる者は3者面談できない。2者面談になるから、もう1度確認しておくように。3者面談できる者は日程を作成するから、保護者に確認して置く事。良いな」
GW明けのHRで、淡々と話す芳村をジッと後方の席から見つめて居た。
1週間振り…か。
元気そうだな。
今日からは殆ど毎日顔が見れるんだな。
芳村を想って1人で自慰した事は内緒だ。
凛と佇み話す芳村はやはり良い。
1週間振りに見た芳村を見て、改めてそう思った。
それからの芳村は忙しそうにして居た。
3者面談が近い所為だろう。
俺も邪魔にならない程度に昼休みに教務室に行き、パソコンと睨めっこをし忙しそうな芳村と少しだけ話しいつものソファで昼寝をして過ごす。
少しでも芳村と一緒に過ごす時間を持ちたかったからだ。
「また、寝に来たのか?5分前になったら起こしてやるから、それまでな」
そんな俺に芳村は邪険にはせず、困った奴だって顔をし笑って話す。
カタカタ…パソコンの音とカサカサ…紙の音。
俺は寝た振りをしながらも、毛布の中からこっそり芳村の姿を眺めてるだけでも嬉しい時間だった。
いつもなら食堂で伊織と祐一と昼飯を食べ芳村の所に行くと言うパターンだったが、あまり頻繁に教務室に入り浸るのも忙しい芳村に悪いと思い、伊織や祐一と昼飯を食べ教室で下らない話しをし過ごす時も多い。
大体が伊織の冗談に祐一と俺がツッコミバカ笑いして過ごすのも面白かった。
偶に、昼休み時間にお誘いが来る事もある。
俺は据え膳は黙って頂く事にしてる。
性欲旺盛の年頃だし欲求不満は溜めないようにする為にも誘われたら余程の事が無い限り断らない。
あっちから誘うんだから御の字だ。
その日も伊織達と雑談してた時に呼ばれた。
「お~い、海堂。呼んでるけど?」
入口の扉には1組の男が待ってた。
「へ~い」
返事をし、伊織達に片手を上げ
「悪い。ちょっと行って来る」
「ちょっとで済むのか?」
「この時間からだと済む訳ねぇ~なぁ。お前達と違って早漏じゃねぇ~からな」
くっくっくっ……
「誰が早漏だ! このヤローやるか?」
ガタッと椅子から立ち上がり、俺を睨む伊織。
本気じゃないのは解ってる。
「良いから、早く行けって! ほら待ってるぞ」
椅子に座ってシッシッ…と手を振る祐一。
「んじゃ、行って来る。次の授業適当に言ってくれ。よろしくな」
サボると濁わし話すと睨んでた伊織も椅子にドガッと座り「解ったよ。存分に楽しんで下さい」と今度はニヤニヤ顔に変わり話す。
祐一は黙って手を振る。
どうせ何をヤリに行くか?は、言わなくとも解ってる奴らだし。
まあ、祐一はそこんところはちゃんとして校内ではせずに寮生のみにしてるが、伊織は俺と同じ穴の狢だ。
お互い協力し合うのは暗黙の了解だ。
待ち侘びてる男の元に行くと笑顔を見せ
「龍臣~、久し振り~」
「そうだったか?」
俺が歩き出すと横に並び一緒に歩きだす。
えっと~こいつは……1組の加藤だったか?いや佐藤だったかな?
ま、名前なんてどうでも良いか。
その内解るだろうしな。
「で?どこ行く?」
どこでヤルって言わずに話す。
「ん~、龍臣に任せる♪ ねぇ?昼休み教室行っても居ない時あるけど…。最近、特定の人できた?」
芳村の所に行ってる時が多かったからだ。
来てたのか?
他の奴と相手してると勘違いしてるのか?
……妬きもち?
こいつとも3~4回相手してるからな。
殆ど、セックスフレド…か?
「どこでも良いだろ?俺は特定の奴は作らない主義だって言ってるだろ。妬きもちとか縛られるのとか面倒な事は御免だ。もし、俺と付き合いたいとか言うならお前とは金輪際シナイ」
顔も見ずに歩きながら、望みがあると思われて面倒事になる前にはっきり話した。
「……ごめん。そんなつもりはないから」
「解れば良い。んじゃ……屋上に行こうぜ」
「うん♪」
屋上に決め廊下を歩いてると、前から芳村と林が歩いて来るのが見えた。
林の方を向いて歩きながら話す芳村はまだ俺には気がついてないようだ。
困った顔をし、何か話してる。
数mの距離で話してる内容が聞こえてきた。
「芳村先生、いつなら空いてますか?」
「この間もお話ししましたが、奥さんの側に居てあげて下さい。初めての妊娠で不安がってますよ。残業も多いですし、早く帰れる時は帰ってあげた方が良いですよ」
「偶には、飲まないとやってられませんよ。パア~と」
「すみません。3者面談も近いですし私が時間取れないのもあるので」
「じゃあ、3者面談終わったら行きましょうよ。それなら良いでしょ?1日位付き合って下さいよ」
「3年生の受持ちで……これから進路の事もありますからね。一応、考えておきます」
遠回しに断ってるのが解んねぇ~のか‼︎
体育会系の筋肉ヤローだから、頭まで筋肉か‼︎
芳村はやっと俺達に気が付いたようで困った顔から燻しげな顔に変わったが、何も言わずに通りすがった。
へらへらした顔の林を睨みつけ、俺は通り過ぎた。
黙ってる俺に隣に居る奴が腕を絡ませてきた。
「龍臣~どうしたの~?早くぅ行こう♪」
「ああ」
絡ませた腕は放っておき廊下を歩く俺達を芳村が一瞬振り返り見た事は知らなかった、俺の頭の中ではさっきまでの芳村と林の会話が残っていた。
林の奴、どう言うつもりだ?
芳村も遠回しに断らないで、はっきり断れば良いのに‼︎
同僚だから?
ギクシャクしたくないとか?
あの芳村が遠回しに断る位だから、今まで何度か酒井も含めて飲みに行った時に何かあったんだろうか?
1度、芳村にさり気なく聞くしかないか?
屋上に行く階段を登りながら考えてた。
屋上の鍵は運良く開いていた。
「風が気持ち良い~な」
伸びをし外の空気を肺一杯に吸ってると、情緒もへったくれもない男が俺の太腿を撫できた。
おいおい! 直ぐかよ~!
小柄な男は上目遣いで媚びてくる。
「ねぇ~キスして」
キスねぇ~。
ま、良いか。
気持ち良くしてくれるんだし、サービス位はしねぇ~とな。
男の後頭部に手を当て荒々しく唇を重ねた。
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