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第15話
「おっせぇ~なぁ」
時計の針は、22時を過ぎてた。
今日は2回目の密談する為に、寮に入ってる俺の部屋に伊織と祐一を呼んでいた。
1度家に帰り、頃合いを見計らい酒を持って、寮に忍び込むと言ってたが⁉︎
スマホを見ても2人からの連絡はない。
「何か、あったのか⁉︎」
そう思ってた所にコンコン…と小さなノックが聞こえドアを開けると祐一が立って居た。
「入れよ」
「おう」
部屋に入れた時に、石鹸の匂いがした。
ん⁉︎ シャワー浴びたばかりなのか?
こいつ~俺の部屋に来る前に、どっかでヤッてきやがったな~‼︎
ったく、節操がなさ過ぎだ‼︎
こっちは大事な話しがあるつーのに‼︎
嫌味の1つでも言ってやろう‼︎
テーブルの上にビール缶を数本並べて、地べたに座ってる祐一に話しかけた。
「遅かったな?」
「そうか?」
多くを語らず素知らぬ顔で返事する祐一はそう言う奴だ。
俺も地べたに座ると
「伊織は?」
「まだ来てない。先に始めるか?」
「そうしようぜ」
ビールを開け軽く缶を合わせグビグビ…飲み始めた。
「ぷは~~、うめぇ~」
「久し振りだな。お前と飲むの?今回、召集したのって芳村の事だろ?お前、まだ諦めてなかったんだ?」
「あん! 何でそう思った?諦める訳ねぇ~じゃん」
「いや、色々探ってくれ!って言った割に、音沙汰なかったからな」
「こっちも色々探ってた」
祐一と話してると、ガチャッとドアが開き伊織は勝手に入って来た。
「悪りぃ.悪りぃ」
ドカッと座り、髪をタオルで拭く姿は堂々としてる。
こいつもかよ~‼︎
どっかの寮生と如何にもヤッてきたと隠しもせずに太々しい態度だ。
そうだ、そう言う奴らだった‼︎
忘れてた俺が悪いんだ!
寮の俺の部屋に呼ぶと大概どっかでヤッテから来るのは解ってたはずだが……今日ぐらいはさっさと来いよなぁ~、ったく‼︎
同じ事してるが祐一の方が可愛いらしい。
俺も祐一も堂々としてる態度の伊織には逆に呆れ、その事には何も触れずにいた。
勝手にビールを開けグビグビグビ…と一気飲みする伊織はある意味図太い。
ったく!良い性格してるぜ‼︎
「で?今日は?やっぱ芳村絡み?」
「そう。祐一の情報を聞いて対策練ろうと思って呼んだ」
「へえ~、何かあった?」
林がしつこく芳村を飲みに誘う事や須賀が頻繁に芳村の元を訪れてる事と髪を触ろうとして止めた事など、今日までに聞いたり見たままを伊織達に話した。
「へえ~、そんな事があったのか?」
「須賀の事は去年の担任だった芳村に懐いてたらしい良く話してるのを見たって話しだが、別に変な噂は聞いてない。須賀が男に興味あるって事も聞いてないってさ。爽やかでスポーツマンタイプだし成績も良いからモテるらしいが、告白されても断ってるらしいぜ。芳村の事は単に憧れなんじゃねぇ~の」
祐一は情報収集してきた事を話してくれた。
「俺もそうだと思ったが、あの時思わず髪に触れようとしたって感じだった。それって、無意識のうちに憧れから好きって気持ちに変わりつつあるんじゃねぇ~。本人は自覚がないか?男に興味を抱いてる自分を無意識に拒否してるか?の、どっちかなんじゃねぇ~。男子校の風習に染まりたくないって言うやつ?」
「それはあるかもな。でも、淡い恋心なんだろ?放っておけば?」
「今はな。でもよぉ~その内悩んだ末に若気の至りで暴走するっつー事もあるだろ?あ~いう~奴は免疫ねぇ~んだから」
「そんな感じには見えないけどな。龍臣も過保護って言うか.心配性だな」
「芳村だって、今までに告られた事位あるんじゃねぇ~の?それなら対処の仕方や上手く断る事はすんじゃ~ね~の」
「それとなく芳村に告られた事があるのか?って冗談ぽく聞いた時には ‘卒業間近や卒業式の後とかに偶にある‘ って言ってた。在学中はやはり教師には手を出せね~って事だろ」
「へえ~、結構芳村と話してんじゃん」
「まあな。何の為に、昼休みに芳村が居る教務室行ってると思ってんだ?俺なりに情報収集してんだよ」
「はっ⁉︎ お前、昼休み偶に居ないと思ったら、芳村の所に行ってんの?俺、てっきりHしてんのか?と思ってた」
バカな伊織はそんな事を言ってる。
こいつの頭にはセックスしかね~のか?
「そればっかな訳ね~だろ。好きな相手に会いに行く俺は健気な愛だっつーの」
「はん! だってよぉ~、この間とか何日か前も昼休みに呼ばれてたじゃん」
「最近は芳村が忙しそうだからな。芳村は芳村、性欲は性欲で別もん」
そんな事を話してるとコンコン…夜と言う事もあり控えめに小さなノックが聞こえた。
「誰か、他に呼んでんの?」
「いや」
誰だ⁉︎ 俺がドアを開けると小柄な男が立っていた。
「今日、良い?」
「今日はだめだ! ダチが来てる。またな」
そう言って何も言わさず直ぐにドアを閉め、伊織達の居るテーブルに戻ると、ニヤニヤ顔の2人の目が突き刺さる。
タイミング悪~‼︎
心の中で毒つき、ニヤニヤ顔の2人を無視しグビグビ…誤魔化すようにビールを飲んだ。
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