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第17話

「来るかなぁ~」 「来るだろ?」 「たぶんな」 あの寮の密談から数日過ぎ、俺達は今日の放課後、視聴覚室に2年の小池を誘った。 昼休みに伊織が小池のクラスまで言いに行き、今、俺達は小池を待って居るところだ。 「遅くね?」 「HR(ホームルーム)伸びてんじゃね~の」 そんな話しをしてるとガラガラ…と扉が開いた。 「成宮先輩、話って何ですか?」 そう言って視聴覚室に入って来た小池は俺と祐一が居た事に驚いた顔をした。 「悪いな。話があるのは、俺より龍臣の方」 「な~んだ。成宮先輩からHのお誘いか?と思ったのに~残念。で、何の用ですか?」 どっちかと言うと大人しく可愛い~系か? だが、小柄で大人しそうな見た目とは話す内容が全然違う。 第一印象としては、そんな感じだった。 「聞きたい事があってな。林の事だ」 林の名前を出すと頬がヒクッとなったのを見逃さなかった。 やはり関係あったのか。 「林って?林先生?サッカー部の顧問でしょ?僕がマネージャーやってたから?でも、辞めましたよ」 誤魔化そうとしてるんだろうが、焦って早口になってた。 「林と小池がキスしてた所を見た奴も居るし、それ以外も見られてるの気が付いてなかった?」 祐一の情報を元に探りを入れながら話すと、青ざめそれから観念したように話し始めた。 「そっか~、どこで見られたのかなぁ~。林って、いつもサッカー部の部室か体育倉庫だからな~。それで?」 開き直ったようだ、目に力が入り挑戦的な目になった こいつ見た目の大人しい感じとは全然違う。 案外、腹黒いのかもな。 「お前と林がどうなってても、本来は俺達には関係ねぇ~けど。俺達も林の事を知りたいんだよ。別れたいって聞いたけど?」 小池はうんざりって顔に変わり 「……最初は…僕が林の事を好きになったんだ。林って、見た目は体育教師やってるだけあってカッコいいじゃん。それでもっと近づきたくってサッカー部のマネージャーになって、親しくなって積極的に落とした男相手は僕が初めてらしく、直ぐに僕に夢中になってさ。僕もラブラブって感じで、最初は秘めた恋って感じでスリルがあったけど、教師だし既婚者だから土日のデートも出来ないしイチャイチャもできないから、その内に僕の方が冷めてきちゃったんだけど……そんなときに林の奴、奥さんが妊娠してさ。僕とヤッテおきながら、しっかり奥さんともヤッテ妊娠だよ?それで完全に冷めて、別れて欲しいって言っても好きだから別れないとか、妊娠したのはたまたまだったとか言い訳ばっかで。マネージャー辞めて距離取ろうとしたら、最後だからって体育倉庫呼ばれてさ。そしたら……あいつ…携帯でHの時の写メや動画撮ってて…ネットに流されたくなかったら、俺に呼ばれたら来い!って、脅してきてさ。今もたまに呼ばれてるってわけ」 小池の話しを聞いて、林の卑劣な行動で悲観的なのかと思ったが、小池は案外さっぱりしてた。 「そんな事されたら、別れたくても別れられないって事か?」 「教師の癖に卑劣だな‼︎」 「男の味しめて忘れられないんだろ! 今までノーマルな奴が嵌るパターンだ」 小池は薄ら笑いし、脅されてるのに怯えた様子はない 「まあね。別れたいのは本当だよ。もう恋心とか全然ないしね。奥さんが妊娠した時は気持ち悪いとか思ったけどね。セックスフレドだと思えば我慢もできるかな。どうせ、卒業しちゃえば関係ないしね」 ある意味怖い奴だ‼︎と思った。 なるべくなら関わり合いたくないタイプだ。 本当に見た目とのギャップがありすぎで、周りの奴は騙されてるんだろうな。  「そう言う風に脅す奴はしつこいぞ?これから、お前に恋人が出来ても邪魔するか?それとも出来ないようにするかもな。それで良いのか?ずっと我慢して恋人も作らない訳?イチャイチャとかデートもしたいんだろ?」 小池は黙り込み暫く考えて 「だったら、どうすれば良いの?先輩達の誰かが彼氏の振りでもしてくれる訳?」 「それだと携帯の写メや動画がどうにもならないだろ?弱味には弱味を握らないとな」 祐一が話す事はご最もだ。 「俺達の計画通りにすれば、携帯の写メも動画もどうにかしてやるし、別れさせてやっても良いぜ」 そう話すと小池も乗り気になり 「お願いします。僕もまともな恋愛したいし」 男同士がまともかどうかは疑問だが、こいつは根っからの男好きかもな。 取り敢えずLINE交換し、林から誘われたら連絡くれるようにして、小池は頭を下げて帰って行った。 残った俺達は小池が出て行った扉を見つめた。 そして俺は2人に小池の印象を聞いた。 「なあ?どう思った小池の事?」 「結構、あざといな」 祐一の印象はそうだった。 「大人しそうだからな、あれなら騙される。結構、腹黒い感じだな。俺はあ-いうのパスだわ~」 伊織も同じような印象だったらしい。 「俺も2人と一緒だ。林も黙された口だろうな。そう言う意味では可哀想だが、やり方が汚い。男の味知って嵌っちまったんだろうけどよ。小池とは、今回限りで関わらないようにしようぜ。伊織も気を付けろよ。手を出すと、後が怖いタイプだからな」 「さっきも言っただろ?あれはパスだ。それに俺は可愛い系より綺麗系の方が好みだしな。第一、俺は付き合ってる相手以外は自分からは誘う事はしてない。俺からは無いし、小池の本性知ったからには誘われても断る!」 「へえ~、見境いない伊織にしては、ちゃんと考えてんじゃん」 祐一が毒つく。 「俺だって、誰でも良いって訳じゃねぇ~し。ちゃんと割り切ってくれる奴じゃね~とな。後々、面倒事になる浮気容認してるとは言え、浮気ばっかしてるのも悪いしな。それを言うなら龍臣だろ?誰とも付き合わない! 誰とでも寝る!って、下半身で生きてんじゃん」 矛先が俺の所に回ってきた。 「俺を誘う奴は大体自分に自信がある奴が多いからなぁ~。俺が怖くて、誘ってくる人数も知れてるし、文句言ってくる奴なんて居ないしな。ま、1度ヤッちまえば俺のモノが忘れられないって事なんだろ?」 2人は呆れた顔になり、おざなりの返事をする。 「はい.はい。結構なモノをお持ちで」 今日はムキになり対抗してこない伊織。 「お前の下半身の自慢なんてどうでも良いから、どうする作戦考えようぜ」 祐一は理性的で冷たい。 暫く、それぞれ考え意見交換し、俺達の計画が決まった。 顔を突き合わせ悪巧みするのが、楽しみでニヤニヤ…する。 「じゃあ、決行日は、小池が林に誘われた日って事で」 「林も小池に惑わされて龍臣に目をつけられて、最悪だな」 「自業自得だ! 生徒に手出して脅して、芳村にも目をつけてるような奴だからな。芳村に危害及ばす前に阻止しね~と。その為に、林の弱味握るのが1番だ。そうだろ、祐一」 「それが1番手っ取り早い」 「だな」 3人の意見が一致し、気持ち的にはワクワク…してた。

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