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第30話
最後の応援合戦の後に、最終競技の色別リレーが始まる。
待機場所では、ストレッチしたり余裕振って談笑してる者と様々だった。
学年別リレーとは違い、縦割りシスターでの色別リレーで、スタートの1年は責任重大と緊張しストレッチに余念がない。
最終競技でもある色別リレーでは1位とビリでは点数が大きく変わってくる。
今の所、どの組が2位か3位なのか?は解らないが、この競技次第では逆転は充分可能だと重々承知してた。
1年~3年までのクラス代表として3人が選抜され俺達のクラスからは伊織と俺と陸上部の奴との3人が選抜された。
2年からバトンを貰うのは伊織→俺→アンカーは陸上部の田中の順番に決まってた。
俺と伊織は談笑しながもストレッチに余念がない。
隣でアンカーを務める田中も体を解して多少の緊張感を漂わせてた。
どの順番で走るか決める際に、俺と伊織は田中に
「アンカーは田中だ! 今まで部活頑張ってた奴がアンカー務めるのは当たり前だ。陸上の集大成と思って、思いっきり走れ!」
「解った! ありがと。絶対にゴールテープを1番で切ってやる‼︎」
意気込みとやる気が伝わってきた。
「そう意気込むなって。俺達が走る時には大体順位は決まってるんだし、でも全力は尽くそうぜ‼︎」
肩の力を抜く様に、肩をポンッと叩くと
「そうだな。転けたらシャレになんねぇ~しな。全力尽くすのみだな」
最終アンカーで責任あると力が入ってたが笑顔が出た
これで大丈夫だろうと伊織と顔を見合わせた。
また、小さな絆が生まれた。
「お~い! 紫の1年と2年集まれ!」
紫の鉢巻きをした1年と2年が俺達3年の所に集合し輪になり顔を突き合わせた。
1.2年とは殆ど関わる事もないから、知らない顔ばかりだった。
「バトンミスはするなよ。そして絶対に転けるな! あとは~無理はしなくて良いが、隙を見て抜けそうなら抜け! これで体育祭も最後の競技だ! この結果次第では、総合優勝も出来る‼︎ 全力を尽くして走り切ろうぜ‼︎」
『おう~~~~』
田中の注意事項と気合いを入れる言葉が、爽やかでスポーツマンって感じだった。
何だか~緊張とワクワク…する。
そしてアナウンスと共に選手入場し、ゆっくりグランド一周すると、各組応援に熱が入り激励し最後の競技と言う事で大盛り上がりだ。
この競技の順位次第で優勝が変わる可能性もあると全員解ってるだけに、熱の入りようも格別だった。
1年の走者が位置に着く。
それぞれ緊張してるのがこっちまで伝わる。
審判がピストルを持ち
「位置に着いて、よ~い。バンッ!」
1年の走者が一斉にスタートダッシュした。
等々、始まった!
それまで静かにスタートを見守ってた応援席からドッと歓声と檄が飛ぶ。
俺達紫組は4位の位置だったがまだそれ程大差無い、まずまずのスタートだった。
1年生は一つ順位を上げ3位で、2年にバトンを渡す。
2年の1走者は2位と競り合う形で次にバトンを渡すとそこで競ってた白組のバトンミスが有り紫組が2位で走り去った。
バトンミスがあったり転んだりと、順位が変わりドラマチックで応援にも熱が入り、グランドは歓声が凄く盛り上がる。
1位の青組との距離も抜ける距離内で、コーナーで縮まるが直線で少し離される。
そのまま2年の3走者も2位で、3年の伊織にバトンを渡す。
伊織は「よっしゃ~~!」叫び、猛ダッシュで少し前の1位の青組を追う。
コーナーで仕掛けるがなかなか抜けず、それでも最後の直線は殆ど差が無く俺にバトンを渡す。
俺よりほんの僅かの差で先に走っていく青組を「おりゃ~~!」叫びながら追う。
あと1.2歩がなかなか追いつけない!
俺も必死だが、相手も抜かされ無い様に必死だ。
まだ追いかけて抜く方が気持ち的にプレッシャーが無い。
絶対に抜いて田中にバトンを渡す‼︎
最後に3年間陸上部で頑張った田中に花を持たせたい
抜けそうで抜けない距離のまま最終コーナーに差し掛かると、コーナーの係り担当らしく芳村が立ってた。
「海堂! 最後だ! 行け~~! 抜け~~‼︎」
声を張り上げ応援され、芳村の前でカッコいい姿を見せたい気持ちで最終コーナーで仕掛けた。
殆ど差が無いが、僅かに俺が少し前に出た。
そのまま直線を走り、田中になんとか僅差の1位でバトンを渡した。
「行け~~田中~‼︎」
思わず大声出して送り出した。
田中も猛ダッシュで走って行く、その後をバトンミスで青組が少し遅れて追い掛けて行った。
「おう! お疲れ~」
「はぁはぁはぁ…あ~疲れた~…はぁはぁはぁ」
息を荒くし伊織の側に行き、田中の動向を見た。
「ヤバいぞ。青組の奴、速い! あいつも陸上部かも。田中~~、頑張れ~~‼︎」
伊織の言う通りだった。
最終コーナーで殆ど差が無く、辛うじて田中が抜かれまいと阻止し回って来た。
直線勝負‼︎
白熱する勝負に、応援も最高潮に盛り上がる‼︎
「行け~~!」「抜け~~!」「抜かれるな~~」「やったれ~~」「田中~~!」etc
俺と伊織もゴール前で声を張り上げ応援し、田中を1位で迎える準備だ‼︎
「田中~~!」
「頑張れ~~!」
直線で田中も必死.青組も必死の形相だ。
ダッダッダッダッ……
ゴールテープを切ったのは……田中だった。
青組はほんの僅か及ばなかった。
両手を天高く上げ喜ぶ田中に伊織と俺が駆け寄ると、他の1.2年の紫組も駆け寄り皆んなで田中を中心に輪になり、人差し指を空に掲げ ‘1位' を誇示し大喜びした。
応援団も大喜びで歓喜の声が凄く響き渡った。
次々とゴールする最終アンカー達。
そしてゴールでは歓喜と悔しさと入り混じってた。
最後まで力の限り、全力をどの組も出し切った。
やっぱ、青春(アオハル)だ~~~~‼︎
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