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第31話

最高潮に盛り上がった色別リレーが終わり、これで全ての競技が終了し、アナウンスが流れ閉会式が始まった。 グランドには疲れ果てた者.興奮状態に居る者と様々だ、そして全生徒が整列した。 「体育祭閉会式を始めます」 校長先生の挨拶.PTA会長挨拶などがあり、その後に、待ちに待った点数発表だ。 校舎の屋上に取り付けられたボードには、午前中の点数があったが、それを取り除き今度は最終点数が貼られる。 アナウンスと共に1の位から貼り出される。 盛り上がる為の演出だ。 たぶん青組との優勝争いなはずだ。 赤.白.青……と徐々に発表される。 青組→oo8点 紫組→oo2点 1の位は負けた。 「百の位は?」アナウンスと共に発表された。 青組→4o8点 紫組→4o2点 体育祭の粋な演出にグランドではドキドキ…し、固唾を飲んで掲示板ボードを見入る。 十の位の勝負だ。 既に脱落した組はがっかりとし、落胆の声が聞こえた 「十の位は?」 青組→468点 紫組→482点 「紫組の優勝です!」 アナウンスが声高らかに流れる。 大きな歓声で抱き合って喜ぶ。 歓喜と落胆が渦巻くグランドだった。 授与式が執り行われ、色別リレー優勝→紫組、準優勝→青組、3位→オレンジ組で賞状の授与があり、それから優勝旗.トロフィー.賞状の授与が執り行われた。 紫組からは応援団長.体育祭委員.なぜか?伊織が代表として授与され、振り向き「やったぞ~~‼︎」と、優勝旗やトロフィーを掲げ見せた。 『おう~~~~‼︎』 またもや大喜びの歓喜だ。 色別リレーが勝敗を大きく分けた。 「静粛に…。これで体育祭閉会式を終わります」 あ~~終わったんだ。 疲れたが優勝もし清々しい気分だった。 「体育祭委員の指示に従い協力して後片付けをしましょう。終わり次第、椅子を持って教室に戻って下さい」 アナウンスが流れたが俺達紫組は暫くは優勝気分に浸り、それから後片付けをした。 後片付けも全員でやれば早い。 そして椅子を持ち、教室まで昂った気持ちと浮き立つ気分のまま歩いて行く。 優勝旗とトロフィー.賞状の回りには人が集り、教室の中はワイワイ…ガヤガヤ…とし、優勝した事に煩い程の騒がしさと興奮状態だった。 ガラガラ…教室の扉が開いて芳村が登場した。 「お~い。席に着け~」 ガタガタ…と、自分の席に戻った。 「体育祭お疲れ様~。そして優勝おめでとう~~! 良くやったな~~。応援.競技者と皆んなで勝ち取った優勝だ‼︎」 芳村も嬉しさと誇らしい気持ちで話してるのが、顔や声からも解る。 「なあ、先生。記念に皆んなで優勝旗やトロフィー持ってクラス写真撮ろうぜ。良いだろ?記念.記念」 団長だった奴がそう芳村に提案すると「そうだな。良い記念になるし思い出にもなるな。良いだろう」と快諾した。 『やった~~』 どこからでもなく皆んな叫んでた。 写真部の奴がカメラを待ってたから、それで撮る事になった。 黒板には ‘紫組、完全優勝‼︎‘ と書かれた前で、3列ぐらいに適当に並び写真を撮った。 俺はさり気なく芳村の隣を確保し並んで写真を撮った 後に、その写真は大きく引き延ばされ教室に飾られた 俺達クラスの団結の証として。 何枚かクラス写真を撮った後に、誰かがスマホを取り出し各々のグループでも取り始めたが、芳村は少しの間止めるでもなく傍観してくれて居た。 俺も伊織や祐一と写メを撮り、騎馬戦の時の奴らと色別リレーの伊織と田中とも撮り、どさくさに紛れて芳村とも写メを撮ろうとした。 「私はいいよ、クラスの奴と撮りなよ」 遠慮する芳村を無理矢理に肩を組み自撮りで数枚撮り伊織と祐一も呼んで4人でも写メを撮った。 隠し撮りじゃなく正々堂々と芳村の隣に並んで写真を撮れる事に俺は喜んだ。 「そろそろ良いかな?それじゃ、席に戻れ」 芳村の声で俺達は席に戻った。 「本当にお疲れ様。良く頑張った。疲れただろうから明日からの週末はゆっくり体を休める様に。今日は部活も無いから、早く帰れよ。優勝、おめでとう。じゃあ、月曜日に。気を付けて帰るように」 芳村のショートームルームが終わり、ぞろぞろ教室を出て行く。 俺と伊織と祐一も鞄を持って歩き出すと、芳村に呼び止められた。 「ああ、そうだ。海堂.成宮.桐生はちょっと残ってくれ」 「???」 俺達は何で?と顔を見合わせお互い心当たりはないが、近くの椅子に座り待つ事にした。 他の奴らの前では話せない内容なのか? 芳村は皆んなに今日の労いの言葉を掛け挨拶して見送り、教室には俺達3人と芳村だけになった。 「さてと…取り敢えず、今日はお疲れ様。大活躍だったな。疲れただろ?」 「ああ、疲れた~。早く帰って、寝てぇ~」 「俺も疲れた~~」 「……その疲れた俺達を残して、何?」 俺と伊織は特に触れはしなかったが、祐一が核心をつき聞く。 「疲れてる所、済まないな。ちょっと確認したい事があってな」 「何?」 「早く、言えよ」 「………」 「海堂、成宮。4月から3カ月間経つが、お前達が授業を偶にさぼってるって私の耳に届いてる。本当なのか?」 「「…………」」 俺と伊織は黙った。 ヤバい! 誰だよ、チクったのは? 横目で伊織を見ると伊織も俺を見てたらしく目があった。 2人でマズいって目で会話した。 「そうか、黙ってるって事は本当なんだな。聞く所によると、昼休みの後五時間目さぼってるようだな?さぼってどこに行ってる?」 「………そんなに多くはさぼってないが……俺は昼休みに……寝てて気がついたら、5時間目が始まってた……途中から教室に入るの面倒だから、そのまま寝た。後は……腹が痛くなってとか?」 俺が伊織より先に言い訳をすると、顎に手を当て考えながら俺の話を聞く芳村に嘘をつくのは心苦しいが、絶対に本当の事は言えない。 まさか、授業さぼってセックスしてるとは言えない。 それは伊織も一緒で、伊織も言い訳し誤魔化す。 「俺は……昼飯食べると直ぐに腹の調子が悪くなる」 伊織の下手な誤魔化しに頭が痛くなる。 祐一も笑いを堪えてるようだ。 「ふ~ん、そうか。保健室には行ってないようだが……まあ、いい。どんな理由があるにしろ、具合が悪いなら、きちんと教科の先生に断って保健室に行く事、途中からでもきちんと授業出る事。これからは気を付けろ。3年生で受験生なんだから、どんな理由があるにしろ黙ってさぼると、先生方の評価と印象が悪くなる今回は私から良く話すと言う事で、お咎めはなくして貰った」 芳村が動いてくれたのか? 「悪かった」 「……気を付けます」 俺達は芳村に頭を軽く下げ謝った。 「解れば良い」 そんな俺達の頭を数回撫で、俺達は反省もしたしこれで終わりか?と思ったら芳村は笑顔で話す。 「良し。他の先生方の手前、罰を与える。今からグランド10周な」 「え~~嘘だろ~~。今、体育祭終わって、この疲れた体で10周なんて、死ぬ~~」 「冗談だよな、芳村~~。マジで、もう走れねぇーって。無理、無理~~」 俺と伊織は芳村に抗議し不平不満を叫ぶ。 「大丈夫.大丈夫。 お前達の体力は化け物だからな。職員室でも先生方が見てらっしゃるし、罰として打ってつけだ。ほら、ぐだぐだ言ってないでグランド行くぞ」 「「え~~~~」」 「龍臣と伊織は解るが、何で俺まで残されてるんだ?」 教室を先に出ようとする芳村に俺と伊織は不満を叫び祐一がそう話すと 「桐生はこいつらのお目付け役な。私と一緒にきちんと走る所を見て貰う」 「ゲッ! また、こいつらに巻き込まれた~~」 そう言って芳村と一緒に出て行く。 「チッ! 行くしかね~な」 「マジ、勘弁して欲しい~~」 「何してんだ~、早く来い」 廊下から芳村の呼ぶ声が聞こえた。 俺と伊織は身から出た錆だと、仕方なく疲れ切った体で教室を出た。

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