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第40話

昼食を食べ終わり、怪我の手当てをしてくれた。 「少し腫れは引いたか?あざになってるな。今日も湿布貼っておけ」 切れた口元は軟膏を塗り絆創膏を貼り、頬と脇腹には湿布を貼った。 「解った。痛くはねぇ~けどな。サンキュ」 「今日、明日で薄くなれば良いが……」 目立たなくなったら……ここに居る理由が無くなる。 少しでも芳村と一緒に居たい! 「…そうだな」 「良し! 終わった。また、風呂出たら手当てするからな」 「頼む」 「じゃあ、これから勉強だな」 「マジッ‼︎」 「マジ.マジ。折角、海堂がやる気になってるしな。マンツーマンで家庭教師して貰えるなんて有り難く思え」 はあ~~やるしかねぇ~か。 いや、考えて見ればマンツーマンなら距離も近いだろうし……近くに芳村の顔が……良いかも。 俄然、やる気になった。 「お願いします」 「おっ! やけに素直だな~。良し.良し」 俺の頭を撫で笑う。 それからリビングのラグに座り、テーブルに夏期講習の問題集や芳村から貰った問題集を広げた。 俺の斜め横に座り、同じ問題集を除き込み説明する芳村はやはり距離が近くドキドキ…した。 「現代文.古文.漢文から出題されるからな。それと読解力が必要だ。本文を読みつつ問題がきたら解くと言う読解法を日頃からトレーニングしておくと良い」 「それが難しいじゃんか~」 「今からやっておけば間に合う」 「あとは古文は古典文法.古典常識.古文単語.敬語法、漢文なら返り点.重要句法.漢字の用語や読み.重要語と土台になる。あとはどれだけたくさんの問題を解いて知識を身につけるか?だ」 「ゲッ!やる事いっぱいじゃん」 「学校でもやってる事だ。あとはごちゃごちゃになりがちだから整理して頭に叩き込むしかない。取り敢えず、古文のこの問題やってみろ」 「へい.へい」 それから俺は問題を解き、間違え所は芳村の解説を聞いたりし勉強は休憩を挟みながら3時間程やった。 確かにマンツーマンで教えて貰ったし解説も解り易いが……頭がいっぱいいっぱいになった。 少しでも芳村と良い雰囲気になれば……現実は厳しい 「良く頑張ったな。今日はこれで終わりにしよう。今、コーヒー入れるから」 「あっ! 俺、冷たいお茶ある?水でも良い」 「ん、解った」 立ち上がる前に、俺の頭を撫で労う。 自分にはコーヒーを持ち、俺にはベットボトルのお茶を貰い、俺は喉が乾いてたせいもありゴクゴク……半分ほど飲んだ。 「はあ~~生き返った~~」 俺はラグに大の字になって寝そべった。 「大袈裟だな~」 クスクスクス…笑って俺を見てた。 「夕方か~。海堂、買い物して来るから待ったろ」 「俺も行く! ずっと部屋に居たから外の空気吸いたいし、気分転換もしたい」 「そうだな。じゃあ一緒に行くか」 「やりぃ~~」 少し経ってから、俺達は歩いてスーパーまで行った。 芳村の住んでる場所を見て見たかった。 どっちかと言うと住宅地で駅には歩いて15分程らしく、駅近くには商店街とスーパーや薬局店があり生活するには良いらしい。 芳村の話しでは、駅の反対側の方が栄えてるらしく百貨店もありカラオケやパチンコ店などもあるらしい。 「こっち側の方が静かで良い」と言ってた。 ここからだと学校まで車でも30分ぐらいか? 「なあ、もっと学校の近くの方が通勤に便利じゃねぇ?」 「海堂も知ってるだろ。学校の方は買い物も不便だし通勤は近くなるからも知らないが生活に困る。それに、この位の距離の方が良いんだって」 「ま、確かに東京だって言うのに山奥だよなぁ~。学校の中の売店がコンビニ並みに充実してるから、まだ助かるけど」 「本当にな。同じ東京とは思えない」 駅方面に散歩しながら話した。 そっか~、ここからだと俺の家まで2時間位は掛かる。 それでも芳村は飛ばして来てくれたのか?割と早く来てくれた。 改めて感謝した。 芳村とスーパーに行き肉や野菜.食パンなどの食材を買った。 俺はそんなに金がなかったから、結局芳村が全部払ってくれた、その代わり荷物は俺が持った。 商店街に行き肉屋の前で 「ここの唐揚げ美味しいんだ。買って帰ろ」 「俺、唐揚げ好きだ」 「じゃあ、多めに買うか」 唐揚げをテイクアウトし、そしてメンチカツを俺の前に差し出して来た。 「メンチカツも美味しいから、食べてみろよ」 受け取り一口食べると、肉汁がジャワ~と出て衣もサクサクで美味しかった。 「マジ! うま~~」 「だろ?」 芳村と一緒に食べ歩きした。 商店街をフラフラ…と見て歩く。 俺の気分転換を兼ねて歩いてるんだろうな。 芳村の優しさが伝わる。 「ここに入るぞ」 商店街にありがちだが、少し若者向けの衣料品店に入った。 ジャージ.パーカー.Tシャツなど結構センスは良い物が揃ってた。 店の一角には古着も取り扱ってた。 芳村も何やら物色してたし、俺も買い物袋をぶら下げ店内を見て回った。 これ良いじゃん。 黒のTシャツで縦に小さめに白で英字がプリントされ、両肩から袖に掛けて同じように縦に白の英字のプリントされてた。 シンプルだが、肩から袖に掛けてのプリントがお洒落だ。 俺は基本的にシンプルな色とデザインを好む。 手に取って見てると、芳村も手に商品を持ち側に寄って来た。 「それ気に入ったのか?」 「シンプルだけど、洒落てると思ってな」 「確かに。海堂、ちょっとこれ当ててみろ」 手に持ってたTシャツを俺の体に合わせてた。 「大丈夫そうだな。下はゴムだから大丈夫だろうからこれにするか?」 「俺に?」 「そう。今着てるTシャツ少しきつそうだし、明日と明後日も居るんだろ?だったら、代えが必要だろ?」 わざわざ俺の為に、ここに寄ったのか? 俺の事を考えて……芳村の気遣いが嬉しかった。 芳村が手にしてるTシャツは黒で肩から袖に白の線が2本入り脇にも同じように白の線が2本入り、ハーフパンツも同じ2本の線が入ったセットアップだった。 俺が好きそうなシンプルな服だ。 「サンキュ。気に入った」 「そうか、良かった。じゃあ、これに決めよう。それも買ってやるから」 「えっ! 良いよ。その服買って貰っただけで充分だ」 「遠慮するな。我慢して手を出さなかったご褒美だ。他の奴には言うなよ?」 「……ありがと」 そのTシャツを手に取り一緒に持ち歩く芳村の後を着いて行く。 「……大切にする」 前を歩く芳村には届かない程の小さな声で独り言を言った。 「あとは下着買うからな。海堂は何派?」 「俺はボクサーパンツ派」 あまり品数が少ないが、下着売場で物色する。 「これで良い」 俺は二枚セットのゴムの所に少し模様がある黒と紺のシンプルで1番安い下着を選んだ。 「それで良いのか?」 「ああ、構わない」 食材やら服やらで、芳村に金を使わせたのが申し訳なく思ってた。 「遠慮しなくて良いんだぞ」 「いや、これがシンプルで良い」 「そうか。なら会計してくる。そこら辺見てろ」 「解った。悪いな」 俺が礼を言うと、芳村は破顔し俺の頭を背伸びして撫で、そのまま何も言わずに会計に向かった。 恋人の部屋に初めて泊まった彼氏の服を買うって感じ⁉︎ 嬉しい気持ちが広がりニタニタ…と顔が緩み、そんな妄想をしてた。

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