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第57話

「お疲れ~~、かんぱ~い」 「「かんぱ~~い」」 文化祭が終わり次の日の日曜日は休みで、月曜日に後片付けし一旦帰り、夜に俺の寮の部屋で集まる事にしてた。 いつも通りに寮のどこかの部屋でヤッてから俺の部屋に来るのは、もうお決まりのパターンだ。 3人が顔を合わせたのは9時過ぎで、今日はまだ早い方だ。 午前中に片付け作業が終わり、たぶん夕方に寮に忍み込みそのまま相手の部屋にしけ込んだんだろうな。 さっぱりとした顔でボディソープの匂いが体からするのが、その証拠だ。 伊織は相変わらず平然と如何にもヤッて来ましたと言う堂々とした態度だった。 こいつの頭には ‘恥じらい’ って、文字知らないんじゃないのか?といつも思う。 ビールを飲みながら、つまみを食べ話すだけの集まりだが…それも楽しい。 「文化祭で、俺達のクラスの出し物が1番良かったな」 「そうだな。1年のお化け屋敷とは全然比較にならねぇ~程、本格的だって皆んな言ってたぜ」 「楽しかったな。これで高校生活の行事は終わったな」 「まあな、あとは受験に受かったら3ヵ月は遊べるが公募推薦落ちたら一般入試だと2月まで勉強漬けの毎日だぜ。雲泥の差だ! 天と地ほど違う! 絶対に、公募推薦で合格して来年は余裕で居たいな」 「伊織達は大丈夫だろ?問題は俺だよ。芳村にも合格は50:50って言われてるし」 「ま、やるしかねぇ~よ。3人で、また大学行こうぜ」 「そうだ、龍臣。芳村とは、その後どうなってんの?進展あった?」 「……進展って言うか」 俺は夏休み中に人助けして怪我をし、芳村の部屋で3日間過ごした事や夜中に目が覚め寝てる芳村に思わず触れるだけのキスした事を話した。 「へえ~、そんな事あったのか?」 「オープンキャンパスで会った時には言って無かったじゃん。で、芳村は?」 「悪かった。何だか、俺から言うのも照れ臭かった。芳村?ああ、キスした事は知らないはずだ。ぐっすり寝てたからな」 「何~、寝込み襲ったの?じゃあ、芳村は今までと変わらねぇ~じゃん。それって進展してんの?」 「迂闊に手は出せねぇ~って。本気な相手だと……嫌われたくねぇ~し。寝てる隙にキスしたのが精一杯だった」 「そんなもんなのかねぇ~。俺、本気になった事ねぇ~し、何だか龍臣が羨ましいような面倒臭いような。やっぱ、俺には割り切った付き合いが1番楽だな」 「伊織も本気の相手が出来たら解るって」 「たぶん、一生現れないな。龍臣って純愛してるんだ~~。顔に似合わねぇ~」 「顔は関係ねぇ~だろ?龍臣の本気が解って良いじゃん」 それから俺は文化祭でクラスの出し物の様子を見に来た芳村とロッカーでの事を話し、その後に教務室に今度は俺が芳村の様子を見に行って、またまた寝てる芳村に触れるだけのキスをした事を話した。 「今の所は進展かどうかは解らねぇ~けど、そんな感じだ」 「ふ~ん、龍臣らしくねぇ~ような気もするけど……まだ高校生活は半年あるから悔いの無いように頑張れ」 「難攻不落だが本当に欲しかったら、なりふり構わず頑張れよ。伊織の言う通り悔いの無いようにな」 「ああ、攻めあぐねてるのが現状だが……今は公募推薦合格する事が最優先だと思ってる」 「そうだな。芳村もお前の大学の事は心配してたからな」 「でもよぉ~、芳村は龍臣の事は気に掛けてくれてるのは事実じゃん。生徒としてかも知んねぇ~けど。他の奴らより確実に近いって」 「俺も話し聞いてて、そう思った」 「そうだと嬉しいが……」 伊織や祐一が励ましてくれてるのが解る。 確かに、他の奴らよりは目を掛けてくれてるとは思うが……生徒として…それだけだ。 芳村が俺を男として意識して貰わねぇ~と話しにならねぇ~。 恋愛対象が女だけに、なかなか無理な相談だろうな。 彼女も居るし俺は生徒で歳下だし……難題山積みだ。 それでも俺は芳村が欲しい‼︎ 大学受験が片付いたら、俺は多少強引でも積極的に落としにいくつもりだ。 本来の俺はそう言うタイプだからな。 受験が終わるまでは……それまでは少しずつ距離を詰めるだけだ。 「ま、何か合ったら協力はするから、遠慮せずに言えよ」 「そうだぜ。1人で色々考えるより3人で考えた方が、良い案が浮かぶだろーし」 「そん時は、頼む‼︎」 それから次の日が文化祭の代休と言う事もあり、遅くまで飲み明かした。 これも高校生活の楽しい思い出だ。

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