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第59話

「ありがとうございました」 面接官にお辞儀し、お礼を言いドアの前で 「失礼します」 もう一度、お辞儀をし退出した。 気を抜く事なく速やかに校舎を出て、駅前のマックで祐一や伊織と待合せしていた。 マックの店内をキョロキョロ…見たが、まだ祐一と伊織は終わってないようだ。 先に注文し、席を確保して待つ事にした。 小論文は、たぶん大丈夫だと思う。 芳村に時間配分と文字数も気を付けろ!って、何度も言われたし、それも大丈夫。 60分800文字で時間も大丈夫だったし、文字数も丁度位に収まったし……。 今日は髪.服装などの身嗜みは朝から何度もチェックし祐一にも確認して貰ったしスマホの電源も落とした。 面接の前の控え室では誰とも話もせず、芳村との面接練習した時の事を思い出し、何度も頭の中で面接のシュミレーションをして過ごした。 そのお陰もあって、緊張はやはりあったが落ち着いて質問にはハキハキ答えられた。 「志望動機」「入学後のビジョン」「将来の進路」「高校で1番思い出に残った事」「最近の気になるニュース」「自己アピール」など、質問は多様多彩に渡ったが、芳村との面接練習での質問内容と然程大きく変わらなかった事も功を制した。 今の俺の中では上々だと思う。 やれる事はやった‼︎ あとは、天に運を任せるしかねぇ~。 「龍臣、どうだった?」 「祐一終わったのか。俺的には、まあ納得できたとは思う」 「そうか。悔いが残るのが1番だめだからな。それにしても面接は緊張したなぁ~。芳村と面接練習してて良かった~」 いつも冷静な祐一でも緊張するんだな。 「祐一は他はどうするんだ?」 「いや併願はしない、専願にしてる。行きたい大学だったし、専願の方が受かる確率が高くなるからな。伊織もそうしてたし、龍臣もだろ?」 「俺は伊織や祐一と一緒に行きたかったからな。専願にした。お前達はたぶん大丈夫だろうと思うけど、少しでも受かる確率高くしたかったし、これでだめでも一般で受けるつもりだ」 「俺達も100%受かると言う保証はねぇ~し」 「おう! 経営学部の方が早かったな」 「伊織、どうだった?」 「まあ、100%大丈夫だろ!」 ここに自信過剰な奴が居た‼︎ 「すげぇ~自信‼︎ どこから出てくるのかねぇ~、お気楽な性格で羨ましい~ぜ」 「そう言われてもなぁ~、祐一! やれるだけの事はしたし終わった事だしな。受かると思わないとやってらんねぇ~」 自信あるように言ってるが、やはり合格通知が来るまで多少の不安はあるんだな。 要は、気持ちの持ちようって事…か。 「でも、取り敢えずは終わったな。後は、結果待ちだな」 「その結果出るまでの時間が長ぇ~よ。俺、落ちた場合も考えて、一般入試にも向けて勉強してねぇ~と」 「それは龍臣だけじゃね~よ。俺や祐一も万が一を考えて勉強は継続すんだから」 「まあ、合格を祈ろうぜ!」 それから3人でバンバーガーやポテトを食べながら、今日の小論文や面接の話をして過ごした。 公募推薦での受験は一先ず終わった。 受験の日にちが近づくにつれ、俺は自分では気がつかなかったが緊張してたようだった。 その証拠に、肩の荷が下りたのか.緊張から解き放たれたせいなのか、俺はその後風邪気味になり体調を崩していった。 公募推薦の受験が終わり、4~5日位から体が重いって言うかダルさがあった。 寮で夜中にセックスして空気の入れ替えをする為に窓を開けシャワーを浴びて、そのまま窓を閉め忘れて寝てしまった。 たぶん、それが原因だろうと思う。 丈夫な体で風邪なんか引いた事も無かったから、そのうち治るだろうと軽く考え薬も飲まず熱っぽい体でそれから2日程過ごした。 昼休みに芳村の教務室に行った時にも心配された。 「何だか、少し咳してるが大丈夫か?」 「ああ、大丈夫.大丈夫。ちょっと風邪引いたかもな。受験終わってホッとしたからかなぁ~」 「まだ結果は先だから気を抜かずに、一般入試に向けても勉強するようにな。薬は飲んだ?寮母さんか保健室で風邪薬貰って飲めよ」 「ん…解った。でも、今はちょっと寝かせて」 「授業始まる5分前には、起こすからな」 「ん……」 俺は熱の出始めで直ぐに眠ったようだ。 芳村に起こされ、午後の授業も頭がボーっとして何も入ってこなかった。 やっと授業が終わり、伊織達に「たまには、息抜き行こうぜ」と誘われて、そのまま一緒に街に行きゲーセンで遊び、ファミレスで夕飯食べてから寮に戻る事にした。 伊織達と遊んでる時には楽しい事もあり、体の怠さや熱の事は気にならなかった。 帰り道のバスの中で、本格的に熱が出て歩くのも辛かった。 寮の部屋にやっと着き、直ぐにシャワー浴びてベットに入った。 ベットに入って直ぐに熱が上がり、どんどん体が熱くなり俺は気を失うように眠ったようだ。 この熱を出した事によって、俺は……意識が混濁する中で……それは夢だと思ってた。 結果的に、その事が俺と芳村の仲を急展開させていった。

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