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第60話
♪ピピピ♪ピピピ♪………
スマホの目覚ましで目が覚めた。
「頭、痛ぇ~」
体が重く怠く起き上がる事も出来ず熱でボーっとし、部屋の天井を見るが天井が歪んで見え熱がある頭でも相当ヤバいと思った。
「……ゴボッゴボッ…熱っ」
スマホを手にし、祐一に取り敢えず連絡する事にした
♪♪♪♪~♪♪♪♪~
「龍臣?どうした?」
「ゴボッゴボッ…朝から悪い…ゴホ…夜に、熱が出たゴホッゴホッ…らしい……怠くて動けねぇ~ゴホッゴホッゴホッ…今日、休む」
「おい、大丈夫かよ~。熱、測ったのか?辛そうだな。休む事は言っておくから、ゆっくり休め」
「悪いな…ゴホッゴホッゴホッ…頼むゴホッ…」
「良いから、ゆっくりしろ! 切るぞ」
祐一は俺の辛そうな状況を汲んで早く電話を切った。
これで一安心だ。
ゴホッゴホッ…ゴホッゴホッゴホッ……
頭がボーっとする。
どうせ起き上がれないし寝てれば治るだろう。
目を瞑るとまた熱があるせいで直ぐに眠りに落ちた。
教室のドアの前に桐生が私を待ち構えて居て、何事か?と思ったら、HR前に、桐生から海堂が学校を休む連絡を受けた。
「龍臣から熱があって休むって、電話あった」
「熱?やはりな。昨日何となく具合悪そうだったからな。熱は?薬は?」
「さあ?そこまで聞けるような感じじゃなかったからなぁ~。休み時間に連絡して様子聞いてみる」
「ああ、そうしろ。一応、寮母さんも居るし大丈夫だと思うが」
「寮母さん達はどうかなぁ~。龍臣が休んで部屋で寝てるのも知らねぇ~かもな」
「……何か、あったら連絡くれ」
「ん、解った」
寮母さんが気が付かない?
寮生は人数も多いし、言いに行かないと解らないかも知れない…か⁉︎
HR終え職員室に戻り、海堂に電話しようか迷ったが桐生が連絡すると言ってたし……寝てたら悪いと思い電話する事はしなかった。
気になりながらも、1時間目から授業があり受け持ちのクラスに行く事にした。
今日に限って午前中に授業が集中し、桐生に様子を聞こうにも時間が取る事が出来ずに居た。
何かあったら桐生から話してくるだろう……けど。
昼休みになり教務室で食事をしてる時も海堂の事が気になってた。
熱、測ったのか?
薬は?
寮母さんは様子を見てくれてるだろうか?
桐生は連絡取ったのか?
何も言って来ないって事は、大丈夫だったって事……か⁉︎
やはり気になり桐生に聞きに行く事にした。
教務室を出て、この時間なら食堂から教室に帰って来てるだろうと、教室に向かい廊下を歩いてた。
昨日から…そう言えば2~3日前から「怠い」と言ってた。
てっきり公募推薦の受験が終わってホッとして疲れが出たんだと思ったし、海堂自身もそんな事を言ってた
もっと気にしてやれば良かった。
寮生で親元を離れて暮らしてるのに……。
考えながら教室に向かい廊下を歩いてると、前から桐生と成宮の姿が見えた。
私の顔を見て声を掛けて来た。
「芳村~」
「あっ、桐生と成宮。丁度、お前達の所に行こうと思ってた。どうだ?海堂とは連絡取れたか?」
「その事だけど、休み時間もさっきも電話したんだけどよぉ~、全然電話出ねぇ~」
電話出ない⁉︎
出られない程具合が悪いのか⁉︎
薬と冷えピタを桐生は手に持ってた。
「それ持って海堂の所に様子見に行くのか?」
「ああ、そのつもり。今、保健室から貰って来た。この時間、寮母さん達は夕飯の買出し行ってるから、龍臣も1人だし」
「そうか、頼むな。後で、海堂の様子を連絡くれよ」
桐生と話してると、成宮がいきなり割り込んできた。
「芳村、この後の午後の授業待ってる?」
「いや、今日は無い」
桐生の持ってた薬と冷えピタを奪い、私に手渡された
「俺達、次の時間は体育だから着替えないと! 実は時間ねぇ~から芳村行ってくんねぇ~⁉︎ 頼む‼︎じゃあ、宜しく‼︎ 祐一、行くぞ。あいつ遅刻すると煩ぇ~からな」
「あっ! ああ…そうだな。そう言う事で頼むな。帰りにでも、俺達に龍臣の様子教えてくれよ。龍臣の部屋は2階の1番奥だから‼︎ じゃあ、宜しく!」
私に一言も話す隙を与えず、2人で来た廊下を戻って行った。
手渡しされた薬と冷えピタを見て…行くしかないか⁉︎
私も来た廊下を戻り、校舎を出て数分程の距離にある寮の敷地に向かった。
寮の敷地内にあるお店でスポーツドリンクを3本とゼリーなどを買い、寮の玄関に向かった。
これまでも何度か寮には来た事がある。
やはり受け持ちの寮生が具合悪い時や怪我をした時に様子を見に来た事もあり、大体の寮内も把握してた。
玄関口の横には寮母さん達の自室があり、宅急便や用事がある人はベルを鳴らすか.声を掛ける事になってた
「すみません。どなたかいらっしゃいますか?」
音も無く静まり返ってる。
ピンポン♪ピンポン♪……
ベルを鳴らしても人が出て来る気配が無い。
「桐生が言ってた通り、夕飯の買出しに出掛けてるのか?……お邪魔します」
いつもは騒がしいだろう寮の中は、今は授業中と言う事もあり静かで物音もしない中を歩き、階段を上がり2階の1番奥の部屋を目指し歩く。
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