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第73話
ドサッ!
白濁を放ち、彼女の体に覆い被った。
「はぁはぁ…大丈夫?…はぁはぁ」
「はぁはぁはぁ…はい…はぁはぁはぁ」
今日、久し振りに彼女と会い映画を見て、それから街をふらふらし私の部屋に迎えた。
彼女とは、あの海堂が熱を出した時から約1ヵ月振りに会った。
その間も何度もLineや電話はしてたが……私の心の中で浮気をした⁉︎と言う後ろめたさと……海堂の事で頭がいっぱいで、何となく彼女と会う事を躊躇って居た
自分の意思ではないが海堂とセックスした事で……彼女と…どんな顔で会うべきか?……何か、悟られやしないか?と不安な気持ちもあり、暫く学校の忙しさを理由に会う事を避けてた。
でも1ヵ月も放置するのは、流石に不味いと思い今日久し振りに会う事にした。
彼女はいつもと変わらない様子で、1ヵ月も会わずに居た私を責めるわけでもなく「受験生を持つと大変ですね」と労う言葉をくれた。
その言葉にも、何だか後ろめたさを感じた。
本当は外でデートして帰る予定にしてたが……何となくその場の雰囲気で部屋に招いた。
そして……やはり2人になると……そう言う雰囲気になりセックスしてしまった。
今度は……海堂に対して後ろめたさを感じた。
自分の心が解らず雁字搦めになってた。
「シャワー、一緒に浴びる?」
「いいえ。優希さん、お先にどうぞ」
大人しく恥ずかしがり屋な彼女は、旅行の時ぐらいしか一緒に風呂に入らないのを知っていながら誘った。
「じゃあ、ごめんね。先に、浴びて来るよ」
私のモノからゴムを外し口を縛りティッシュに包みゴミ箱に捨てた。
それから彼女をベットに残し、浴室に向かった。
ザァザァザァ……
頭から熱いシャワーを浴びながら自己嫌悪と……彼女と海堂を無意識に比べてた。
久し振りに彼女とのセックスは気持ち良かった……があの時…海堂との激しいセックスに比べると……割と淡白に終わった。
海堂が上手いのは解ってる……男も女も百戦錬磨な奴だし……私は普通だと思う…決して、下手ではないはず……ただ、海堂みたいな情熱や激しさはない。
それに……彼女はどっちかと言うと性格もあり、普段から大人しく素直で受け身で消極的だ、それはセックスに関しても同じで…。
付き合い始めは、その大人しく素直な所が良かったし家庭を持つなら、こんな子が良いんだろうと朧げながら思ってた。
付き合って半年もすれば、大人しく何でも素直に言う事を聞く彼女に物足りなさを感じてきたのも事実。
かと言って、別れたいと思う程でもなく結婚するなら、そのくらいの方が家庭は穏やかで良いのかも知れないと何となく思ってた。
あの海堂の熱い告白や激しい情熱を知るまでは……。
私はどうしたら、良いのだろうか?
彼女と海堂の間を彷徨うような現状で、どっちにもはっきりとは言えず、進む事も退く事もできず身動きが取れない状況だった。
進退両難とは、こう言う事を言うんだろうな。
「はあ~」
最近、多くなった溜息をまた吐く。
色々考えてたが、浴室を出て寝室に行き彼女に声を掛けた。
「シャワー、空いたよ」
「はい」
私はキッチンに行きコーヒーを2つ入れ、彼女はシャワーを浴びてるようだった。
リビングのソファでTVを点けて待つ。
暫くすると彼女はきちんと服を着て、私の隣に座った
「コーヒー、どうぞ」
「ありがとうございます」
久し振りのセックスの後で何だか照れ臭い、彼女の方も恥ずかしそうだった。
「あまり遅くならないうちに、駅まで送るよ」
「えっ!……今日は……」
このまま泊まりたいと何となく雰囲気で解ったが……彼女とこのまま居るのも……まだ整理できてないこんな気持ちのままでは一緒に居られない。
「律っちゃん、ごめんね。明日、資料作らないと…」
「……そう……解ったわ」
付き合いたての頃は毎週のように会ってたが、丁度、海堂が夏休みに怪我をして、ここに来た辺りから2週間に1回のペースで会ってた。
受験生の担任と言う事もあり、受験対策の資料や本格的に受験に取組む頃でもあり忙しくしてたのも事実だった。
それが、あの海堂との一件依頼忙しさを理由に、彼女からの誘いを断ったりして居た事もあり暫く会っては居なかった……そんな私をどう思ってるのか?解らないが、彼女は不平不満を言うわけでもなく、それだけ返事をした。
「受験生を持つと大変ですものね……来年の2月辺りまでかしら」
受験が終わるまでは、こんな感じなのか?と、遠回しに言われた気がした。
「そうだね。指定校推薦と公募推薦が終わっても一般入試もあるから……その辺りまで忙しいと思う」
「解りました。それなら、会える時に連絡下さい。私も連絡します」
「解った。ごめんね」
いっその事……別れてしまおうか?
楽になってしまおうか?
頭をよぎった……でも、彼女の寂しそうな顔を見ると言い出せなかった。
それに彼女に対して特に不満があるわけでもないし……別れる理由は……ない。
彼女が悪いわけじゃない……私の問題だ!
「そう謝らないで……今日は帰ります」
「駅まで送る」
彼女と一緒に部屋を出て駅まで多くを語らず、雰囲気は良く無かった。
駅の改札口で彼女を見送り、また部屋まで戻った。
「はあ~」
ソファにドサっと座り、また溜息が出た。
このままだと彼女にも悪い!
海堂の意図してる事が解らない。
毎日毎日……昼休みに教務室に来てソファで寝て、帰り際にキスして「好きだ!」と言い出て行く。
初めてそんな事をされた次の日は職員室なら他の教師も居るから大丈夫だろうと逃げたが、教務室に居ないと解ると…たぶん逃げたと思ってたんだろう…職員室まで来た……職員室がだめなら図書室の司書室に逃げても呼ばれ……他の生徒の手前逃げられず……逃げ場がなくなった。
いつも職員室に近寄らない海堂が頻繁に職員室に来るのも変に思われると思い、次の日から教務室にまた居る羽目になった。
キスをして「好きだ!」と毎日毎日されてると……こっちも慣れてくる。
そしてキス以上の事をしないと解ると逆に安心した。
初めてそんな事をされてから2週間は経つ。
……最近では、当たり前のように受け入れてしまう。
良く無い傾向だと解ってる‼︎
この2週間程の間に……昼休みに教務室に来ない日が2度程あった……放課後に来たが……1度めは来ない事にホッとした……それから、また毎日来るようになり……また2度目に来なかった……「今日は来ないのか?……来ないなら図書室に行こう」と思い、昼休みも終わりそうな時間に校内を歩いてると、屋上に繋がる階段から海堂ともう1人の生徒が下りて来たのを遠目から見えた。
廊下には、まだ何人かの生徒は居て、2人は私には気付かずに、そのまま教室の方に歩いて行った。
昼休みに誰も居ない屋上の階段から2人で下りて来ると言う事は……何をしてたかは解る。
前にも…そんな事があったな。
確か……担任になる前…だ。
そんな場面は海堂以外でも何回か見た事がある。
私を「好きだ!」と毎日言い、そしてキスする癖に……一方では、そんな事をしてる海堂が解らない!
たぶん……寮の部屋でも……そうなんだろう。
それならそれで……私を惑わす事は止めて欲しい!
……海堂は、私をどうしたいんだ?
「好きだ!」と真剣な目で真っ直ぐに見て話す言葉は嘘じゃない……と思いたい!
「はあ~……どうすれば良い?」
海堂……。
いっそ……彼女と結婚するか?
どうせ、このまま付き合っていけば…いずれ結婚の話しも出てくるだろうし……。
そうすれば、海堂も諦めてくれるんじゃないか?
でも……こんな気持ちで彼女と結婚しても……彼女に悪い……上手くいくわけがない。
それにまだ結婚は何年か先と考えてたし……。
海堂の行動、彼女に対しての後ろめたさ……自分の気持ち……考えても考えても…行き詰まる。
「はあ~」
また、溜息を吐く。
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