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第74話
俺はあれから芳村に対して積極的にアピールする事にした。
俺の気持ちは言ったし芳村も知ってる。
もう遠慮する事はないと開き直った。
考えた末に、ゆっくりと芳村を攻略.口説く事にした。
いきなり襲って拒絶されるより、ギリギリ許せる範囲の微妙な所を狙う事にし、ゆっくりじっくりと口説く事にした。
その方法が毎日芳村にキスし「好きだ!」と想いを伝える事だった。
以前より意識はしてくれてると思うが……足りない…もっともっと芳村の頭の中を俺の事でいっぱいにして欲しい。
そんな事が1週間近く続いたある日の昼休みに、いつものように芳村の所に行こうとした時に誘われた。
断ろうと思ったが……毎日行ってる俺が行かなければ……芳村は気になるだろうか?と邪(よこしま)な気持ちが浮かんだ。
「ね、行こうよ。久し振りに良いじゃん」
考える俺に何度もしつこく誘ってくる。
俺も試して見る事にした。
「良いぜ。でも時間ねぇ~からな」
「じゃあ、早く行こう!」
腕を引っ張られ、その誘いに乗った。
芳村を好きな癖に他の奴とヤル事に少し罪悪感があるが……芳村との関係があやふやな今はこれも戦略の1つだと思う事にし割り切って楽しむ事にした。
そして昼には行かずに放課後に、何食わぬ顔で教務室に向かった。
ガラガラガラ……
「芳村~」
「………今日は……来ないのか?と思ったが……来たのか?」
「ちょっと昼休みは用事が出来たからな。俺が来ないと寂しい?」
やはり気になったのか?
「……別に。どうせ昼休みに、そこで寝るだけだし」
俺はソファには行かずに座ってる芳村の側に行った。
「寝るだけ?こんな事もしてるじゃん」
椅子に座ってる芳村の顔を掴み上げ、顔を近づけ唇を合わした。
チュッ!
「か.海堂!」
「何?」
「……いつまで、こんな事をするんだ?何の意味がある」
「こんな事?あ~あ、キスね。それは芳村が俺を好きになるまで。あとは…何の意味があるか?だっけ?芳村が俺を男として意識するって事かな?」
「……いい加減止めたら?私は海堂を……一生徒としか見ない……無駄な事だ」
無駄な事?
それなら何でキスされるがままになってる?
今日だって、本当は待ってたんじゃないのか?
「一生徒ね~、それならそれで今は良い。俺は芳村が好きだ! 芳村も絶対に俺を好きになるから。俺はそれまでどんな努力も惜しまない、芳村が手に入るなら」
「はあ~……強気だな。無駄だと思うが……」
「まだ、時間はたっぷりある」
「…………」
「芳村、早く俺を好きになれよ! じゃあな」
この時に、芳村が待ってた事は何となくだが雰囲気で解った。
それから俺は毎日.毎日昼休み教務室に通い、たまに芳村の気を引こうと行かずに、放課後に行ったりと作戦を練った。
押して押して…たまに引く。
本当はセックスなんて、学校でしなくても寮でもできるがわざとそうした。
芳村の頭の中が俺の事でいっぱいになるように。
そんな事が3週間程過ぎ芳村が俺とのキスに慣れ、触れるだけのキスから少しだけ舌を絡めるキスに変わった頃だった。
朝のHRで、芳村が話した事で少し事態が変わる。
「そろそろ指定校推薦と公募推薦の合格発表が出る時期だ。早い者は今日か明日には結果が出る。合格と同時に、合格通知が郵送される。あとは志願者本人のみインターネットで合否照合ができる。休み時間などを使ってパソコン室で確認し、解り次第私に報告する事昼休みは職員室に居る。良いな。以上」
そうか、もうそういう時期か。
早ければ12月中には指定校推薦や公募推薦の奴は決まる。
俺の合格発表は…今週末だ。
合格してて欲しい……確率は50:50だ!
パソコン室なんか行かずに、皆んなスマホで調べるだろうし……芳村は…昼休みは職員室か。
当分は、昼休みは行けないな。
放課後に時間を見計らい行くか。
それからの芳村はやはり昼休みも他の休み時間も職員で生徒の合格の連絡を待ち、休み時間や昼休みは他のクラスもやはり担任に連絡する為に、職員室はいつも生徒が誰かかれか連絡する為に居た。
学校事態は偏差値も高く、大概の生徒は合格してた。
中には、不合格の者も何人か居たが、芳村は慰め進路指導室で次の事を話し合ったりと、担任として生徒に親身になってた。
俺は、そんな芳村の邪魔はできないと思い、放課後の誰も居なくなる時間まで伊織達と教室で話したり図書室で時間を潰し教務室に向かい、疲れてる芳村を元気づけるように話し、少しでも2人の時間を持とうとした。
芳村も俺が来るのが当たり前みたいに思ってるのか?もう逃げたり抗う事もなくキスも受け入れるようになった。
軽くチュッとする時もあるが、最近では舌を絡める深いキスを仕掛けても受け入れてくれる。
少しずつだが、俺自身を受け入れてくれてるように思う。
まだまだ恋人同士にはなれそうもないが、それでも着実に芳村の心に響いてると思う。
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