85 / 141
第85話
「うわぁ~~凄いなぁ! 豪華で美味しそう!」
「さあ、食べようぜ」
そう言って私の椅子を引き、座らせてくれた。
テーブルには、綺麗にセッティングされた豪華なフランス料理が並べられてた。
メニューを見ると、今まで聞いた事も食べた事もない料理名が書かれてた。
1.アミューズ 北海道産 生雲丹のタルト ウニと海老のムース
2.冷菜 ずわい蟹と蒸し鮑のサラダ キャビアとフレンチキャビアのヴィネクレット
3.温菜 カナダ産 オマール海老のポシェ 牛蒡のスープ仕立て
4.的鯛のヴァプール 白ワイン風味のグラッセに雲丹をのせて
5..国産牛フィレ肉とフォアグラのポワレ、無花果のキャラメリゼ添え ソースマデール
6.ビュッシュ・ド・ノエル華やか飾りクリスマスバージョン
「凄いなぁ~」
「メニュー見てるだけじゃ、腹は膨らまないぜ。取り敢えず、乾杯しよう!」
グラスには、シャンパンが注がれてた。
海堂がグラスを持ち待ってた。
「メリークリスマス!」
嬉しそうな顔で言うから、私も釣られて
「メリークリスマス!」
この豪華な料理の前で、何も考えずにグラスを合わせた。
カチンッ!
一口飲むだけでも、爽やかな口当たりの良いシャンパンの味が広かった。
「美味しい♪」
「シャンパンも良いな」
海堂も美味しそうに飲んでた。
そこでハッと気が付いた。
「海堂! お前、まだ未成年!」
「堅い事言うなよ。今日ぐらいは良いだろ?楽しく食事しようぜ…な?」
「……今日だけだぞ」
「うん.うん。食べようぜ。誰も見てねぇ~し、マナーとか気にしなくって良いよな?」
「そうだな。その方が私も気が楽だ。このウニと海老のムースから食べようかな?」
「俺は雲丹のタルトから」
口に入れるとまったりとして味が濃く、凄~く美味しかった。
「凄く、美味しい♪」
「こっちも美味い♪」
本当に料理はどれも美味しく食事は進みシャンパンも進む。
そして、今日の水族館でのクラゲの話で盛り上がり、楽しい雰囲気の食事だった。
海堂は特に牛フィレ肉が気にいったらしく、何度も「美味い.美味い♪」と本当に美味しそうに食べてた。
その姿も何だか可愛く見えた。
デザートは特別にクリスマスバージョンと言う事で、華やかに飾られたケーキで食べるのが勿体ないと思った。
「綺麗だな。何だか食べるのが勿体ない感じだ」
私がそう話してる側から、海堂は口に入れてた。
「ん、美味い♪見てないで食べてみろよ」
フォークで一口サイズにし、口に運ぶ。
苺の甘酸っぱさと丁度良いホイップの甘さで絶品だった。
「うん! 美味しい♪」
甘い物が結構好きな芳村は蕩けるような顔で、ケーキを食べる姿が歳上なのに可愛い~。
芳村が帰らずにソファで横になって寝てた姿を見て、もう逃す機会は与えないと画策した。
起きて間もない芳村に最もらしい事を言い浴室に行かせ、シャワーを浴びてる隙に着てた服から下着まで全て俺の服と一緒にクリーニングの袋に突っ込み、ディナーを運んで来たホテルマンに渡した。
これで泊まりは決定だ!
我ながら強引なやり方だったが、芳村の曖昧な態度を待ってたら、先には進まない。
芳村は文句を言ってくると思ったが、それも俺は言い含めてやるつもりだったが、芳村は何も言わなかった
それより芳村のバスローブ姿が可愛らしく、ついついそっちばかり目がいってた。
白のバスローブに包まれ、時折、胸元が広く開き肌が見えるとドキドキ…する。
今もそうだ。
目の前で美味しそうにデザートを食べるのに夢中で、胸元まで気にしてない……チラチラ見える肌に、俺は下着を履いてない下半身が反応しないように考えてる事など知る由もないだろう。
さて、これからどうするか?
少しでも長く一緒に居たい! と、それだけしか考えて無かった。
泊まる事が決定したが……この後の芳村次第だな。
ここまで強引にしてたが、セックスするかどうかは芳村の意思を尊重したい。
今日だけ雰囲気に流されてスルのは本意じゃないからだ。
それに前回は殆ど犯したようなものだったし……芳村が俺に抱かれたいと思うまで……そう考えると、ずっとそんな日は永遠に来ない気がする。
芳村が俺の事を好きになって、全てを俺に預けるくらいになってくれれば……待てるか?待てない!
シャンパンで頬を赤らめ、美味しそうにケーキを口に運ぶ芳村は可愛さと色っぽさが漂う。
芳村の意思を尊重すべきか?
自分の本能を優先すべきか?
目の前で、あどけなく食べてる芳村を見て、2人でクリスマスを過ごせた喜びと煩悩との狭間で密かに迷ってた。
美味しそうに食べる芳村を目の前にし……一緒にクリスマスを過ごしてるんだ!
夢のようだ!
ともだちにシェアしよう!