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第98話

「思ったより、遅くなったな」 スーパーで大量に買って来た食材を冷蔵庫に仕舞いながら話す芳村も疲れてるだろうな。 「もう、ガキ○○始まってるな。録画してるから、取り敢えず、海堂、先に風呂に入れよ。その間に、年越し蕎麦の下拵(したごしら)えしておくから」 「一緒に入る?」 ニヤニヤ…して話すと 「ばかっ! いいから早く入れ!」 照れてるのが丸わかりだ。 可愛い~な。 俺は部屋着を持って浴室に向かい、脱衣所で着てた服を脱ぎ捨てた。 ザァザァザァ…… シャワー浴びてると、脱衣所から芳村が声を掛けて来た。 「下着、ここに置くな」 「解った」 浴槽に浸かり、今日の浅草での事を思い浮かべ、これからの事を考えた。 「楽しかったな。芳村も疲れただろうな。さてと、どうすっかなぁ~。取り敢えず、ガキ○○は芳村も楽しみにしてるし……良し! これでいこう‼︎」 この後の芳村との甘い雰囲気になるようにシュミレーションも兼ねた。 「ゆっくりもしてらんねぇ~な」 この後、芳村も風呂に入るはず。 早いとこ出て代わってやらないと。 ザァバッと浴槽から出て脱衣所に出た。 バスタオルと下着が用意され、俺が脱ぎ捨てた服は片付けられてた。 「良い奥さんになるぜ!」 至り尽せりで、俺はニヤけ顔になる。 「芳村~、出た~」 リビングには蕎麦つゆの良い匂いがした。 「じゃあ、私も入ってくるな。その後、年越し蕎麦仕上げして一緒に食べよう。先に、TV見てて良いから」 芳村が浴室に消え、俺はソファでTVを点け、ガキ○○は既に始まって1時間は経ってた。 あはは…はははは…… 「そんなに面白い場面なの?海堂が、そんなに声出して笑うなんて」 「めっちゃ面白いから、早く一緒に見ようぜ」 「年越し蕎麦仕上げちゃうな。直ぐに出来るから」 芳村はキッチンに消え、年越し蕎麦の仕上げにかかり電子レンジからはチンッ!と音がし、そのうちに蕎麦つゆの良い匂いがし始めた。 「海堂、出来たから持ってって~」 「了解!」 2人分の年越し蕎麦を手にしソファの前のテーブルに置き、またキッチンに戻る。 芳村はコロッケと唐揚げの惣菜と箸を持って 「もう、大丈夫だぞ」 「飲み物持ってく」 「そうか」 芳村がソファに行ったのを見計らい、俺はスーパーで買った白ワインとグラスを手にしソファに行く。 「また~お前なぁ~、未成年だろ?もう、勝手に籠に入れてるんだもんなぁ~」 芳村に内緒で、レジ直前に籠に入れて買うしかない状態にした事を言ってる。 「良いじゃん。年末だよ?それに年明けにも改めて乾杯したいじゃん」 「全く、仕方ない奴だ。今回だけな」 クリスマスの時にも ‘今回だけ’ って言ってだけどなぁ~、何やかんや言って寛容なんだよなぁ~。 ま、芳村と一緒の時は良いと思ってんのかもな。 「蕎麦、伸びちゃうから。食べよ、食べよう」 「そうだな。天ぷら蕎麦にしてくれたのか?やった~~」 「掛け蕎麦じゃあ、お前には物足りないかと思って」 俺の為を考えて作ってくれたのか~。 やっぱ、芳村って良いよなぁ~~。 ワインを開けグラスに注ぎ芳村に手渡しグラスを合わせた。 「今年ももう終わりだな。海堂も大学受験合格したし良い年になったな。来年も宜しくな」 「受験の件もすげぇ~嬉しかったけど、芳村とこうやって過ごせる事が今年の中では一番だ‼︎ まだ、夢なんじゃないかって思う時もある。来年もずっと一緒に居ような」 「そうだな。乾杯」 「乾杯!」 カチンッ! ワインに口をつけ、それから年越し蕎麦を食べた。 ズルズルズル~… 「美味い♪美味い♪」 「大袈裟~~。普通のスーパーの蕎麦だよ?」 「こうやって2人で食べるから、余計に美味く感じる!」 「お前のそう言う自分の気持ちを素直に話す所って良いよなぁ~。良くも悪くも海堂は正直者だよな。そのままのお前で居てくれよ」 「俺…芳村の前だと素直になれる。芳村には嘘が吐けない! 何だか……見透かされて居そうで」 ズルズル~…ズルズルズル…… 「海堂って、結構解り易いしな」 「ほら、やっぱ嘘吐けないじゃん」 クスクスクス…… 「あっ! ガキ○○」 「楽しみにしてたもんな。まだ半分終わった位?まだ見れるよ」 年越し蕎麦を食べ惣菜を食べながらワインを飲み、楽しみにしてたガキ○○を2人で笑いながら見た。 あははは…… 「おっかしい~~」 ははは…はははは… 「また、やられてやんの」 「毎回やられてるんだから~」 「いい加減解るだろーって」 あはははは…… はははは…ははは…… 芳村と笑うツボが同じで部屋には笑い声が絶えず明るい雰囲気の年末となった。 芳村とこんな笑って年越しできるとはな。 一目惚れしてこうなるまで…長かった。 でも…これからはずっと一緒だ‼︎

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