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第109話
先に、起きてた俺は芳村の寝顔をじっくり眺め、ずっと思い描いてた一緒に迎えられた朝に感慨深く浸って居た。
まだ、芳村とこうなった事が信じられないと思う気持ちは心の中のどこかにある。
でも、こうして俺の腕の中でスヤスヤ…眠ってる現実がそんな気持ちを払拭してくれる。
いつもは規則正しい生活を送ってるんだろう芳村も、流石に昨夜の疲れでぐっすり眠ってた。
昨夜も可愛いかったが、こうしてると愛しさばかりが心に広がる。
俺の視線を感じたのか?
少し身動ぎした。
起きたか?
「ん~……あっ! 海堂」
「おはよ。ぐっすり寝てたな」
眠そうだった目が、俺の姿を見て一気に目が覚めたらしい。
「ん、おはよ。今、何時?」
「ああ、11時回ったところだ」
「嘘~~、もうそんな時間?ごめんな、お腹空いただろ?直ぐに何か作る!」
俺の腹の心配をし直ぐに起き上がろうと上体を起こしたが……。
「い、痛~~。うう…腰が……」
パフッ!
またベットに逆戻りした。
「大丈夫か?」
俺は片肘をついて ’案の定だな‘ そう思って、芳村を見て居た。
俺も1日で4回、それも昨夜はインターバルを取らずに殆ど抜かずの3発は初めてだったが、こうなる事は予想がついてた。
俺を胡乱(うろん)気に見て小言を言う。
「大丈夫⁉︎…この状態解るだろう?ちょっと動いただけで腰が…節々が……お前なぁ~、初心者なんだから手加減しろよ!」
まだ続きそうな小言を言われる前に、素早くベットの上で正座し遮るように言った。
「悪かった‼︎ ごめん! 芳村はこのままゆっくりベットで休んだろ。俺、ちょっと何か買ってくるから」
顔の前で手を合わせ謝り何か言われる前に早速さとベットを下り、服を着て寝室を出て財布だけ持って芳村の部屋を出た。
少しゆっくりさせてやりたいと俺は何度も行ってる商店街に散歩がてら歩いて行く事にした。
ヤリ過ぎたか?……やっちまったもんは、もう仕方ねぇ~し……謝り倒せば大丈夫だろう⁉︎
小言は言ってたが、顔は本気で怒ってる感じじゃなかった。
今日一日は動けねぇ~だろうし、惣菜をたくさん買っていくとするか。
そうだ!
甘い物も買って行こう!
芳村は結構甘い物が好きだからな。
疲れた体と機嫌が治ってくれれば一石二鳥だしな
この何日間は、ずっと浮かれっぱなしだ。
仕方ねぇ~よな、幸せだもんな‼︎
足取りも軽く商店街に向かってた。
パタンッ!
海堂が部屋を出て行った音がした。
ベットで横になり天井を眺めてた。
「はあ~~」
さっきは、海堂につい文句を言ってしまった。
1日4回のセックスで自分の体がこうなるなんて……。
腰や体の節々が痛い事を、まるで海堂の所為だと海堂1人の責任の様な口振りで……。
キッチンでの事や昨夜の事は、本当に嫌なら強く拒めば海堂も色々言いながらもしなかったはずだ
強く拒めなかったのは……こうなったのは…私にも責任あるのに……。
それでも文句を言っても何も言わずに、動けない私の為に食料を買いに行ってくれた。
優しい海堂……。
海堂が帰って来たら、もう文句を言う事は止めよう。
まだ、若い海堂にとって性欲旺盛な時だと思って大人の対応すべきだったと反省した。
そして買って来てくれた事に、優しさに ‘ありがと' と言って楽しく過ごそう。
ごめんな、海堂だけ責めて……。
海堂が戻って来たら、今度は笑顔で迎えよう。
それまで少しだけ休もう。
「芳村、芳村…」
寝てた?
ちょっと休むだけのつもりが……。
「…おかえり」
「商店街で惣菜買って来た。起きれないだろ?ソファまで連れて行くから捕まれ」
「……じゃあ、頼む」
海堂の申し出に素直になり、抱き上げてくれる海堂の首に手を回した。
そのままソファまで連れて行ってくれ、ソファに大切なものを置くように優しく座らせてくれた。
「痛くないか?」と体を気遣い、腰にクッションを置いてくれる。
優しい……ちょっと過保護か。
でも嬉しい!
テーブルには商店街で買った惣菜が並んでた。
唐揚げ.ミンチカツ.焼売。
「見事に、肉だけだな」
クスクスクス……
海堂らしくって、ついつい笑ってしまう。
「あっ! 何も考えずに、俺の食べたいのだけ買って来たからなぁ~。芳村はもっと違うのが良かったか?」
「いや、これで良いよ。私もお腹空いてるし。夕飯は昨日と同じメニューだけど良い?」
昨日の残りのハヤシライスと角煮だが……。
こうなるとは思ってなかったが、たくさん作って置いて良かった。
「良いよ! 昨日も美味かったけど、2日目の方が、味が染みて美味しいじゃん。楽しみ♪」
「じゃあ、決まりな! ゆっくり休んだら、夕方には少しはマシになるだろうし」
「ごめん! お詫びの品じゃないが、シュークリームとドーナツ買って来たから、後で食べよう」
「マジ⁉︎ 嬉しい♪海堂、気が効くぅ♪」
嬉しそうな顔で話す芳村を見て、甘い物を買って来て正解だったな。
こんな事ぐらいで喜ぶ芳村を可愛い~~と思った。
「今日はゆっくりしようぜ。TV見たら昼寝したりしてさ」
「DVDもあるから見る?」
「見たい」
こうして俺達は夕方までゆっくり過ごす事に決めた。
それも2人っきりなら何をしても楽しい♪
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