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第111話

「やりぃ~~、俺が1番!」 「くそぉ~、あと1つだったのに~~」 「………チッ!」 キックターゲットで夕飯を賭けて勝負した。 順位的には1位俺.2位伊織.ビリ祐一だった。 俺は大喜びでガッツポーズをし伊織は悔しそうな顔し、祐一は顔には出さなかったが小さく舌打ちをしたのが聞こえた。 負けず嫌いで闘志を全面に出す俺と伊織、祐一は腹の底で闘志を燃やすが表面上はクールだ。 こう言う時に性格が出る。 「祐一の奢りな」 「ビリじゃなきゃ…ま、良いか。祐一、ご馳走さん」 「…ファミレスな」 こう言う所は祐一は黙って受け入れる。 伊織なら絶対に ‘もう1回!’ ‘機械の調子が悪い’ とごねるはずだ…負けず嫌いだからな。 俺も伊織寄りの性格をしてるから、よ~く解る。 「じゃあ、次はあれで勝負しようぜ。龍臣!」 「また、どうせ負けるのに~~。懲りない奴」 「何~~! その減らず口叩きのめしてやる!」 息巻く伊織に挑戦状を叩きつけられ、俺もこてんぱんにしてやるとやる気十分で次に向かった。 背後から ‘やれやれ’ と言う顔で着いてくる祐一。俺達はスポッチャで体を動かそうと言う事になり遊びに来てた。 やはりこう言う所やゲーセンに来ると直ぐに勝負事になるのもいつもの事だ。 特に、俺と伊織は直ぐに熱くなる。 バスケで1on1で勝負し、結局、俺の勝ち! 「龍臣の方が背が高いから有利だ!」 「そんな大差ねぇ~じゃん。4~5cmだろ?屁理屈言うなよ。背の差じゃなく実力の差‼︎ ジ.ツ.リョ.ク‼︎」 「屁理屈じゃね~よ‼︎ バスケは背が高い方が有利ってのは世間一般的に常套句なんだ‼︎ そんなのも解んねぇ~のか?」 「負け惜しみ言ってねぇ~で、次は、またバスケ?」 俺に上から目線で言われ、悔しそうな顔をして伊織が指指したのはバトミントンだった。 「懲りないね~~。どうせ負けんのに!」 「今度は負けねぇ~」 バトミントンに場所を移し、伊織はまたもや勝負を挑んできた。 汗を掻き試合は白熱し、どっちもなかなか羽を落とさない。 そんな熱い試合をしてると、外野からのんびりと声を掛けてくる。 「なあ~、まだ終わんない?」 「はあ?見りゃ解んだろーが」 「今1番大事な所だ。おら! これで終わりだ‼︎」 「まだまだ!」 俺と伊織の試合を眺め付き合ってらんねぇ~って顔した。 「あっそう! 終わったら声を掛けてくれ。俺、またバッティングしてるから~」 さっきも1人でバッティングしてた癖にまた行くのか? マイペースな祐一らしい。 そして白熱したバトミントンは僅差で伊織が勝った。 伊織は気持ちが晴れてテンションが上がりまくりだ。 「やはりバスケは背だな。これで俺の実力が証明されたぜ‼︎」 俺に勝って嬉しそうな伊織を見て、1つぐらいは勝たせてやっても良いだろうと、このままだと伊織が勝つまで永遠に勝負は終わらない……負けた悔しさでそう思う事にした。 手加減無しの負けで……悔しいがそう思わないとやってられねぇ~。 「良かったな。今度は祐一も入れて他のやろうぜ」 「その上からの物言いは気に食わねぇ~けど。ま、良い! そうだな、祐一も入れねぇ~と、あいつずっとバッティングするつもりだぜ」 「だな」 俺と伊織はバッティングをしてる祐一の所に行った。 カーン!…カーン!…… 「なあ、結構上手くね?」 「祐一にこんな才能があるとはな。運動神経は俺達の方があるが動体視力は祐一が上だな」 バタンッ! 「終わったのか?」 「ああ、バスケは俺が勝ちで、バトミントンは伊織が勝った」 「そうか、1勝1敗か。両成敗で良いじゃん。お前ら待ってたら、いつまで経っても勝負は終わらないしな」 直ぐに熱くなる俺達を呆れた物言いだった。 「「すみません!」」 俺達は直立不動で謝った。 くっ…くっくっくっ…… はははは…ははは…… くっ…はははは…… 直ぐに笑いが起こる。 やっぱ、こいつらと居るとた面白れ~~! それからバブルサッカーでぶつかり合い笑い、ローラースケートをし、卓球で熱い戦いをし、ゲームコーナーでカーレースやシューティングしたり競い合い協力たりと面白おかしく過ごした。 「あ~、腹減った~。そろそろ出て、飯行かねぇ~」 「疲れたし、時間的にも夕飯だな」 「祐一の奢りな」 「解ってる! ファミレスな」 スポッチャを出て、俺達は夕飯を食べに行く事にした。 近場のファミレスに入り注文しドリンクバーで喉を潤した。 「ふう~、生き返る~」 「腹も空いたけど、喉もカラカラだった」 注文した料理が運ばれると3人共ガツガツ…食べた。 「なあ、カートしてて思ったんだけどよぉ~。卒業したら免許取りに行かねぇ?」 伊織から言い出したが、俺も免許を取るつもりで居たから丁度良かった。 クリスマスデートの時にずっと芳村に運転させてたからだ、あの時に俺も運転出来れば…と助手席でずっと考えてた。 俺も運転出来れば交代で運転出来るし遠出もしやすいしな。 「俺も取るつもりで居た! 祐一は?」 「車は必要だからな。いずれ取るつもりだったし別に良いよ」 「じゃあ、決まり‼︎で、2月から卒業式練習まで自由登校じゃん。1カ月位あるから暇だしバイトしねぇ~。金貯めて免許合宿行かねえ?その方が早く取れんじゃん」 成るほどな。 免許合宿か~、全然頭に無かった。 「良い‼︎ そうしようぜ‼︎」 「教習所でだらだら長く行くの面倒だし、俺もそれで良い!」 「じゃあ、3人で免許取りに行くって事で決まりな‼︎」 こいつらと一緒だと免許合宿も楽しくなりそうだ 「で、この後どうする?帰る?」 「なあ、カラオケ行かねえ~」 「珍しい~な。龍臣がカラオケって」 「俺、カラオケ嫌だ」 俺だってカラオケ嫌だが、ゆっくり誰にも聞かれずに話し出来ると思ってチョイスした。 「祐一、カラオケしに行くわけじゃない。ちょっとお前らに話しが合ってな。カラオケなら個室だし誰にも聞かれずにゆっくり話せるからだ」 「そう言う事ね⁉︎ じゃあ、良いよ」 「話?じゃあ、早く行こうぜ、行こうぜ‼︎」 祐一はそれならとOKし、伊織は早く聞きたくって仕方ないって感じだ。 「じゃあ、祐一。ここの支払い宜しく。ご馳走さま」 「ご馳走さまでーす」 「……カラオケは龍臣の支払いな」 「良いぜ」 「早く、行こうぜ」 俺の提案でカラオケに行く事になった。 俺はそこで芳村との事を報告しようと思った。 たぶん、こいつらなら喜んでくれる‼︎

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