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第115話
「なあ、海堂。何かあった?ここ最近めっちゃ機嫌悪いじゃん」
伊織が俺の席に近付きそう話す。
心配してるのは解ってるが……今の俺はほっといて欲しかった。
腕組みしたまま足は投げ出し、態度悪く椅子に座りギロッと伊織を睨み言い放った。
「……関係ね~だろ⁉︎ 俺の事はほっとけ‼︎」
完全に八つ当たりだった。
伊織もそんな俺の態度が気に食わないようで、眉間に皺を寄せ俺を睨む。
「何だよ‼︎ その態度と言い方は⁉︎ 心配してんだろーが!」
「余計なお世話だ‼︎」
「何だと~~‼︎ このヤロー‼︎ 皆んな、お前が機嫌悪りぃ~から気を使ってんの解んねぇ~のかぁ‼︎ ああ‼︎」
「煩え~~‼︎」
ガタッ‼︎
椅子から立ち上がり、伊織の胸ぐらを掴むと伊織も俺の胸ぐらを掴み睨み合う。
教室の中は静寂に包まれ、俺達を固唾を飲んで見てた。
「おい‼︎ 止めろ‼︎」
俺と伊織の間に入って来たのは、やはり祐一だった。
祐一も何か言いたそうにしてたのは解ってた。
でも、何も言わずに俺の様子を見てたが、伊織は我慢出来無かったようだ。
俺と伊織を引き離し、俺に向かって話す。
「龍臣、何があったかは知らないが、伊織も心配してるのは解ってるだろ?お前から言ってくるまで、待つから」
そう言って、まだ納得せず不服そうな顔をした伊織を連れて、伊織の席で宥めてる。
俺はそのまま教室を出て屋上に行った。
屋上は運良く鍵が開いてた。
屋上の地べたに大の字になり、空を見上げて考えた。
あの日から数日経ってた。
あの日、寮に帰り裏切られたと悔しく、そして絶望で部屋で布団に包まり涙を流した。
その日は気持ちも乱れ混乱し冷静にはなれずに居たが、1日経ち次の日には少し冷静になれた。
やはり納得出来ず芳村のスマホに何度も電話したが、留守電になり電話に出ない。
着信履歴もありだろうし留守電にメッセージも残したが折り返しの電話は無かった。
それならLineでと思い送ったが既読スルー。
何通も送ったが全て既読スルーされた。
*♪ 昨日は言い過ぎた。もう一度話し合おう*♪
*♪好きなんだ! 諦められない‼︎*♪
*♪結婚なんて止めろ! 愛してもいないのに結婚なんかするな‼︎*♪
*♪好きだ‼︎*♪
短いが思いの丈をLineで送ったが……スルー。
電話とLineを待ち、スマホを手離せず画面をジッと見ては祈る気持ちで居た。
結局、その日は俺のスマホには芳村から何の連絡も無くLineも未読のままだった。
それならと、俺は日曜日に昼過ぎに芳村の部屋に行き直接話そうと向かった。
部屋のチャイムを何度か鳴らすが出て来る事は無かった。
俺は合鍵で勝手に部屋に入り待つ事にした。
何もせずソファに座り、スマホを弄りLineを送ったり電話も掛けたが電源が入ってないか.電波の届かない所に居るようで無機質な音声が流れた。
暗くなるまで待ったが……部屋に帰って来ない。
彼女と一緒に居るのか?
やはり別れて無かったのか?
2股掛けてた?いや、別れを言い出せずに居たのかも……。
1人で鳴らないスマホを見つめ、色々頭に浮かんでは消して考えて過ごした。
19時まで待ったが、一応門限があり仕方なく寮に戻った。
俺は裏切られたと思う気持ちが込み上げるが……それでも芳村が好きな気持ちは変わらずジレンマに陥ってた。
そして月曜日にHRでの芳村は俺の方を一度も見ず、授業中も俺を見る事は一度も無かった。
そんな芳村の態度に俺はムカつき、未だに未読なままのLineにもイラつき、俺は芳村を睨みつけてた。
昼休みに教務室に行っても居ない。
職員室に行っても居ない。
図書室に行っても居ない。
俺を避けてるのが解り、イライラ…が増して機嫌もどんどん悪くなっていった。
怒りの矛先をどこに向ければ良いのか解らず…イライラ……悶々としてた。
そんな俺をクラスの奴らも気が付き、皆んな遠目で関わらないようにしてたのも解ってた。
そんな状況が2~3日続き、とうとう伊織が我慢出来ずに言ってきたんだろう。
祐一が言うように心配しての事だとは解ってるんだ。
それでも俺の気持ちが治らず鬱憤を抱え当たり散らした。
今の俺は何かに.誰かに当たり散らし、頭の中で芳村の事を考えてしまう事を消し去りたかった。
考える事はしたくない‼︎
でも、考えずに居られない‼︎
好きでもどうにもならない‼︎
でも、諦め切れない‼︎
半分自暴自棄になってた。
ガチャッ!
「あっ!海堂、ここに居たんだ~。探したよ」
上野…か。
「何?」
俺が仰向けで大の字になってる側に寄って来た。
「もうすぐ卒業だね」
「そうだな」
「それで…もう会う事無いじゃん。最後にしない?来月には自由登校になっちゃうし、最近ご無沙汰だったじゃん」
最後の思い出…か。
そんな気分じゃねーけど……。
……芳村………。
ふっと頭に芳村の顔が思い浮かんだ。
…義理立てする必要ねーか………あっちだって2股掛けて……こんな風に、芳村の事を考えてしまう自分が情け無くなる。
芳村の事忘れさせてくれるなら…今だけでも良い…か⁉︎
「……別に良いけど?でも、俺、今すっげぇ~イライラ…してっから優しくしないぜ。それでも良いのか?」
俺が了承の意思を表すと笑って答えた。
「激しくても良い~よ。最後に……どうせ、ここ卒業したら可愛い彼女作って真面目に恋愛するしね。男同士の恋愛に未来無いじゃん。ここに居る時だけだよ。龍臣もでしょ?だから、最後に……ね」
上野の話しを聞いて、芳村もそう思ったのか?
帰省して親に結婚の事を示唆され現実に戻った⁉︎
俺と離れて帰省して冷静になって考えたのかもな
常識人の芳村だ、有り得る話しだ。
男同士に未来は無い……か。
そんなの解ってる事だ!
解ってても、どうしても好きで好きで……あの時までは芳村も同じ気持ちだと思ってた。
……また…芳村の事を考えてた。
「……忘れさせてくれ」
小さく呟いた言葉は、上野には聞き取れ無かったようだ。
「えっ! 何か言った?」
「いや、何でも無い。シタイんだろ?その気にさせろよ」
「うん!」
仰向けで大の字になってる俺の足の間に体を入れベルトをカチャカチャ…外し始めジッパーを下ろし、下着の中から俺のモノを取り出した。
「やっぱ海堂のって、平常時も重量感あって大きいよね~。ん~、久し振りだね」
裏筋をスリスリ…触りながら、うっとりした目で俺のモノを見てる。
「これが欲しいんだろ?早くデカくさせろや!」
「はい.はい」
口を開けて俺のモノを咥えた。
それを冷めた目で見てた。
芳村の事を忘れてさせてくれるなら……自暴自棄の今の俺には誰でも.何でも良かった。
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