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第117話
祐一のLineから2日経った時だった。
俺は相変わらず芳村の授業だけは出て無かったが祐一のLineのお陰で、これまで人を近寄らせない雰囲気を漂わせ機嫌悪い態度を改めた。
強面の俺は黙って居るだけで怖がれる。
でも、祐一と伊織は雰囲気の違う俺を解ってくれてた。
「悪かった」
そっぽを向いて謝る伊織は素直じゃないが、俺の前の席に座り話し掛けて来た。
祐一は隣の席の椅子を借り、俺の席で久し振りに3人が顔を合わせた。
「伊織の奴、ずっと謝りたかったらしいぜ」
「今、謝っただろーが」
「あれが謝った態度かねぇ~?」
「俺流の謝り方!」
祐一が伊織を揶揄い、いつもの光景に涙が出そうなくらいだった。
俺はバカな事をしてた‼︎
こいつらを失う所だった‼︎
何も言わずに、いつもと変わらずに接する2人に感謝した。
「伊織だからな。仕方ねーよ」
俺もいつもと同じ態度で接した……でも、声は震えてたかも。
荒んでた気持ちが少し無くなったと思ったその日のSHRで、まだ芳村を直視できない俺は顔を背けてた。
SHRが終わりガタガタ……と帰る生徒達。
俺の席に、祐一と伊織が集まり話してると
「海堂、進路指導室に来てくれ」
教室の入口に居る芳村から声を掛けられ、3人で一斉に芳村を見た、そして俺が返事をする前に芳村は教室を出て行った。
「とうとう来たな」
「そうだな。お前、芳村の授業だけサボってんじゃん」
「…………」
俺は何も言えなかった。
「良い機会だから、よ~く話し合えよ」
「何が有ったかは解んね~けど、このままじゃダメだろ?」
やはり芳村の事だとバレてる…俺が機嫌悪く自暴自棄になるのは…芳村の事しかね~からな。
「……解ってる」
俺は席を立ち、教室を出た。
進路指導室に向かう為に廊下を歩き、何を話そうか.どう話そうか考えてた。
まだ、芳村を面と向かって見るのは辛い。
授業をサボった俺に注意する事が目的で呼び出してる事は解ってる。
教師として……だろう。
進路指導室までもう少しという所で足を止め、俺は踵を返し廊下を歩いた。
教室を出て、一旦職員室に向かい廊下を歩いてた
まだ胸がドキドキ…してる。
あれから海堂を避けてた……海堂から話し掛けられないように隙を与えず、昼休みや休み時間も教務室にも職員室も居ないようにし図書室の奥にある司書室に籠り……自分でも酷い事をしてる自覚はあるが……これも海堂の為に……。
電話やLineも無視した……決心が鈍りそうだからだ。
睨まれたりしたが…その内に、海堂の方が私を避けてると感じた。
HRの時……私を見ない……そうされても仕方ないと自分自身に言い聞かせてたが……初めて、私の授業に出なかった。
具合でも悪くなったのか?と思い、授業の始めに桐生に「海堂は?」と、聞くと「腹の調子が悪いって言ってた」と言われ、その時はそのまま受け入れた。
でも……2回.3回と私の授業に出ない事にサボってると……いや、そこまで授業に出たくない程に避けられてると思った。
他の先生からは、そんなクレームは私の所にこないと言う事は……私の授業だけ⁉︎
海堂の席だけが……姿が無い。
3回までは見過ごしてたが……4回と続くと他の生徒の手前、やはり教師として注意しない訳にいかない。
2人きりになるのは気が重く気まずいが……海堂を進路指導室に呼び出した。
職員室は他の先生方も居る前でサボってる事を話す訳にもいかず、教務室は……だめだ。
飽くまでも教師と生徒として……プライベートな事は話さないと言う意味を込め……その立場を解って貰う為にも進路指導室にした。
職員室で一度心を落ち着けて、海堂が待ってるだろう進路指導室に向かった。
海堂と対峙するのは、あれ以来で傷つけてしまった負い目と自分で避けておきながら海堂から避けられると気持ちが落ち込む。
自分勝手だな。
海堂……ごめんな。
こうするしか無かった……お前の為に。
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