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第一章・5

 その余裕が、昴には憎らしかった。  僕より、ずっとずっと大人の素振り。  そう考えると、馬の交尾に眼を白黒させている自分がやけに恥ずかしく思われてきた。  やがて二頭の馬は離れ、後はもう何事もなかったかのようにのんびりと過ごし始めた。  何と、あっけらかんとした事か。  これが、動物の持つおおらかさなのか。  母馬に擦り寄る仔馬の姿にようやく気持ちを落ち着かせてきたところに、暁斗がまたとんでもない事を言ってきた。 「そういえば、私も最近ご無沙汰です。今夜あたり……」  馬の交尾に触発されて、劣情を抱くなんて!  そんな昴の憤りも、どこ吹く風だ。  そして暁斗は、彼に声をかけてきた。 「どうです? 御一緒に」 「……ッ!?」

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