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第一章・7

 後はもう、振り向きもせず走って逃げた。  放牧場を抜け、馬場を抜け、広場を通り、屋敷へ向かった。  階段も二段飛ばしに駆け上がり、自分の部屋へと飛び込んだ後は寝室へ駆け込みそのままベッドへ身を投げ出した。  枕に八つ当たりをした後。 「柏の、馬鹿!」  そう罵って、ふて寝した。  眼が覚めたのはもう宵の口で、昴はちょっと寝過ぎたことを後悔した。  鏡に顔を映してみる。やっぱり、少しむくんでしまったようだ。  バラのエキスを混ぜた、冷たい水で顔を洗った。  ようやくハッキリし始めた頭の中には、まだ暁斗の姿が残っていた。  忌々しい。  嫌な事を忘れるために、ふて寝したというのに。

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