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第一章・12

「まずはバラを贈って、そして初めはキスからで。それもちゃんと訊いてから、でしたね」  酔って赤くなった頬が、さらに熱くなった。  昴は何か返そうと言葉を探したが、うまいこと出てこない。  代わりに、さらにワインを飲んだ。  ぐいぐいと、一気にあおってしまう奏に、暁斗はさすがに心配になってきた。  まだ17歳の昴。  これ以上飲ませるのは危険と感じた。  つい、と窓際に向かった暁斗が戻ってきて手にしているのは、バラのドライフラワーだった。  こほん、と咳をひとつ。  それから芝居がかった身振りでドライフラワーを昴に差し出すと、こう言った。 「バラを昴様に贈りましょう。それから、口づけしてもようございますか?」  昴の手から滑り落ちたグラスが、床の上でごとんと音をたてた。

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