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第一章・13
「え!?」
あまりに突飛な暁斗の行動に、昴は頭の中が真っ白になった。
心臓が、張り裂けるほど打っている。これは、酔いのせいばかりではない。
だが、暁斗はそんな彼を軽くいなすように、手にした花をくるくる回して、ぽん、と額を軽く叩いた。
「それが嫌なら、もうお酒はおしまいにしてお休みなさいませ」
どこまでも、僕を子ども扱いしてくる柏。
悔しさと恥ずかしさが、心から溢れそうになる。
しかしそれを押しとどめたのは、暁斗が手にしたバラのドライフラワーだった。
「これは……もしかして、あの時の」
以前、まだ藤原邸に来たばかりの柏に、バラを渡したことがある。
一本だけ。
一度だけ。
気まぐれの優しさのはずだった。
それを、まだこんなに大事に持っていてくれたのか。
「あの時は、嬉しゅうございました」
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